誰もが「女性消費者インサイト」を探れるようになるコツ

女性消費者インサイトを探ることができれば、ヒット商品・サービスの確立は飛躍的に上がる。とはわかっていても、実際に探るのは簡単ではない。「アンケート調査をすれば探ることはできるだろう!」と思うかもしれないが、そもそもアンケート調査では企業側が質問項目作成を、グループインタビューの場合はインタビュアーがインサイトを探ることにつながる質問を投げかけなければならない。

つまり「質問そのもの」が「インサイトを導き出せる質問か?」ということが重要になってくるため、インサイトを探れるかどうかは「質問の内容」にかかっているとも言える(もちろん、他にもインサイトを探る方法としてはビッグデータの解析や、ウェラブルやGPSデータを活用した「自然行動」からインサイトを予測分析するという方法もあるが、ここでは簡易的に誰もがインサイトを探るケースに限定する)。

誰もが「インサイト」をすぐに探れるようになるためのコツ

顕在化されたニーズや、ありきたりの「事実」の表層だけを拾っているだけではなかなか女性の心を掴むマーケティングを行うことができない。ではどの企業にとってもすぐにインサイトを探れるようになるための方法はないのだろうか?ということで1つのコツをお伝えするのでぜひ早速取り組んで頂きたい。

アンケート調査でインサイトを導き出すためには、以下2つのどちらかの方法がおすすめだ。

  • (A)アンケート調査の質問項目そのものを「インサイトを導き出せる」内容にする
  • (B)通常のアンケート調査から出た結果をそのまま読むのではなく、「なぜこのような結果になったのか?」と、回答の背景を考える。つまり、アンケート調査結果を「インサイトを探るためのヒント」という位置づけにする

誰もが(A)を実践できれば単純に解決できる課題なのだが、そのためにはある程度の知識や思考力が必要だ。回答予測力、社会情勢や消費者動向を把握した上で女性マーケティングを俯瞰するなど、様々な要素を立体的に組み合わせて考える力だ。そのため、女性マーケティングに取り組んだことがない(あるいは苦手)企業にとっては(B)の方が取り組みやすいだろう。そこで(B)について解説する。では、具体的に(B)はどういうことなのか?以下は分かりやすい例だ。

資生堂の「一歩踏み込んだ質問」がインサイトを導き出している

まずは以下の記事をご覧頂きたい。本日ウーマンズラボ編集部が公開した記事をそのまま抜粋した。

日焼けをしてみたい女性が実は半数?!という調査結果

夏の美容意識に関する意識調査結果で約半数の女性が、夏は実は日焼け肌に憧れていることが分かった(資生堂調べ 女性2093人)

画像引用元:資生堂(以下同じ)

画像引用元:資生堂(以下同じ)

日本では男女ともに色白肌が好まれるが、では女性はなぜ徹底した日焼け対策をするのか?といったらそれは「色白肌が好きだから」ということよりも「シミをつくりたくない」「老化予防のため」という理由がダントツだ。

資生堂の調査結果2

「色白でいたいから」という理由よりも「エイジングケア」の方が圧倒的理由だ。エイジングケアのための日焼けの結果、色白肌がキープされているともいえる。もし「日焼けしても一切老化はしない」というものだったら、夏は日焼けを楽しむ女性は一気に増えるはずだ。

同社では「メーキャップでいつもとは違う自分に!」として、web上で「色白」バージョンと「日焼け」バージョンでメイクの方法を紹介している。

資生堂の調査結果3

 

海やプールに行くときはかっこよく日焼け風で。でも浴衣で花火大会行くときは、涼し気な色白風で。みんなでキャンプやBBQ行くときは日焼け風でショートパンツスタイル。でも休日の彼とデートは色白風でスカートファッション。シーンに分けて変身を楽しみたい女性の願望「実は日焼け肌に憧れる」に応えてくれる夏のメイキャップ提案だ。

「実は日焼けをしたい女性が半数」の理由こそインサイト

多くの人にとって「女性は日焼け対策が徹底している!」「女性は色白が好き!」という認識がある。にも関わらず「日焼けをしてみたい女性が半数もいる」という結果に、驚いた読者は多いのでは?

トレンドやニーズの表層だけを見ているとインサイトまでなかなかたどり着けない、というのはこういうことだ。ここで、その「既成概念」に対して一歩踏み込んで考えてみる癖をつけるようにしてみるのだ。

年中通して日焼け対策をする女性たちを見て単純に「女性は日焼け対策が大事!」という単純な解釈ではなく、「そもそも女性はなぜ、ここまで徹底して日焼け対策をするのか?」と一歩踏み込んで考えてみることで、「日焼け対策をする理由」が見えてくる。

今回のケースで分かったことは「単純に色白が好きというよりも老化予防のため。が、日焼け対策をする理由」ということ。そうすると、「『日焼けしても老けない』という前提があったとしたら、女性は日焼けに興味を持つのだろうか?」という仮説が出来上がる。

インサイトから導き出された仮説こそが、ヒットを生むアイディア

仮説が出来上がると、他社が考えてもいなかったような商品やサービス、プロモーションのアイディアが湧いてくる。例えば資生堂の上記の取り組みの事例だと、「一人の女性を色白風と日焼け風」とに分けて「これだけメイクで印象が変わるよ!」というプロモーションを行っている。色白メイクのみを打ち出す他社とは明らかに異なる。

近年、インサイトを探るための様々なシステムが各社から提供されている。最近ではAI(人工知能)分野も目覚ましい進化を遂げておりマーケティングへの導入に熱い視線が注がれている。しかし、導入するとなると時間もかかれば高額なコストもかかる。もし明日からにでもすぐに「女性消費者の心を掴む何かしらの策を打たねば!」と課題をお持ちだったら、まずは「既成概念に対して一歩踏み込む癖」を習慣化していただきたい。一夜にしてすぐに身につく力ではないところが残念だが、社員一人ひとりがこの癖を持つようにするだけで、企業の発想力や戦略アイディア力は各段に上がるだろう。

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