BtoBプロモーション施策・事例・戦略の基本
法人からの受注を増やして販路拡大するには何をすれば良いのかー? 「BtoC企業」の売上増加や利益拡大に関する手法やノウハウは豊富に存在しますが、法人向けに商品やサービスを提供する「BtoB企業」向けの情報は限定的です。
またBtoBの製品・サービスは、複雑な購買意思決定のプロセスを必要とすること(複数の決裁者が関与すること)、担当者へのアプローチ方法が限定的になりやすいこと、初接触から受注までに期間を要すること(単価や商材によるが数か月~数年)、BtoCと比較してBtoBは顧客数が少ないこと…などの要因から、一般的にBtoB企業は、BtoC企業よりも販路開拓の難易度が高いと言われています。昨今、ようやく「BtoBマーケティング」の概念が広まり始めたとはいえ、特に立ち上がったばかりのBtoB企業やBtoB部署にとっては、販路開拓のハードルは高いのが実際です。
そこでオススメなのが、多様な施策を組み合わせることで、業界認知を上げ、法人からの問合せや指名受注を増やし、売上増加や利益拡大を目指す「BtoBプロモーション施策」です。弊社では、ヘルスケア業界に特化した全国的な法人ネットワーク/業界への情報発信/企画力を強みに、ヘルスケア業界特化のBtoBプロモーション施策をご支援しており、豊富な実績があります。特に「●●なら、(株)▲▲社」といった、第一想起による指名受注を目指すBtoBプロモーション施策を強みとしています。法人の販路開拓、業界内の認知向上、リードや問合せ獲得などにお悩みの企業様は本記事をBtoBプロモーション施策の戦略立案のご参考にしてください。実際に弊社がご支援してきた企業様の事例も交えながら解説しています。すぐのご相談をご希望の企業様は、こちらからご連絡ください。
目次
売上増加・利益拡大を目指すBtoBプロモーション
BtoBプロモーション施策とは
「BtoBプロモーション」とは、売上増加・利益拡大を目的とした販売促進活動全般を指します。認知向上・リード獲得・問合せ獲得・受注・業界内ブランディング構築(≒第一想起による指名受注)を実現するために、さまざまな手法を組み合わせて施策を実行。成果をPDCAしながら、施策の精度を上げていきます。BtoBプロモーション施策をスタートさせるにあたり、経営資源(人・時間・コスト)が豊富な企業の場合は、フィールドセールス部隊とは別に、インサイドセールス部隊を新たに設けるケースもあります(後述)。なお本項では「BtoB営業(製品・サービスを売り込む、セールス活動のこと)」と「BtoBマーケティング(待ちの体制で製品・サービスが売れる状態をつくること)」の両方を組み合わせたものを「BtoBプロモーション」と定義しています。
BtoBプロモーション施策の一覧
BtoBプロモーション施策には様々な手法があり、一例として下記が挙げられます。他にも様々にありますので詳細はウェブで検索してみてください。
- 展示会出展
- 業界誌への広告出稿
- 検索広告
- Facebook広告
- タクシー広告
- 新聞広告
- SNS運用
- SEO対策
- 動画マーケティング
- LP立上げ
- オウンドメディア立ち上げ
- コンテンツマーケティング
- ホワイトペーパーの定期的な発行
- ウェビナー開催
- 他社主催のセミナー登壇
- ビジネスカンファレンスやイベントの協賛
- テレマーケティング
- リード獲得代行サービスの利用
- 営業代行サービスの利用
- ハウスリストに対する各種マーケティング実施
- AIによる自動メール営業
- 人間によるメール営業
- ビジネスメディアへの寄稿
- プレスリリース配信
- DM送付
- MA導入
- MAによるシナリオメールの配信
- 書籍出版
- テレビCM
- インサイドセールス部隊の立ち上げ
など
施策実行前に、社内で決めておきたい3事項
