1日の食事の中で朝食が最も大切だと考えている人は多いだろう。しかし、朝食をきちんと食べることは、適正体重を保つために必要とはいえないようだ。そんな研究結果を、モナシュ大学(オーストラリア)のFlavia Cicuttini氏らが「BMJ」1月30日オンライン版に発表した。朝食をたっぷり食べても、その日の昼食や夕食の量が減ることはなく、むしろ朝食を食べない人に比べて総カロリー摂取量は増えることが分かったという。
Cicuttini氏らは、1990~2018年の約30年間に実施された、朝食が体重やエネルギー摂取量に及ぼす影響を調べたランダム化比較試験のシステマティックレビューを実施。高所得国の成人を対象に、朝食を食べる群と朝食を食べない群を比較検討した13件の試験を対象にメタ解析を実施した。観察期間は最短で1日から最長16週間だった。
解析の結果、朝食を食べない群では、朝食を食べる群に比べて体重は低かったが、その差は平均でわずか0.44kgであることが分かった。また、朝食を食べる群では、朝食を食べない群に比べて1日当たりの総摂取カロリーが平均で約260kcal多いことも明らかになった。一方、代謝率には両群間で有意な差は認められなかった。
この結果について、Cicuttini氏らは「解析対象とした研究の質にはばらつきがあり、一貫しない部分もみられるため慎重な解釈が必要だが、朝食を食べても減量にはつながらないことが示唆された」と結論づけている。同氏は「この結果を踏まえると、減量するために、朝食を取るように食生活を変えるべきではない」と述べている。ただし、朝食を取る習慣がある人もいれば、そうでない人もおり、この結果は誰にでも当てはまるわけではないとも指摘している。
論文の付随論評を執筆したTim Spector氏は、朝食を取るかどうかは個人の好みに基づくべきとするCicuttini氏の意見に同意している。Spector氏自身は朝食を食べることを好むが、「代謝や遺伝子、腸内細菌は個人差があり、食べ物に対する反応も異なる。自分にとって最適な方法を見つけることが必要だ」と述べている。
一方、これまでの研究では、朝食を取ることは適正体重の維持に有用なことが示唆されていた。しかし、CicuttiniとSpectorの両氏によれば、研究のほとんどは観察研究であったうえに、一部の研究は偏りが大きく、欠陥があるものだったとしている。
Cicuttini氏は「この研究の重要なメッセージは、朝食を食べる習慣がある人であれば何ら問題はないが、体重の増加や肥満を予防するために、朝食を取るように食生活パターンを変えるよう奨励するエビデンスはないということだ」と説明している。
専門家の一人で、米クイニピアック大学の管理栄養士であるDana White氏は「この研究結果は、朝食を食べる習慣がない人たちにとっては、朝食を抜いても体重は増えないという安心感をもたらすものだ」と話す。その上で、「朝に限らず、空腹を感じたら我慢せずに適度な食事を取るよう心掛けるとよい」と助言している。(HealthDay News 2019年 1月30日)Copyright © 2019 HealthDay. All rights reserved.
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