【乳がん月間】乳がんサバイバーに人気、美容・健康サービス&コミュニティ
ピンクリボン運動の広がりや有名人の乳がん告白などを背景に、乳がん検診の受診率は着実に向上している。女性を象徴する部位のがんであること、他の部位とは異なり乳房を切除した場合に目にわかる外見変化を伴うこと、そして女性の全がんの中で乳がんが最も罹患率が高いことが、女性たちの不安意識を強めている。
だが一方で、早期発見・早期治療ができれば予後が良好であることが知られ、また、乳がんサバイバーのQOL向上を支える商品・サービスが充実化してきたことで、罹患・非罹患問わず、乳がんを正しく恐れながら向き合おうとする女性も増えている。乳がんサバイバーのQOLを支える人気サービスの事例をまとめた。
目次
乳がん検診受診率、約半数に向上
女性の乳がん罹患、年間で92,300人
1年間で乳がんと診断されるのは92,300人。女性91,600人、男性650人で、圧倒的に女性に多い。さらに、女性の乳がんは全がんの中で最も罹患率が高く、そのピークは40歳代後半〜60歳代後半。
グラフの通りがん罹患率は最も高いが、死亡率については2%ほどで、全がんの中で見ると6番目。
つまり乳がんは、罹患率は高いが早期発見・早期治療で良好な経過を期待できるがんであるということ。発見が遅れれば、助かったかもしれない命を落としかねない。乳がん検診の重要性が国内外で声高に啓発されているのは、罹患率は高いも早期発見・早期治療で助かる可能性が高いからだ。
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乳がん検診受診率向上、約半数へ(2019年)
2019年の国民生活基礎調査(厚生労働省)によると、乳がん検診の受診率は47.4%で、肺がん(45.6%)、子宮がん(43.7%)、大腸がん(40.9%)、胃がん(37.1%)の各検診の中で最も受診率が高い結果となった。大きな伸びではないものの各検診とも受診率は年々上がっており、乳がんについては2013年比で4%上昇した。
乳がんサバイバーのQOLを支える、人気サービスとコミュニティ
乳がんサバイバーのための”乳がんヨガ”
乳がんヨガの指導者育成を行う団体や、がんサバイバー向けヨガクラスを積極的に導入する大学病院など、近年、乳がんサバイバーを対象にしたヨガ教室が増えている。
背景にあるのは、ヨガのがん治療への有効性や、がんサバイバー自身のニーズの高まり。適度な運動は乳がんの再発や死亡リスク低下につながることが研究で示され、乳がん治療と並行してヨガやエクササイズが推奨されている。また乳がんサバイバー自身も、「ヨガで身体的・精神的ストレスを軽減したい」というニーズがある。筋トレやジョギングなどの激しい運動とは違い穏やかに体を動かすヨガは、治療中の体に大きな負担がかからず続けやすい。リラックス効果も大きいので、精神衛生面の点でも良い。
乳がんヨガクラスの普及に取り組むBCYでは、47都道府県、全国どこでも乳がんヨガに通える環境づくりを目指し、乳がんヨガ講師養成講座を開催している。講座では、乳がんの知識、治療中の体でできる安全なヨガポーズ、治療中の精神的ストレスや不安の軽減法などを学ぶ。中には自身が乳がんサバイバーである講師もいるという。各講師が各地で開催している乳がんヨガは、BCYのHPから確認できる。
SNSでも、「乳がんヨガに行ってきた」「乳がんヨガに行きたいけど、やっているところが少ない」など、乳がんヨガに関する投稿が見られ、乳がんサバイバーの間でも実際にニーズは高いようだ。
がん治療におけるヨガの有効性などについては、以下の書籍にまとめられている。既述の、がんサバイバーヨガの大学病院への導入を進めている乳腺外科医・新倉直樹氏が監修を務めている。
脱毛前の髪型を再現、シールエクステと医療美容師
地毛に毛束を付けて髪の毛を長く見せるヘアーエクステ(エクステ)は、抗がん剤治療により抜けた髪の毛が再び生えてきたときに手っ取り早くロングにできる便利なアイテム。2000年頃にエクステが大流行した当時は、地毛に編み込んで繋げるタイプが主流だったが、最近は、粘着テープで地毛にエクステを貼り付けるタイプのシールエクステが人気で、がんサバイバー女性とも相性が良い。
