ヘルスケアベンチャーの基礎知識 サミット・業界知識・注目ベンチャー(2/3)

ヘルスケアベンチャーを支援、プログラム/ファンド/コミュニティ

J-Startup 〜世界で勝てるベンチャーをサポート〜

経済産業省は2018年6月、スタートアップ企業を支援するプログラム「J-Startup」を開始した。有識者が成長スタートアップ企業を推薦し「J-Startup企業」として選定。大企業やベンチャーキャピタルで構成される「J-Startup Supporters」とともに、官民一体でサポートを行う。日本では1万社以上のスタートアップ企業があるが、時価総額が10億ドル以上となるようベンチャー企業は少ない。「J-Startup」は厳選した企業を集中的にサポートすることで、世界で新しい価値を提供できる企業の成長を促す。

Healthcare Innovation Hub 〜ヘルスケア分野のワンストップ窓口〜

経済産業省は2019年6月にヘルスケア分野のワンストップ相談窓口である「Healthcare Innovation Hub」(通称イノハブ)を開設。開設にあたり2019年3月に「サポーター団体」を募集した。ヘルスケア産業のベンチャー企業は研究開発に長い期間・多額の費用を要する可能性があることから、適切な資金調達などの支援環境の整備が重要とされる。イノハブでは、関係省庁や政府系ファンド、民間ファンドを含めたベンチャー支援関連施策に加え、予算を一元的に集約している。

投資家を見つける

ヘルスケア産業が急成長している今、ヘルスケアベンチャーへの投資が活発化している。資金調達に投資家を活用するなら今がチャンスといえる。日本のベンチャーキャピタルによる投資額は950億円(2016年)で、年々成長している。ベンチャーの資金調達額の47%を占めている。投資分野を見ると、バイオ・医療・ヘルスケアは17.5%で2番目に多い(1番多いのはIT関連の50.3%)。特に「ヘルスケアテック」は注力分野とされ、2016年は前年比で投資額は159%と上昇傾向にある。ベンチャーキャピタルの投資先や投資額など詳細は「第四次産業革命に向けたリスクマネー供給に関する研究会(一般社団法人日本ベンチャーキャピタル協会)」が参考になる。

投資家の情報を検索するプラットフォームを活用する手段もある。

STARTUP List」は国内最大の起業家・投資家の情報検索サービス。­起業家は投資家を探し、コンタクトを取る。投資家も同様で起業家を検索でき、コンタクトが送れる。支援者による実名評価も掲載され「お墨付き」をもらった起業家は投資家から評価されやすくなる。2019年5月現在、サインアップ数は4,000を超え、審査済みユーザーは1,500以上となっている。

そのほかに投資家から資金を調達するにはピッチイベントに参加し自社を直接アピールすることもできる。ピッチイベントは自社の製品やサービスを短い時間で紹介することで資金を獲得することを目的とする。

(一社)日本スタートアップ支援協会は2019年2月にピッチイベントを開催。上場企業トップによるトークセッションや投資家を交えた交流会も開催した。スタートアップ企業は40社が参加した(次回開催は未定)。

ヘルスケアイノベーション

出典:一般社団法人日本スタートアップ支援協会

モーニングピッチ」と銘打ち、毎週木曜、朝7時からピッチイベントを開催しているところもある。野村證券(株)とデロイト トーマツ ベンチャーサポート(株)の2社が幹事を担当している。毎週5社のスタートアップ企業が約100人の聴講者に対してピッチを行っている。2013年1月の開始以降、2018年12月時点で250回超を開催。累計1,200社を超えるスタートアップ企業が登壇した。

医療現場での課題を解決するスタートアップ企業を支援する「大学・企業・病院発 メドテック・イノベーションピッチ」もある。(一社)ライフサイエンス・イノベーション・ネットワーク・ジャパン(LINK-J)、(株)日本医療機器開発機構(JOMDD)、MedVenture Partners (株)(メドベンチャー)、US-Japan Medtech Frontiers(USJMF)が主催。日本発の医療系ユニコーン企業が誕生することを目指している。2018年 11月にピッチイベントを開催。優勝したのは難治性便秘症の治療デバイスを開発する、株式会社Alivas。

ベンチャーのコミュニティに参加する

ベンチャーのコミュニティに参加することで情報や人脈を得ることもできる。「ベンチャー・カフェ」はアメリカ・ケンブリッジ発の非営利団体の交流の場で2007年の誕生以降、欧米の各都市で約25万人が参加してきた。2018年3月「ベンチャー・カフェ東京」として日本に進出。日本では虎ノ門ヒルズ森タワー内の「虎ノ門ヒルズカフェ」をイベント会場として使用している。ベンチャー・カフェはイノベーション・ハブを構築する世界的な組織であるケンブリッジ・イノベーション・センター(CIC)の姉妹組織。「ベンチャー・カフェ東京」のスポンサーには、JTや損保ジャパンなど著名企業が名を連ね、運営責任者は山川恭弘氏(米国バブソン大学准教授)が務める。毎週木曜日、午後4時から9時に開催する。料金は無料でイノベーション・エコシステムに関与している人なら誰でも参加可能。前述のJ-startupが「ベンチャー・カフェ東京」と共催で「Venture Café J-Startup Hour」と題したサロンを開催している。

女性起業家を中心とした交流の場もある。「ヘルステックウーマン」は、アメリカ・ニューヨークに拠点を置く非営利団体で、さまざまなバックグラウンドを持つ女性が集まり、交流できる場を提供している。2013年の発足以降、米国内の会員数は2万人超。「ヘルステックウーマンジャパン」はアジア初の拠点となる。

ベンチャーを支援する政府・関連団体の情報

(一財)ベンチャーエンタープライズセンターは「ベンチャー白書2018」を発刊。ベンチャー企業を対象としたアンケートを実施、起業の背景や困難、要望する支援策、運営状況などについてとりまとめている。巻末には政府・関連団体のベンチャー支援一覧が掲載されている。

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