派手髪の需要が伸びている。ヘンケルジャパン（東京・品川）の調査によると美容室では、昨年よりも派手髪のオーダーが3.6倍増加しており、ドン・キホーテは派手髪カラー用商材の売上が3年連続2桁成長しているという。

派手髪にして「自分に自信がついた」75％

ヘンケルジャパンが実施した派手髪に関する調査では以下のことがわかったという（調査対象：全国20～60代の美容師男女100名,全国20～30代の一般の女性100名,全国20～30代の派手髪経験女性100名）。

• 美容室で派手髪をオーダーする人が昨年より3.6倍増加！現役美容師の62%が派手髪のビジネスパーソンが増加したと回答！
• 77%の一般女性が派手髪は自分の印象が悪くなってしまうと思うと回答。一方で派手髪経験者の84%が派手髪の自分に満足し、54%は印象が良くなったと回答！
• 派手髪経験者が感じるメリット「75%が自分に自信がついた」「90%がSNSの反応がアップ！」
• 派手髪が似合う有名人TOP３　第1位あいみょん、第2位氷川きよし、第3位に橋本環奈がランクイン！
• 現役美容師に聞いた「令和になってよくオーダーされる色」「今後流行りそうな色」第1位は「シルバー」！昨年から話題の「レインボーカラー」も第4位にランクイン！派手髪経験者、未経験者共に人気のカラーは「ピンク」!

ネット上の関心も右肩上がり

インスタグラムには「#派手髪」の投稿が36.8万件（2020年3月23日現在）。ネット上の関心も右肩上がりで高まっている。

Googleトレンド「派手髪」

派手髪の需要が伸びている理由

なぜ派手髪の需要が今伸びているのか？背景には、街歩く人の髪色・髪型が多様になったこと、SNSの影響、働き方の多様化・カジュアル化などが影響しているという。前出のドン・キホーテ担当者、東京・銀座の美容師、ファッション・クリエイティブ・ディレクターはそれぞれ派手髪需要の伸びについて次のように分析している。

自分好みのスタイルを表現したい

客層は学生や、いわゆる『パリピ』などの若年層だけでなく、おしゃれな主婦やフリーランスの社会人、また、自由な社風の職場で働いているような人など、30代の社会人層まで広がっている印象を受けています。（中略）

また、個性的でおしゃれな、セルフネイルや手作りアクセサリーが定着し、自分好みのスタイルを表現したいというニーズが、髪色にも広がっているとも感じております。（ドン・キホーテライフスタイルMD開発本部 ライフスタイル3MD デイリーグッズ　マーチャンダイザー　庄司 大輔さん）

街歩く人の髪色の多様化

派手髪をオーダーされるお客様として、働き方の自由度が高い方が多いです。 さらに最近では、落ち着いたファッションの OL の方や仕事中は髪をまとめれば大丈夫という看護 師、歯科衛生の医療関係の女性も増えていると感じております。初めての方は、ピンク、水色といった単色オーダーが多いのですが、2 回目以降は、1 色では物 足りないようで、2 色・3 色…と髪に入れるカラー数を増やされるお客様が多いです。

スタイルとしては 耳後ろに入れるインナーカラーが人気です。 派手髪オーダーが増えた背景として、”派手髪”が決して見慣れない特殊な色ではなく、街を歩く 人の髪色が多様になってきたこと、SNSでチラっとみえるインナーカラーの投稿が増えたこと、そして “鬼滅の刃”などのアニメの流行が関係していると思います。（東京・銀座美容室stair : case赤津 まゆ美さん）

ダイバーシティ社会の象徴

髪色を変えることのハードルが男女とも下がっています。その背景には４つの要素があると思います。

・第一に働き方の変化。ダイバーシティ、インクルージョンが謳われる今、オフィス服も大きくカジュアル化しました。同時に髪色が自由な職場が増えております。

・第二にSNSの影響。インスタグラムやYouTubeで個人が発信する時代、「何者かになる」こと、セルフプロデユースは大きなテーマです。ファッションで差別化をするより、簡単で、変化がわかりやすい髪色はリスクが少ない変身アイテムなのです。ファンデーションやカラコンやネイルを選ぶように、自分の髪色を自由自在に選ぶ人が増えています。

・第三にはアニメ＆ゲームブームです。「鬼滅の刃」や「刀剣乱舞」などの2次元、2.5次元のキャラの人気はこのところ増大するばかりです。アニメの登場人物のように、自分自身をキャラ変して楽しむ。髪色は変身パーツの一つとなりました。

・そして第四の理由としては、ジェンダーの変化です。男性でも女性でもLGBTQでも、性別を超えて、髪色は自由になっています。横浜流星くんがドラマ「初めて恋をした日に読む話」（はじ恋）でピンクの髪にして一気に大ブレイクしたように、男女関係なく、髪色は人生を変えちゃうかもしれないのです。

20代に限らず、30代40代でも派手髪を選ぶ人が増えています。派手髪が否定的に言われていた過去とは違い、髪色を選ぶこと＝人生を選択するという、よりポジティブな印象を与えるからです。この本格的派手髪ブームは、個人が尊重される、ダイバーシティ社会の象徴と言えるでしょう。（ファッション・クリエイティブ・ディレクター軍地彩弓さん）

聞いてみた「派手髪にして職場で何も言われない？」

実際に派手髪にしているのはどんな女性たちなのか？そもそも職場で派手髪が問題になることはないのか？ウーマンズラボ編集が女性たちに聞いてみたところ、次の回答を得た。

• ベリーショートの赤色「仕事ができれば文句は言われない。速さと正確さが全て」（70代女性,会社員）
• 金色「特に言われない」（20代女性,不動産）
• アッシュベージュ「黒髪だと老けて見える…仕事ができれば何も言われない」（30代女性,経理）
• ベージュ「一部の人に指摘されたが、白髪染めで通している。オシャレとして」（40代女性,専門職）
• 金とオレンジ「真っ黒な髪が嫌だ。何も言われない」（20代女性,保育）
• 全体的に明るい茶色「黒髪が似合わないので染めている。何も言われない」（40代女性,事務職）
• 髪の内側をピンク「ピンクがかわいい。特に何も言われない」（40代女性,オペレーター）
• ほんのり赤「今のところ好評」（40代女性,医療技術職）

働く女性に限らず、仕事をしていない専業主婦からもこんな声があった。

• 赤色「専業主婦なので何も縛りがないからやっている」（30代女性）
• 毛先から半分までが金色「結婚して男ウケを気にしなくなったので金髪にした」（30代女性）
• ピンク「子供と二人きりの日々、気持ちを上げたくて」（30代女性）

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