【女性の不満vol.8】「企業は不都合なことを隠そうとしている」 打ち消し表示はシンプルに

今年5月に消費者庁がTSUTAYAの動画配信サービスの宣伝における打ち消し表示が「不当な広告に当たる」として措置命令を行ったニュースは、企業も消費者も改めて「打ち消し表示」について考えさせられる機会となった。

打ち消し表示が景品表示法に違反、TSUTAYA TV

問題となったのは映画などをインターネットで配信するTSUTAYA TV。「動画見放題 30日間無料お試し」と宣伝し、あたかも全ての動画が見放題のような表示をしていたが、実際に見放題だったのは配信されている動画のうち1〜3割程度で、他を見たい場合別料金を支払わせる仕組みにしていた。その仕組みや条件については宣伝文句のページからは離れた場所に小さく書かれており、消費者が見放題の条件に気づきにくい状況となっていたことが、景品表示法に違反するとして摘発された。(参考:NHK解説委員説「広告の『打ち消し表示』にご用心」)

打ち消し表示が招く、怒りや不満

消費者にとって魅力的な文言や価格を前面に打ち出し、企業にとっては不都合なことや消費者にあまり知られたくない条件などは目立たないところに小さく記載する「打ち消し表示」は、TSUTAYAに限らず、多くの企業が日常的にやっていること。例えば、「ドリンク20本セットで1,000円!」とチラシに大きく表示し、隅に小さな文字で「事前に定期購入のお申し込みが必要です」と書いてあったり、「3カ月で10kg痩せた!という購入者からの報告が続々!」と表示し、その横に小さい文字で「個人の感想です。個人差があります」と注意書きがあったり。このような打ち消し表示に消費者は見慣れているが、さすがに条件が複雑だったり、条件に気づかずに購入し、その後返品を申し出ても打ち消し表示に記載している条件を理由に応じてもらえないと、消費者の企業に対する怒りや不満は大きくなる。中には、詐欺まがいと思わざるをえない悪質なケースもある。

打ち消し表示は「企業が不都合なことを隠すため」

では、消費者は打ち消し表示に対してどのように感じているのか?消費者白書 平成30年版のまとめによると、打ち消し表示に当たる注意書きや注釈について「企業が不都合なことを隠すため、小さい文字を 使っていると感じることがある」と思っている人が最も多い。「企業が不都合なことを隠すため、曖昧な表現を使っていると感じることがある(36.6%)」「企業が不都合なことを隠すため、難しい表現 (専門用語など)を使っていると感じることがある(30.9%)」「そもそも注意書きや注釈が必要な商品や サービスは売るべきではない(15.8%)」と考える人もおり、打ち消し表示=企業が不都合なことを隠そうとしているという印象を多くの消費者が持っている様子がうかがえる。

出典:消費者白書 平成30年版

打ち消し表示はシンプルに

企業が打ち消し表示を広告で利用することを理解してはいても、そのボリュームがあまりにも大きかったり複雑な条件が並んでいたり難解だと、消費者は商品の購入を諦めるばかりか、「消費者にとって大事なことを隠そうとする企業のその姿勢がイヤ!」と不信感を募らせてしまう。特に女性は、商品やサービスを選ぶ時に男性よりも広告を意識している。魅力的な文言で消費者の心を惹きつける時こそ「打ち消し表示はシンプル」を心がけたい。

 

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