日本のヘルスケア企業の未来、世界をリードする可能性3つのポイント

日本に続き世界的に今後社会課題となり得る「健康寿命の延伸」「QOLを最大化する医療」「生涯現役社会の実現」を叶える商品・サービスが、ヘルスケア分野のグローバル化において今後世界をリードできる立ち位置まで飛躍的に成長できる可能性が見えてきた。特にデータの利活用や人工知能・ロボットなど第4次産業の新技術を活かしたものは今後、国からの後押しもあり、グローバル化への道も早そうだ。

第4次産業革命に遅れをとる日本、世界をリードできる分野は?

ICTの分野では海外企業に遅れをとっている日本。世界的に進む第4次産業革命に日本が取り残されることなく世界をリードしていくために、経産省では2015年より議論を重ねており、その実現に向けた羅針盤とも言える「新産業構造ビジョン」が5月29日にとりまとめられた。

その中で我が国における戦略分野として挙げられたのは、日本の強み3つ「活用性の高いリアルデータを蓄積する力」「先進技術を一早く取り込み、モノを刷新し続ける力」「社会課題の先進性・大きさ」を活かした以下4つ。

  • 移動する(ヒトの移動、モノの移動)
  • 生み出す、手に入れる(スマートサプライチェーン、製造・生産現場における高度化・効率化)
  • 健康を維持する、生涯活躍する(健康、医療、介護)
  • 暮らす(「新たな街」づくり、シェアリングエコノミー、FinTech)

この4分野は今後世界をリードできる可能性があるとし、その実現に向け、政府は各分野の関連法の改正や規制緩和を進めていきたい方針だ。

ソフトに強い海外企業、ハードに強い日系企業

googleやアマゾン、Facebookと言った世界大手のインターネット関連の欧米企業は、圧倒的なデータの保有、人工知能、ロボットOSなどソフト面に強い一方で、日系企業はモノづくりと言ったハード面やリアルデータ(健康・医療・介護などのデータ、工場の稼働データ、自動車の走行データなど)に強く、現在は、それぞれが強みを生かして、欧米企業はソフトをハードと連携、日系企業はハードをソフトと連携することで、それぞれがリアルデータプラットフォームの創出を目指している。今後この競争が激化していく前に、日本の強みを再確認し第4次産業革命に官民一体となって対応していこう、というのが「新産業構造ビジョン」の目的だ。

そこで再度確認しておくべきは、日本が活かすべき強み・機会が何なのか?という点だ。それが上記に示した日本の強み3つだ。これを押さえておくと、何を持って世界に向かっていくべきか?が見えてくる。

多様で活用可能性の高い「リアルデータ」の蓄積

現場や市場で起こっていることを丁寧に拾い上げる力を活かすことで、リアルデータから新たな価値を生み出していける可能性。(引用:経産省「新産業構造ビジョン」P.29)

本来、きめ細やかな商品・サービス作りが得意で、それらを購入することにも慣れている日本人ならではのあらゆる場面での丁寧さは、現場や市場で起こっていることを拾い上げる力に長けている結果とも言える。ただし、最近はデータの蓄積に終始し、それを活用しきれていない企業も多い。ビックデータを扱える人材の不足がそもそもの課題とも言えるが、データの利活用には大きな未来が待っている。特に世界に先駆けて高齢化社会を迎えた日本は、ヘルスケア分野におけるデータの活用に成功すれば世界をリードできる可能性は十分にある。

「モノ」の強さ(先進技術をいち早く取り込み、モノを刷新し続ける力)

ハードとソフトの新たな融合を実現する可能性。(引用:経産省「新産業構造ビジョン」P.29)

日本の「モノ」が強い背景として、「顧客ニーズ・データをつかむ幅広い産業、技術の蓄積、人材、品質に厳しい消費者市場、独自の価値観・文化」などが挙げられている。最近はあまり聞かれなくなったが、「お客様は神様」という日系企業の精神が、質の高い製品やサービスを誕生させ続けてきた原点なのではないだろうか。

実際に日本の商品や接客は海外からも高い評価を得ており、これは日本ならではの強みと言える。これを活かせることができれば、今、世界的に進んでいるハードとソフトの融合技術やプラットフォームの創出に日本は成功しやすいかもしれない。

ただし、企業の利益率を下げる要因ともなっている「過剰生産」「過剰サービス」「過剰店舗」「言語の壁」「海外マーケティング不足」などの日本の弱みが足かせになる可能性があることも頭に入れておく必要がありそうだ。強みを活かすと同時に、弱みをカバーすることを考えなくてはいけない。

社会課題の先進性・大きさ

どこよりも早く多くの人を幸せにする答えを見出し、グローバルに展開していく可能性。(引用:経産省「新産業構造ビジョン」P.29)

世界トップクラスの平均寿命を誇る一方で、世界に先駆けて少子高齢化社会を迎えた日本。年金問題、寝たきり・介護問題、医療費の増大、高齢者の自動車事故など、日本の高齢化が深刻化してからは何かと暗いニュースばかりが目立つが、ネガティブに捉えられがちなこの問題も、我が国が自分たち自身で解決の道筋を見つけることができれば、ヘルスケア分野で世界をリードするグローバル化の好機と捉えることもできる。特にデータ・人工知能・ロボット等の活用を国は勧めており、それにより以下を実現したいという考えだ。

  1. 健康寿命の延伸
  2. QOLを最大化する医療
  3. 生涯現役社会

 

これらを実現できれば、それは世界の課題解決をも意味し、ひいては日本の経済成長にも繋がる。

世界のヘルスケア分野をリードする鍵は「社会課題の解決」

現在、国内でも成長市場とされているICT分野とヘルスケア分野。日本の強みを活かしつつ2つを融合することで、世界のヘルスケアリーディングカンパニーが今後日本から次々に誕生するかもしれない。

そのために軸として常に考えておくべき大前提が、「少子高齢化社会により新たに生まれた様々な社会課題をいかにして解決できるか?」だ。

2013年にユネスコ無形文化遺産に登録され諸外国で和食への関心が高まり、ヘルシーな食事文化を持つ国として日本が注目されていること、そして長寿国と認知されている日本。健康のイメージが強いことも、日本のヘルスケア分野が世界をリードするのに欠かせない大きな強みになる。デジタルヘルスケアの分野は、今後急速な成長を見せそうだ。

 

 

 

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