クルーズ人気過去最多記録 ヘルスケアサービス融合に商機

クルーズ旅行を楽しむ人が年々増えている。国土交通省の調査によると、2016年の日本人のクルーズ人口、クルーズ船の寄港回数、訪日クルーズ旅客数が過去最多を記録したという。

日本のみならず世界的に増えるクルーズ人口、さらに政府が「明日の日本を支える観光ビジョン」で「訪日クルーズ客数を2020年に500万人」という目標を設定していることからも(※)、クルーズ旅行はこれから「特別なこと」ではなく「一般的な旅スタイル」へと成長しそうだ。※2016年は199万人

クルーズ人気は「国内派」よりも「外航派」

2016年のクルーズを利用した日本人乗客数は24.8万人。内訳をみると、外航クルーズ15.44万人、国内クルーズ9.37万人と「外航派」が多い。90年代に人気を集めた国内クルーズに代わり、近年は国内よりも外航を楽しむ人の割合が増えている。

「国内派」はショートクルーズ、「外航派」はゆったり

調査によると、国内クルーズの宿泊数は1~2泊が最も多く半数を占めている。長くても3~4泊と短期の滞在だ。クルーズというと大型連休や長期休暇で利用する印象もあるが、国内であれば週末に気軽に利用できるプランも揃い、意気込む必要なく楽しめるのが魅力だ。価格は客室タイプによるが30,000円〜のプランも揃い、温泉旅行(交通費+宿泊代)に出かける場合とさほど変わらない料金で楽しめる。小さい子供のいる家族、友人と旅行、一人参加など、様々な年代やジャンルの人が利用しやすい。

一方、外航クルーズは5~7泊する人が最も多いという結果に。大型連休や休暇を利用する人、リタイア後のシニアなど「時間持ち」の人による利用が多いのだろう。もちろん価格はその分跳ね上がるが、10万円代や20万円代〜のプランも豊富で、「交通費や食事代、船内の充実した各種プログラムを利用することを考えれば安いものだ」と、利用者の満足度は高い。

充実した船内の美容・健康 各種プログラム

クルーズ旅行の楽しみと言えば、何と言っても基本的に無料で楽しめる(一部有料のものもあり)滞在中の食事やアクティビティ、カルチャー教室などだ。映画・音楽鑑賞。スパ、サウナ、ヘアサロン、ネイルサロン、メイクサロンなどの美容・健康サービス。ストレッチ、ヨガ、プール、ウォーキングなどの運動プログラムなどだ。子供からシニアまで年齢や男女問わず誰もが楽しめるプログラムがそろい、特に女性にとっては、旅行中に気になる「食べ過ぎ」「運動不足」「美容ケア」ができるのは嬉しい。

これからのクルーズ旅行のニーズは「健康不安対策」

クルーズ人口は、外航派が牽引する形で今後さらにその数を増やしていくと予想されるが、同時に持病を抱えている人やシニアの「旅行中の健康の不安を何とかしたい」ニーズが高まりそうだ。

外航派は長期クルーズのプランが多いこと、シニアの利用者が多いことを考慮すると、クルーズ旅行への興味がありながらも健康の不安から断念する人が実は多い可能性もある。実際にクルーズ中の健康面を心配する声も聞かれる。船内は医療体制が整っているため何か起きた時は乗船している医師に診てもらえるが、「医師に診てもらうほどではないが、旅行中に体調が悪化しないように自分できちんと体調管理できる環境を整えたい」という診察一歩手前のニーズに応えるサービスの充実化が今後求められそうだ。

それは、糖尿病患者や予備軍のための糖質制限食かもしれないし、高血圧患者のための減塩食かもしれない。カリウム制限食やたんぱく質制限食があれば安心して旅行中の食事を楽しめる腎臓病患者もいるだろう。各不調や持病に合わせた運動プログラムがあってもいいかもしれない。もしくは、目的別にヘルスケアツーリズムプランを打ち出すのも良いだろう。

旅行の定番スタイルへと成長の兆しを見せるクルーズ旅行。健康に不安を感じる人への行き届いたサービスが充実化すれば、人気はさらに高まりそうだ。

【編集部おすすめ記事】
旅行は認知症予防につながるか?東北大と共同研究
旅行ニーズに「バリアフリー観光」で応える岐阜の取り組み
「女子会」キーワードは女子の興味を惹けるのか?年代別に戦略を変えよう
働く女性が実感「この1年で買って良かったもの」
一年前と比較して支出を減らしたものは?生活者意識調査
期待市場「スポーツツーリズム」の現状と課題