BtoBプロモーション施策では、予め策定しておくべき事項が3つあります。本格的な活動を開始する前に、下記を参考に「自社の基本の営業スタイル/マーケティングスタンス」を決めておきましょう。
【1】アウバウンド型orインバウンド型
法人への営業アプローチの仕方は、大別すると「アウトバウンド型」「インバウンド型」の2種があります。どちらのタイプをメインにするか?は自社のリソースで決定します。
「アウトバウンド型」は文字のごとく、プッシュ型で営業を行う方法です(=BtoB営業)。例えば、リストをもとに電話やメールで片っ端から営業したり、企業訪問を行うなどが該当します。ニーズが顕在化していない企業に対してニーズを掘り起こすプレゼンを行ったり、ヒアリング後に課題を抽出して提案営業するといったスタイルのため、工数や人件費、時間が膨大にかかる点がネックです。「(暇だし、しつこいし、情報収集の一環にもなるし)とりあえず、話だけ聞いておくか」といった確度の低い企業も含まれるため、効率は良くありません。ただし、アウバウンド営業の強さは、競合他社に対する絶対的なアドバンテージにもなります。アウトバウンド営業の強さから、業界首位に君臨し続ける企業は実際に多く存在します。
「インバウンド型」は、仕掛けを各所に散りばめ、待ちの体制でリードや問合せを獲得すプル型の営業スタイルです(=BtoBマーケティング)。専用サイト(LP)の立ち上げ、SEO対策、各種オンライン広告出稿、MA活用、オンラインセミナー開催など、主にデジタルマーケティングを駆使する手法で、昨今伸びてる新興のBtoB企業の販路拡大の方法として急速に広まっています。
【2】フィールドセールス&インサイドセールス
続いて検討すべきことは「フィールドセールス部隊」と「インサイドセールス部隊」を社内に設置するかどうか。特に上記の【1】で解説した「インバウンド型」のアプローチを営業戦略として選択した場合は、早期の検討が必須です。それぞれの特徴を説明します。
下記の図1の左をご覧ください。「インサイドセールス」とは、オフィス内で行うマーケティング活動を指します。具体的には市場分析によるマーケティング戦略の設計、サービスサイト(LP)の立ち上げ、SNS運用、広告運用、コンテンツマーケティングの運用、セミナー企画開催、問合せ対応、獲得リードに対する定期的な接触などが該当します。リードの発掘・獲得(リードジェネレーション)と、育成(リードナーチャリング)がミッションで、ニーズが顕在化した企業のリードを、フィールドセールス部隊へ渡す役割を担います。
「フィールドセールス」は、実際に顧客に接して提案・商談をし、受注する活動を指します。フィールドセールス部隊は、インサイドセールス部隊から渡されたリードに対してのみ提案や面談を行うため、効率よく受注へつなげることができます。
法人の販路拡大を行う場合、これまでは営業担当者がリード獲得から面談、受注の全フローを、自分一人で担い、訪問や面談を重ねながら、ようやく案件を受注するスタイルが主流でした(上記図のインサイドセールスからフィールドセールスを全て一人でこなす形式)。ただしこのようなスタイルは、努力や根性、数勝負、社内の営業担当者同士の顧客の奪い合いなどの側面が強いため、会社全体の効率や投資対効果、利益率から考えると決して優れた営業活動ではありませんでした。
そのような背景から昨今は、法人の販路開拓の方法として「インバウンド型」の手法をメインに切り替え、社内に「フィールドセールス部隊」と「インサイドセールス部隊」を新規で設置するケースが増えています。効率よく受注できるため、売上拡大・利益増につなげられるためです。ただし、この方法を採用する際は、新たなコストや時間、準備が発生するため、下記の側面も考慮する必要があります。
- 社内体制の刷新と仕組化がマスト
- 「フィールド部隊」と「インサイド部隊」の両方の人員確保(新規採用、一部人員の部署移動など)
- デジタルマーケティング全般(※1)を計画・実行できるスキルを持った人材の配置
