女性の心を掴む仕掛け「日本っぽさ」 各社の事例(1/2)

女性の心を掴む“マーケティングの仕掛け”は多々あるが、おすすめの一つが「日本っぽさ」を打ち出す方法。近年女性の間で「日本」「地域」「伝統・文化」への興味関心が高まっているからだ。

日本、地域、伝統・文化への興味関心が高まる

今、日本の伝統文化や地域ごとの食・伝統文化、風土の魅力に興味関心が高まっている。楽天市場で人気を集めているヒット商品を見ても、日本・地域・温故知新のキーワードが目立っていることや、各食品メーカーや外食チェーン店が実施する地域限定食(味)が人気になりやすいこと、若い世代が日本の伝統文化に関心を寄せていることなどからは、日本の伝統文化への回帰が進んでいることが分かる。

欧米流がカッコいい!から日本回帰へ

食事、家具、インテリア、高級ブランド、メイクなど、あらゆる場面で欧米スタイルを取り入れる風潮が落ち着いていく一方で近年強まっているのが、自国への興味・関心。

富士山の世界遺産登録、和食のユネスコ無形文化遺産登録、訪日外国人の増加などで日本の文化・歴史を改めて見つめ直す機会が増えていることなどが関係しているのだろう。歴史や文化と触れ合う国内ツアーや学習は人気を集め、歴史関連のテレビ番組も増えている。

また、国が掲げる地方創生による各取り組みは各地域の町興しの加速を後押し。全国各地のご当地グルメのグランプリを競うPRイベントであるB-1グランプリやご当地キャラクターの登場は、個々の地域愛や各地域への興味喚起に寄与している。

ヘルスケアの観点からは、生活者個々のヘルスケア意識が高まってきていることで、世界的に見ても健康的と言われている日本の伝統食が女性を中心に見直されていることが言える。

このような流れから今、「日本」「文化・伝統」「歴史」「地方(その地域ならではの食や文化)」をキーワードにしたモノ・コトは生活者から強い関心を集め、日本古来のライフスタイルや食スタイル、日本柄、和風家屋などを高く評価する人が増えてきている。「欧米流がかっこいい」「洋風がイケてる」という風潮から日本回帰へ。この流れは今後さらに強まりそうだ。

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和を表現して人気の企業事例

日本回帰の流れにのって、早速日本らしさを取り入れようとしても、その方法は様々。商品パッケージや店舗デザインに和柄を取り入れる、英語やカタカタは控え漢字や平仮名を多用する、飲食店なら和食メニューに伝統食を取り入れる、店舗や施設なら着物や浴衣でおもてなしをする、日本の文化体験を提供する、年中行事に合わせたイベントを開催するなど。

そこで、様々な工夫や視点で「日本」をうまく表現している企業事例を集めてみた。

1.使い方の提案で、風呂敷がオシャレなラッピングに

今の若い人にとって馴染みの薄い日本の伝統・文化のアイテムの一つが風呂敷。おしゃれでかわいいバッグやギフトバッグが溢れる今、風呂敷を持つ人を見かけるのは稀だろう。

「地味」「古い」「何に使うの?」「どうやって使うの?」。そんなイメージを持つ人が多いが、マイナスイメージや疑問を払拭して女性たちを振り向かせているのが京都の風呂敷専門店「むす美」。見せ方に様々な工夫を凝らしている、今人気のショップだ。

工夫の一つが、利用シーン別の紹介。サイト内では「婚礼・引出物」「弔事・法事」「プチギフト」「海外へのお土産」などシーン別に風呂敷が紹介されているので、日常生活のどのような場面で使えばいいのか?をイメージしやすい。

季節別におすすめの柄が紹介されていたり、風呂敷の豆知識(サイズ、形、素材、取り扱い方、柄構成、色、作法)、ラッピング方法(風呂敷の使い方)も詳しくわかりやすく掲載されているので、風呂敷初心者や、ギフト用としても安心して購入できる。文化を学べるちょっとした場にもなっているのもポイント。

忘れ去られつつあった風呂敷だが、日本人の間でも海外でもこれから脚光を浴びるかも。

2.選ぶ楽しさと美しさに大満足! 大人気の「米ギフト」と「米料亭」

米の消費量が年々減少する中、見せ方に「日本らしさ」を加えて女性を中心に今人気を集めている米屋がある。新潟県のマイライフ(株)と、京都の(株)8代目儀兵衛だ。

マイライフが運営する通販サイト「日本の銘米」は、楽天でも大人気の米ギフトを取り扱うショップで、コシヒカリ、あきたこまち、ななつぼし、つや姫、青天の霹靂など特A10ブランドの米が揃う。味はもちろんのこと、何と言っても目を引くのはその包みだ。会津木綿をイメージさせる和のデザインはブランド別に異なる。米袋のデザイン一つで、ただのお米(とは言ってもブランド米だが)から「ギフトとして喜ばれる米」へと大変身。味だけではなく見た目にも満足。「オシャレで素敵」「食べ比べが楽しい」「世代間問わず喜ばれやすい」とネット上の購入者の評価も高い。

(株)8代目儀兵は、「お米の素晴らしさや、それを主とする日本人の食文化、食事スタイルの素晴らしさをもう一度多くの人に伝えたい」という想いで、お米のギフト通販と飲食事業を展開する。

同社が販売する米ギフトの「十二単シリーズ」は、2014年におもてなし セレクション2014の金賞を受賞し、以降各メディアで取り上げられている。上品な包みは、「京都の文化、源氏物語になぞらえた12色の風呂敷包み」で、贈る側にも贈られる側にも和の心を感じさせる感動がある。またギフトを受け取った後、米袋を包む風呂敷をリユースできるのも、女性からの評価が高い点だ。

ブランド米が売りの「日本の銘米」とは異なり、「十二単シリーズ」では、料理と合わせて様々なタイプのお米を楽しめることをコンセプトにブレンド米を提供する。和食用、おむすび用、中華料理用、雑穀ブレンド向き用、丼もの用、炊き込み御飯用など、料理別に提案しているので、料理をする者にとっては選ぶ楽しみがある。ギフトを贈られた瞬間には感動が、そして選ぶ楽しみ・料理をする楽しみ・食べる楽しみは贈られたその後しばらく続く。印象が強いギフトだ。

飲食事業も視点に一工夫。京都・祇園と東京・銀座には、米を楽しむ米料亭が人気を集めている。昨年末には「日本米の美味しさを世界に発信する」を掲げ、食事処「gihey」が成田国際虚空第一ターミナルでオープンした。あくまで、食事の主役は「米」。HPを見ているだけで、真っ白の炊きたてご飯が食べたくなる。

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