機能性食品素材市場、2017年どうなる?

矢野経済研究所の健康・機能性食品素材市場(※)に関する調査結果から、2017年の食品におけるヘルスケア市場を考えてみよう参照:矢野経済研究所「健康・機能性食品素材市場に関する調査を実施( 2016年)」

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市場規模は今後も堅調に推移

2015年度の健康・機能性食品素材市場規模は、前年度比102.2%で微増。2015年に始まった機能性表示食品制度と訪日外国人によるインバウンド需要が好影響を与えたようだ。調査を行った矢野経済研究所は「2016年度も微増」と予測、来年は下火となっているインバウンド需要よりも、機能性表示食品制度のさらなる拡大(企業の届け出数拡大と、生活者間での認知度拡大)がその要因となりそうだ。超高齢社会によるヘルスケアニーズの高まり、個々人のヘルスリテラシーの向上も加味すると、今後も市場全体は好調に推移しそうだ。

健康・機能性食品素材市場、2017年の動向

健食以外でも素材を利用、拡大の見込み

現在、DHA・EPA、コラーゲン、BCAAなどの各健康素材は主に健康食品に使われているが、今後は一般加工食品や飲料など幅広く使われていきそうだ。お菓子、ジュース、アルコール、缶詰、魚介や肉類の加工食品など。

「ロコモやサルコペニア対策」は注目キーワード

超高齢社会へと移行している日本において、ロコモ、サルコペニア、フレイルなど、シニアに向けたヘルスケアキーワードを軸にした健康・機能性食品素材は今後大きく期待される分野だ。メタボと比較するとまだまだ生活者の間で認知度は低いキーワードではあるが、国や企業による継続的な情報発信は今後も必ず続くので、認知度の向上は確実に期待できる。

実際、筋肉合成に関わるアミノ酸は堅調に推移している。スポーツをする若年層による需要ももちろん大きいが、シニア層の需要は今後さらに拡大するだろう。ただし、特にシニアをターゲットにする場合は、適切な情報発信が欠かせない。需要はあると見込めるが、どのような情報・メッセージを届けてどのように自分ゴト化させるか?が最大の課題となることは予め考えなくてはいけない。

女性に定番「整腸作用」、2017年は変化の兆し

2015年頃からテレビや雑誌で度々見かけるようになった「腸内フローラ(腸内細菌叢)」は、今や女性の間では年齢問わず定着しつつあるキーワードへと成長している。

「腸内フローラ=整腸作用」と認識されているが、女性が整腸作用効果に期待を寄せるのは今に始まった事ではない。乳酸菌やビフィズス菌、オリゴ糖、食物繊維など整腸作用に関係する素材は常に女性の注目の的だ。「整腸作用」の分野に新たに加わった「腸内フローラ」をキーワードにした健康・機能性食品は今後伸びていくと期待できる。

ただ、これからは、整腸作用を持つ素材が使われる食品の幅が広がりそうだ。これまで「整腸作用=乳製品」のイメージが強かったが、今年ロッテから発売された人気商品「乳酸菌ショコラ」に代表されるように、これからは様々な食品と組み合わされることが考えられる。便通や免疫力アップ、花粉症の対策に乳酸菌を日常的に摂取する「菌活」女性が増えていることを考えると、どこでも手軽に乳酸菌を接種できる様々な食品へのニーズは高いはずだ。

※ここでは、健康・機能性食品素材は、食品に主成分として使用されている32素材を指す。(青汁、アスタキサンチン、イチョウ葉、ウコン、L-アルギニン、L-カルニチン、L-シトルリン、オルニチン、核酸、 キチン・キトサン、グルコサミン、コエンザイムQ10、コラーゲン、コンドロイチン硫酸、セラミド、大豆イソフラボン、DHA・EP A、ノコギリヤシ、ヒアルロン酸、BCAA、プラセンタ、ブルーベリー(ビルベリー)、プロポリス、ヘム鉄、マカ、松樹皮、ラクト フェリン、緑茶抽出物(カテキン・テアニン)、ルテイン、霊芝、レスベラトロール、ローヤルゼリー)

 

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