というのも、編み込みタイプの場合、編み込むための地毛がある程度長く生えている必要があるが、シールタイプであれば貼り付けるだけなので、脱毛後に生えてきた地毛がまだ短い段階であっても取り付けが可能。以下動画はシールエクステの付け方を解説する動画(Youtube「コンテナ – 理美容講習動画チャンネル」)。
ちなみにシールエクステはセルフで簡単にできるので、健常者など地毛が長い人は通販などで購入し自宅で取り付けているが、がん治療で頭髪全体が抜け落ち、再度生え始めてきた状態で頭部全体にエクステをつけたい場合は、美容室でやってもらう方が早い上に自然に仕上げてもらえる。
乳がんサバイバーが通いやすい美容室は、医療美容師がいる店舗やウィッグ専門店。「医療美容」とは、「病気や怪我、又は先天的な容姿の問題から生じる精神的な苦痛を和らげる為の美容技術(RAMBSより)」のことで、「医療美容師」は、がん治療をした女性の悩みに沿った美容メニューを提供できる人材のこと。
襟足やおでこに産毛を作るカットを施して自然なウィッグに仕上げたり、毛髪改善や自毛デビューを目指した頭皮洗浄や、顔のくすみをカバーするメイクなどをしてくれる。がん治療中に起こる様々な美容悩みを理解しているので、がんサバイバーの女性たちが頼りにする存在だ。
現在、RAMBS医療美容協会が認定するサロンは全国で80を超える。リストはこちら。
女性特有のがんに特化したSNS、ピアリング
ピアリングは、乳がん、子宮がん、卵巣がんといった女性特有のがんに罹患した女性が集うSNSアプリで、日本最大の女性がん患者コミュニティ。2017年にリリースされ、現在8,900人が登録している。

アプリでは、がんサバイバー同士でコミュニケーションができる質問機能や、自身の治療内容を記録できるダイアリー機能の他、治療中の美容ケアや副作用対策や、仕事と治療の両立に関する記事を読める。オンライン上でのセミナーや交流会などのイベント開催もあり、いわゆる「患者会」や「がんサロン」のインターネット版といったところだ。
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闘病生活やお役立ち情報を発信、乳がんユーチューバー
女性ユーチューバーといえば、メイクハウツー、エイジングケア、美容整形ビフォーアフターなど美容系が目立つが、数としては多くはないものの、がんサバイバーとして活動する女性ユーチューバーもいる。
自身のがんのステージ、がんを発症した当時の体の様子や気持ち、入院生活の様子、手術の流れ、術後の体の変化、治療の副作用とその対策、闘病中の美容ケアなど、リアルな闘病生活をコンテンツ化して動画を制作している。
再生回数が200万回近いものもあり、コメント欄には「生きる勇気を持てた」「病院選びの話が参考になった」など、同じがんサバイバーである女性や、がんで家族を失った人たちによる共感・感謝・応援の声が並ぶ。非罹患者からのコメントも多く、「勇気ある告白に感謝」「貴重な体験談ありがとう」「自分は若いからと安心していた。検診に行きます」などの声も。
乳がんサバイバーのユーチューバーでは、ゆりさんという女性がいる。看護師である彼女は28歳の時に乳がんを発症。自身の体の状態や体験を踏まえ、乳がん患者が疑問に感じる様々なトピックをコンテンツ化している。例えば、次のようなトピックを取り上げている。
- 脱毛が進行している時のシャンプーの注意点や、脱毛量について
- 医療美容師によるウィッグカットで、おでこの生え際や襟足の産毛を調整しながら仕上げていく様子を紹介
- ウィッグで自然なポニーテールを作る方法
- 抗がん剤により変色・変形した爪のケア方法
- 抗がん剤の副作用である鼻血の止め方
- 治療により出てきた足の痛み・痺れを軽減する靴のインソール紹介(インソールは企業からの提供)
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