女性の社会進出を歴史と統計で確認 日本・世界の現状と課題 (3/4)
世界統計で比較すると見えてくる、日本の低い水準
女性の社会進出に意欲的な海外に比べると、日本の水準の低さは明らか。M字カーブやGGI(ジェンダーギャップ指数)の異様な低さは、日本の女性の社会進出における問題を物語っている。
高くはない日本女性の就業率、世界ランキング
OECD諸国における女性就業率の平均は60.1%。日本は67.4%で35カ国中16位となってはいるものの、82.9%で3位に位置する男性就業率を考えると決して高い順位とは言えない。
欧米諸国には見られない“M字カーブ”
日本女性の働き方の特徴を示すM字カーブは韓国でも同様に見られるが、他の欧米諸国では見られない。アメリカやドイツは20代から50代まで女性の就業率はほぼ横ばいに推移し、スウェーデンにいたっては就業率が40代まで上昇を続け、逆U字型を描いている。
女性の社会進出における問題、2つの視点から
女性の社会進出に関連する問題は、女性が社会進出を果たしにくいことだけではない。女性の社会進出が加速することによって新たに起こる問題もある。
女性の社会進出が進まない理由
日本の女性の社会進出が進むものの、世界的に見るとまだまだ遅れている。その理由は以下の通り。
<出産か、仕事か>
M字カーブの底は低くなっていたり、また女性が働き続けやすい環境づくりをする企業が以前と比べて増えているとはいえ、今なお出産を機に離職する女性は多く、「出産かキャリアか」という選択に迫られる。仮に出産をして復職しても、マミートラックに陥ってしまうケースも少なくない。
<根強く残る性別役割分業>
男性の育児参加は増えているものの、実際に家事・育児を主導するのは女性。夫は家事・育児に参加することを「手伝う」と捉える傾向が強いが、女性側が求めているのは「(手伝う、ではなく)分担」。夫婦間にある性別役割分業が、女性に過剰な負担を強いることとなり、社会進出を阻むこともある。
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<企業側の低い意識>
指導的立場に占める女性の割合は増えているとは言っても微々たるもの。企業サイドの意識はまだ足りていない。帝国データバンクによる調査では、「女性の活用・登用を進めていない」と回答した企業は34%にものぼる。
<女性側の低い意識>
一方で女性側の意識も高いとは言えない。ソニー生命保険が行った「女性の活躍に関する調査2017」では、「管理職に就いてみたい」と回答したのは2割未満。その原因として、女性が管理職を務めるには社会整備が整っていない点が挙げられた。あくまで男性型の会社環境のため、女性特有の妊娠・出産といったライフステージ毎の対応が用意されていないケースは多く、女性管理職としてのライフワークバランスは描きにくい。
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