中年世代のニーズ 何に恐れを感じる?

高齢期の暮らしに関して心配していることが65歳を境に異なることが、老いの工学研究所(大阪・中央区)の調査でわかった。この調査結果からは、世代によって感じる不安が異なることと、これから高齢期を迎える中年世代が何を必要としているか?について考えたい。(参照:NPO法人 老いの工学研究所 「高齢期への備えに関する調査」)

年齢で異なる「高齢期に心配なこと」

「高齢期に心配なこと、恐れを感じるもの」についての調査結果。同研究所では65歳以上と65歳未満のグループに分けて結果を導いた。

65歳以上が心配していること、トップ10

  • 1位 身体能力の衰え
  • 2位 認知症
  • 3位 家の周辺環境
  • 4位 大きな病気や怪我
  • 5位 外見の衰え
  • 6位 親の世話や介護
  • 7位 自宅の老朽化など
  • 8位 配偶者の死
  • 9位 転倒や事故
  • 10位 家事の煩わしさ

65歳未満が心配していること、トップ10

  • 1位 身体能力の衰え
  • 2位 親の世話や介護
  • 3位 認知症
  • 4位 孤独や寂しさ
  • 5位 やることがない状況
  • 6位 家の周辺環境
  • 7位 大きな病気やケガ
  • 8位 年金の受給額
  • 9位 蓄えの少なさ
  • 10位  配偶者の死

65歳以上は、金銭面よりも自身の病気や生活環境を心配しているのに対し、65歳未満は、金銭面や精神面(孤独・寂しさ・やることがない状況)を心配する傾向が見られた。65歳未満の中には40代50代も含まれており、将来の年金受給額への不安からこのような結果になったと思われるが、同時に「日本人の寿命の延伸」という近年の話題がさらに経済的不安感を強めているとも考えられる。

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シニアのリタイア後の心理やニーズとは?人生100年時代

中年世代が高齢期に向け求めているのは「具体的なライフプラン」

年金をあてにできない状態で現役をリタイアし、その後10年、20年、30年どんな風に生きていけばいいのかー?ロールモデルがいない今、中年世代(とりわけ60代突入が近い40代50代)にとって、リタイア後のライフプランは描きづらい。

お金はどうなる?

年金はどれくらいもらえる?貯蓄はいつまでもつ?どんなマネープランを立てればいい?70代、80代、90代でそれぞれどんなことにどれくらいお金が必要?どんなお金の使い方なら安心して生活できる?いつまで働けば安心して生活できる?

仕事はどうなる?

定年退職後はどんな仕事ができる?何歳まで仕事できる?再就職に向けてどんなスキルを身につけておけばいい?80代になっても何か仕事できる?何か自分でビジネスを立ち上げた方がいつまでも仕事ができるから安心?

健康状態はどうなる?

何歳でどんな病気の可能性がある?何歳の時にどんな検診を受けるべき?いつまで元気に歩ける?いつからどんな病気予防に取り組めばいい?70代、80代、90代、それぞれの年齢になった時、健康を維持するためにどんな食事をすればいい?どんなスポーツならずっと続けられる?子供や孫の健康も心配。

その他、人間関係(友達、家族、近所、仕事など)や住まい(独り身になっても自宅で生活を続ける?サービス付帯の高齢者向け住宅や分譲マンションへいつかは引っ越すべき?)など、高齢期に備えて考えておきたいことは盛りだくさんだ。しかし、高齢期に向けてどんなことをどのタイミングで考えるべきで、そしてどんな選択肢があるのか?中年世代が十分に情報を得ているとは言い切れないのが現状だ。

中年世代の「未来」に向けたシニアビジネス

シニアビジネスというととりわけ「現在のシニア」にフォーカスしがちだが、これから高齢期を迎える中年世代に向けたシニアビジネスにも、企業はそろそろ本格的に取り組まなくてはいけない。

 

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