ジェンダード・イノベーションって何?
2023年2月に開催する「ジェンダード・イノベーションEXPO(主催:健康博覧会/企画:ウーマンズ)」のテーマである「ジェンダード・イノベーション」とは何なのか?理解を深める情報をまとめました。
目次
ジェンダード・イノベーションとは?
ジェンダード・イノベーションとは、科学・技術・政策など幅広い分野において性差分析を取り込むことで、新しい視点を見出しイノベーションを創出することを指します。命や健康に直結しやすい医療・ヘルスケアの分野においては特に必要とされる考え方で、性差分析を取り込むことにより、これまでは明らかにされてこなかった、あるいは着目されてこなかった女性特有/男性特有(※)の健康問題・健康悩み・健康ニーズをより正確に捉えた製品・サービス開発につなげられることが期待されています。2022年には政府が「女性活躍・男女共同参画の重点方針(女性版骨太の方針 2022)」の中でジェンダード・イノベーションに言及したことでも、性差分析の関心が社会的に高まるきっかけとなりました。※ここでは生物学的性差を指して「女性」「男性」と記載しています。
ジェンダード・イノベーションが起きると、どんなヘルスケア製品が生まれる?
2020年のフェムテック元年を皮切りに女性特有の健康問題に着目する動きは社会全体で起きていましたが、その解決には男性の理解や男性特有の健康問題への着目も必要であることが認識されるようになり、同時に政府による「ジェンダード・イノベーション」への言及も後押しとなり、男性特有の健康問題にも徐々に関心が向けられるようになってきました。日経TRENDYが2023年のヒット予測24位に「メンテック」を選定したことからも、今後は多様なメンテックが登場し、生活者の間でも健康問題を性差に分けて捉える動きが浸透していくと考えられます。
この流れを端的に整理すると、ヘルスケア市場でジェンダード・イノベーションが起きたことで「フェムテック」と「メンテック」のカテゴリーが生まれ、これまで着目されてこなかった健康領域の製品が登場したと捉えることができます。現状フェムテックもメンテックも、女性のみ/男性のみが持つ臓器や健康問題に着目した製品の開発が先行して進んでいますが、今後は男女共通疾患における性差に着目した製品の開発も進むことが期待されます。
<性差分析により開発が期待される、3タイプのヘルスケア製品>
- 【1】女性のみ、または男性のみに起こる健康問題を解決・予防する製品
- 【2】男女ともに起こるが、女性または男性に多く見られる健康問題を解決・予防する製品
- 【3】男女に同等に起こる健康問題を、女性特有、または男性特有の症状・原因・心理・環境などに配慮して解決・予防する製品
ジェンダード・イノベーションの理解を深める記事
ジェンダード・イノベーション、最新動向
「ジェンダード・イノベーション」という言葉は2005年に生まれた概念ですが(米スタンフォード大学のロンダ・シービンガー教授が提唱)、日本においてはここ数年ほどで、国、アカデミア、各メディアが「ジェンダード・イノベーション」に関する取り組みや情報発信を活発に発信するようになってきました。特に2022年から顕著になり、「女性活躍・男女共同参画の重点方針(女性版骨太の方針 2022)」内でのジェンダード・イノベーションへの言及、日本学術会議と広島大学によるシンポジウム「ジェンダード・イノベーション 一人ひとりが主役の研究開発が新しい未来を拓く」の開催、お茶の水女子大学の「 ジェンダード・イノベーション研究所」設立、日本経済新聞などのメディアが性差分析や性差医療に関する記事を公開するなど、ジェンダード・イノベーションを耳にする機会が増えてきました。国内の動向は以下よりご覧いただけます。
ジェンダード・イノベーションについて学べるビジネスカンファレンス開催(2023年2月8日~2月10日)
ジェンダード・イノベーションEXPOの連動企画として、ビジネスカンファレンスを3日間にわたり開催します。日毎にテーマを変え、17本のビジネスセミナーを開催。登壇するのは、性差分析に着目した製品・サービス開発に先行して取り組む企業や、医療界での性差分析に取り組む医療者、業界の最新動向をキャッチアップしている業界紙や女性誌の編集者、新聞記者など、計34名。多様な視点からジェンダード・イノベーションの最新情報を発信します。
- 【2月8日テーマ】ジェンダード・イノベーション総論
- 【2月9日テーマ】性差分析の事例から商機発見
- 【2日10日テーマ】ジェンダード・イノベーション視点のマーケティング
- プログラム一覧