介護分野におけるICT化の必要性と導入のメリット、活用事例(2/3)

介護分野におけるICT活用のメリットと導入の課題

一見メリットだらけに思えるICT活用だが、導入状況は進んでいるとは言い難い。人手不足や資金不足が問題視される介護業界にとってICT機器を導入するハードルは決して低くなく、スタッフの再教育など、合わせて取り組まなくてはならない課題は山積み。ICT活用によるメリットを生かすためには、こうした課題解決への取り組みを同時並行で行うことも求められてくる。

ICT活用のメリット

多岐にわたる介護業務を効率化し、人の負担や精神的ストレスを軽減する

  • <例>
    ・見守り機器の導入により、見守りにかかっていた時間を削減できる
    ・クラウドでの情報共有で、いつでもどこでも資料を確認できる
    ・記録システムの導入により、手書きによる各連絡・共有事項の転記にかかる作業量を軽減
    ・事務所に寄らずとも手持ちのタブレット端末で記録・提出することで、ホームヘルパーとして働く訪問介護員の直行直帰が可能になる

離職率の低下や介護人材の確保といった人手不足における問題を緩和

  • <例>
    ・スタッフの教育にタブレットや動画を活用することで、教育時間の短縮や進捗状況の管理を容易に
    ・情報共有やクラウドで作業内容を「見える化」し手順を明確にすることで、個々の不要な業務を減らし、少ない人数でも業務をこなせる

生産性の向上

  • <例>
    ・売上や介護施設の稼働率予測、コスト管理をICTで実践することで、施設運営の生産性を向上できる
    ・介護サービスの計画から実行、結果までの記録業務をデータ化し、一括管理する

情報共有がスムーズになる

  • <例>
    ・介護記録やその他書類の作成、伝達にかかる時間を削減
    ・記録データを介して担当者間の引き継ぎがスムーズに
    ・医療機関や薬局といった外部関係者との連携がスムーズ

データを蓄積し、確認・分析ができるようになる

  • <例>
    ・介護サービスの分析・フィードバックにより科学的根拠に基づいた介護が可能になる

コミュニケーションの活性化

  • <例>
    ・スタッフが必ずタブレット端末をもつことで、スタッフ間の情報共有やコミュニケーションが活発になる
    ・利用者に対する悩みや問題を、いつでもどこでも話し合うことができる

課題

システム導入のコストがかかる

インターネット環境整備の費用、デバイスの購入、セキュリティ対策費など

ICTの活用に懐疑的な従業員を納得させる必要がある

対人サービスである介護職にマニュアル的なICTを導入する必要性は感じられないという意見もある

日々の業務が大変でICTを導入する余裕がない

導入にはコストだけでなく時間と労力も要するため、ある程度のゆとりが必要になってくる

ICTの導入がかえってスタッフの負担となる場合も

介護福祉系の学校でICTに関する教育過程はまだなく、テクノロジーへの苦手意識が強いスタッフは多い

事業者サイドの学びも必要

ICTを使いこなすための学習はスタッフだけではない。事業者サイドも、ICT導入の検討にあたりリテラシー向上に努める必要があり、また、導入したICT機器の使い方を学ぶ必要がある。


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