どうすれば女性生活者は自社製品に振り向いてくれる?

多くの物を所有するよりも、物を持たないシンプルな暮らしの方がオシャレで生きやすいという考えが主流になりつつある。これを理解すれば、企業は「どうすれば自社製品に振り向いてくれるのか?」が見えてくる。今の女性生活者の生活スタイル・意識をまずは見てみよう。

物を所有しないのは貧乏だからではなく、コスパや環境に良い!が理由

例えばこのような言葉を耳にしたことがある読者も多いだろう。最小限の物だけで暮らしていく「ミニマリスト」。余計なものにお金は使わず徹底した節約をしながら賢く楽しく生きる「富女子」。車や家、服やカバンなど個人で所有するのではなく皆で(例えばマンション入居者全員など)所有する「シェアリングエコノミー」。

彼女たちのこれら生活行動は決して「貧乏で寂しい…」というものではなく「コスパ重視は当然でしょ?賢く買い物することが楽しい!ついでに環境にもいいことなら、なおさら良いわよね!」という考えによるものだ。

かつては多くの物を所有していることが「人生の成功」「憧れ」「目標」だった。しかし物や情報に溢れすぎた今、生活者は何が本当に必要か?を見極めた上で「購入をやめ、取捨選択」をする消費スタイルへ変化している。

女性生活者は「お金」を使わなくなってしまったのか?

では、女性生活者はお金を使わなっくなってしまったのだろうか?というと、そういうわけではない。「お金を使う対象」が変化してきているというのが答えだ。30歳未満の単身勤労者世帯の可処分所得はバブル期より増加傾向にあるのだから、決して「所得が減ったから買い物をしない」ということではない。

<参考記事>
・「収入が増えても消費は抑える」さとり世代へのアプローチヒント

お金を使う対象が変化しているとはいったいどういうことなのか?マーケティング4.0時代突入の視点から考えてみよう。

マーケティング4.0時代を意識しよう

マーケティング学者の1人、フィリップ・コトラー氏により2014年に「マーケティング4.0」が発表された。マーケティング4.0は「顧客の自己実現を目指すマーケティング」を指す。分かりやすく一言で説明すると「企業は、顧客の自己実現をサポートするモノ・コトを提供しよう!」というスタンスでいることが、企業成長につながるよ!ということだ。

この「自己実現」とはマズローの欲求5段階説(人間の要求を階層化したアメリカの心理学者、アブラハム・マズローが提唱した理論)の一番上の部分のことを指す。

 

コトラー教授は、これからの時代は、新たなマーケティング4.0の概念が必要であることを提唱しています。現代の先進国の消費者は、マズローの欲求5段階説でいう、「生理的欲求」「安全的欲求」「社会的欲求」「尊厳要求」はすでに満たされてきている、今の消費者が欲しているのは「自己実現欲求」であると言うのです。(引用元:MBA Lounge)

大切なのでもう一度お伝えする。多くの女性の心を掴み続ける企業になるためには、企業は商品・サービスを提供するのではなく、生活者一人一人の「自己実現」を後押しするコト・モノを提供するマーケティング戦略が重要だ。

物を所有するより、得られる体験にお金をかけたい

マーケティング4.0時代の「自己実現」は本当に今の生活者たちが求めていることなのか?その答えが分かる調査結果がある(PGF生命 全国の20歳以上の男女2,000名対象)

画像引用元:PGF生命

画像引用元:PGF生命

上記グラフを見ると、各世代「多くの物を所有することは幸せだ」に60%以上の女性は「そう思わない」と回答している。60代以上になると約70%が「そう思わない」と回答。続いて、次のグラフの「物を所有するより、得られる体験にお金をかけたい」では「そう思う」が60%以上となっている。

ありとあらゆるものを既に持ち尽くしている今の生活者は、新たに物を持つことにより欲求を満たすのではなく、体験=コト消費によって自分の人生を充実させたい、レベルアップしたい、成功したい、目標を達成したい、豊かになりたいという欲求を満たそうとする。

人気企業はすでに「客の体験」を重視したマーケティングを実践

女性生活者からの好感度が常に高い企業や、成長企業はそのようなニーズを満たすための様々な戦略をとっている。

新潟県新潟市の伊勢丹では、2016年9月の店内改装を機に、ただ商品を販売するだけでなく、シニア向けにけ花教室やスカーフロールの巻き方教室、他様々な無料イベントを随時開催する。静岡県浜松市の遠鉄百貨店では2016年11月5日(土)に、普段は一般客であるシニア女性やシニア夫婦が主役となるファッションショーを開催する。

以前ウーマンズラボでご紹介した「コアなファンづくりに成功している2社の取り組みとは?」の企業2社も根強いファンを大勢抱えているが、ファンを喜ばせる多種多様なイベントを1年を通して積極的に行っている。むしろこちらの2社は販売という本業を超える程の力の入れようだ。

女性生活者は「お金を使わない」のではない。お金を使う対象が変わっただけなのだ。そしてその対象というのは「自分の人生をより豊かなものにしてくれる体験そのもの」だ。商品だけをガンガンガンガン安売りして、過剰接客やバーゲンで売るよりも、女性生活にそっと寄り添って「あなたの人生をより豊かにするために、より成功した人生を送れるようにするために、私たちはこのようなことがお手伝いできますよ」というスタンスの方が、今後は多くの女性生活者から指示される企業になっていくだろう。

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