「収入が増えても消費は抑える」さとり世代へのアプローチ

今の若い世代は「お金がない・お金を使わない」と言われているが、実際のところどうなのか?ニッセイ基礎研究所のレポートから、「収入が増えても消費は抑える」さとり世代へのアプローチのヒントを考えてみたい。(参照元:ニッセイ基礎研究所 2016年 「若年層の消費実態-収入が増えても、消費は抑える今の若者たち」)

画像引用元:ニッセイ基礎研究所

画像引用元:ニッセイ基礎研究所

「お金がない」「お金を使わない」と言われる今の若者だが、30歳未満の単身勤労者世帯の可処分所得はバブル期より増加傾向にあり、今の若者は決して「お 金がない」わけではない。また経済状況の厳しい非正規雇用者でも20代後半で大卒以上であれば月々20万円以上得ており、一律に「お金がない」わけで はない

また、消費支出については、30歳未満の単身勤労者世帯では、2009年頃まではバブル期より概ね増えており、「お金を使わない」わけではない。しかし、 消費性向は低下傾向にあり、また、2014年ではバブル期より消費も減っていることから、可処分所得が増えても消費は抑える傾向は強まっている。なお、消費性向は、概ね男性より女性の方が高いことが特徴的だ。実は、年収階級別に男女の消費性向を見ても、いずれの年収階級でも女性の方が高く、女性は男性より消費意欲が高い。(引用元:ニッセイ基礎研究所)

さとり世代の消費行動の特徴

各世代ごとに消費行動に特徴が見られるが、今の若い世代、つまりさとり世代の特徴は一般的に以下と言われている。

  • 価格で良し悪しを判断せず、コスパ重視
  • 高級ブランド志向が低い
  • 所有するよりシェアが効率良い
  • 堅実で高望みしない=リスクを負いたくない
  • 「皆一緒」より、自分は自分という「個」を重視する
  • 無駄遣いを嫌う(付き合いでの飲み、見栄のための買い物など)
  • 伝統や文化、地域を大切にする
  • 衝動買いはなく、本当に良いと思ったものだけを購入する

消費は抑えるが、お金を使わないわけではない

上記のレポートや消費行動の特徴を見てみると、さとり世代には、これまでの大人世代へのマーケティングとは異なる手法を設計する必要があることが分かる。「フリー」の世代でもあるこの世代は、様々な物やサービスを無料で楽しむことに慣れ親しんでいる。無料で手軽に楽しめるからこそ、「本当にお金を払う価値はあるのか?」という慎重な消費スタイルを持っているのかもしれない。

所得は増えても消費は抑える。ではどんな方法でのアプローチが有効なのか?「消費を抑える」=「お金を使わない」と捉えられがちだが、この世代は価格に関係なく「本当に価値があるもの」と判断できれば、購入・利用に至る。それを前提に以下を読み進めて頂きたい。

消費行動を促すアプローチヒント

成功事例の一つがじゃらんリサーチセンターの取り組みだ。若年層の需要創出を目的としたプロジェクトでは、温泉を無料で利用できるというアプリサービスを提供し、利用者数11万人突破している。興味深いのは「無料で利用して終わり」ではなく、無料で温泉を利用した後の調査では「今後の利用意向について」9割が「利用したい」と回答しており、プロジェクトの目的「若年層の需要創出」は見事に成功したと言える。この成功事例を踏まえ、さとり世代へのアプローチヒントとして以下を参考にして頂きたい。

  • 所有による「見栄」「カッコよさ」よりも「コスパの良さ」を打ち出す
  • 安さが逆に「品質が悪いのでは?(すぐにダメにならないか?)」とネガティブイメージになることも。低価格で訴求することが必ずしも良いわけではない
  • 安定志向が強いので、将来のリスク回避商品・サービスに興味関心を向けやすい
  • カスタマイズ性のある商品やサービスで「自分の個性」を出せる商品・サービスが好まれる
  • 「劇的に変わる未来」よりも、「今の延長戦上にある少しランクが上がった未来」を見せる
  • 衝動買いを促すアプローチよりも「じっくり考えさせる」アプローチ
  • 地域・文化伝統・ボランティア・エコ・自然体験といった過去の若者世代が振り向かなかったキーワードこそ関心キーワード

若い世代に広がる「田舎暮らし(都会からの移住)」「農業体験・従事」「日本の文化伝統を学ぶ」などの傾向から、今「日本らしさ」が再度見直されていることにも着目したい。

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