【2019】化粧品の市場規模と動向 復活の兆し見せる日本と、成長著しいアジア(2/3)
化粧品市場規模と動向(世界)
人口減少と高齢化が加速する国内では、日本人の需要だけを見据えた戦略に限界がある。化粧品市場全体がグローバル展開に目を向けている中、特に有望市場とされているのがアジア。世界比較で市場を俯瞰すると、なぜアジアが有望なのか?その理由が見えてくる。
なぜアジアが有望?3つの理由
- 理由1.国内は人口減少、世界の女性人口は増加
国内の人口は急激に減少していくが、世界の女性人口は増加を続けており、今後も増加していくと予測されている(United Nations「World Population Prospects 2019」)。市場開拓のためには世界に目を向けたい - 理由2.化粧品市場はアジアが最大に
2001年の世界化粧品市場では北米が27%でトップシェアを持っていた。しかし、2015年にトップシェアとなったのはアジア(日本を除く)で25.5%(みずほ銀行産業調査部「変化を遂げるアジア化粧品市場と日本企業のアジア戦略の在り方」)。アジアは世界市場で確固としたポジションを確立しており、今後も拡大が期待されている。 - 理由3.化粧品市場、成長率でもアジアが最大
成長率でもアジアが注目される。成長率では北米が2.4%、西欧においては-3.6%であるのに対しアジアは7.2%と際立っている。アジア圏では所得水準が高まっており、美容への意識も向上していることが背景と考えられる(みずほ銀行産業調査部「変化を遂げるアジア化粧品市場と日本企業のアジア戦略の在り方」)。
アジア女性のニーズは「メイクアップ」より「スキンケア」
アジアではメイクアップ市場よりもスキンケア市場が大きい。「国別ビューティー&パーソナルケア市場の状況(資生堂)」によると、欧州では化粧品市場におけるスキンケア構成比が30%、メイクアップ構成比が21%であるのに対し、アジア・パシフィックではスキンケア構成比が62%、メイクアップ構成比が22%となっている。さらに中国においてスキンケア構成比が79%、メイクアップ構成比が14%。
アジアの国別の市場動向
- 台湾
化粧品市場は3,200億円規模と見られ、徐々に成長。資生堂のほか、ロレアルなども人気(台湾ラボ「まだ知られざる台湾のコスメ市場とは?」) - 中国
化粧品市場は1,221 億元(2010 年、およそ2兆円)と見られ、急拡大している。人口増加、所得増による化粧品人口の増加が市場拡大の理由として挙げられる。特にスキンケア製品が市場拡大をけん引(日本貿易振興機構「中国化粧品市場調査報告書」) - 韓国
化粧品市場は7,000億円規模と見られる。女性の社会進出に伴い、化粧品の購買力が高まっている(日本国際経済学会「韓国化粧品産業の現状と課題 」) - シンガポール
小売り市場は2兆円規模(日本の50分の1)に過ぎず、日本の化粧品市場の比率を考えてもシンガポールの化粧品市場規模は2,000億円以下と考えられる。しかし市場は拡大しており、特に日焼け防止アイテムのニーズが高い(日本貿易振興機構「シンガポールにおけるサービス産業基礎調査」)