- MAツール導入
- MAツール活用を基にしたPDCAを行える人材の配置
など
(※1)サイト解析、SEO対策、オンライン広告運用、MAの活用、解析に基づいたPDCA施策など
【3】オフラインorオンライン
法人の販路拡大において「オフライン施策」と「オンライン施策」のどちらに比重を置くか?も事前に決めておきます。例として下記に掲載します。
- <オフライン施策>
・展示会出展
・業界誌への広告出稿
・テレマーケティング
・訪問営業
・イベントへの協賛
など - <オンライン施策>
・オンライン広告
・コンテンツマーケティング
・AIによる自動メール営業
・オンラインセミナー開催
・ホワイトペーパーの提供
など
オフライン施策またはオンライン施策のどちらかのみを行うスタイルの企業もいますが、理想は両方をバランスよく組み合わせる方法です。ただし、限られた予算の中で早期に成果を出す必要があるため、どちらにどれだけの比重を置く方が高い成果を出せるのか?は、現在の自社知名度、商材特性、販売価格、人員リソース、予算、目標売上、目標達成時期などを考慮して予め決めておくことが望ましいでしょう。
弊社では、ヘルスケア領域の展示会企画・開催のご支援を行っております(2022年~2024年限定)。「(コロナ禍だったため)出展社を集めるための展示会企画と法人誘致」を、主催社様よりご依頼いただき、3年間ご一緒しました。企業が出展したくなる企画を立案するだけでなく、出展社誘致のための営業活動も弊社では行いましたがその際、興味深い事例があったのでシェアいたします。
特に新興のIT系企業に見られる傾向なのですが「展示会出展はオワコン」とのことで、一切出展はしない、といった姿勢を貫く企業もいらっしゃいます。弊社が出展打診をしたある企業は、まさにそのタイプでした。結果的には、出展いただけることになったのですが、出展成果を後日伺ったところ「3日間で400リードを獲得でき、獲得から半年間の受注率は●%を達成。オンライン施策では出せない成果。こんなにコスパが良いとは思ってなかった。今後は展示会出展も毎年予算化する」とのご報告をいただきました。
一方で展示会出展しても、思ったような成果がでない企業もいらっしゃるのは事実ですので、「展示会出展は絶対に良いですよ」と断言できませんが、様々な企業様のBtoBプロモーション支援を行ってきた経験から感じているのは、販路拡大のための施策は、経験せずに決めつけないこと、まずはトライしてみることが大事なのではと感じています。
BtoB企業は、BtoC企業と違って基本的には単価の高い商材を扱っていたり、あるいは単価が安くても大口の取引先が1件見つかれば、それが安定的且つ大きなな売上につながりますので、BtoBプロモーション施策は「1施策に対する投資対効果が基本的には大きい」と言えます(反対にBtoC商材は単価が安いため、さすがに「一人に購入していただいた!やった!」とはならず、多くの成果が出せる施策がマストです。BtoCとBtoBでは施策に対する成果の捉え方が根本的に異なることは理解しておきましょう)。
また同社のように「オンラインの施策のみを行う」のではなく「オフライン施策も行う」といった、両輪で柔軟に取り組んでいく形がベストです。デジタルとアナログでは、出会える層が良い意味で違います。厳密には各種施策によって、出会える層が変わります。参考までに、2024年度の展示会一覧ページを下記に掲載しておきます。
BtoB戦略の基本 受注までの一般的なプロセス
BtoBプロモーション施策の基本をマスターしたら、次に理解しておきたいのが「顧客企業は、問合せ・発注までに一般的にどのようなプロセスを踏んでいるのか?」。下記2点が一般的な検討プロセスであることを念頭に各種施策を立案・実行していきます。
【1】顧客は問合せする前に、すでに検討作業が半分完了
一昔前までBtoB企業にとって、プロモーション施策の有効チャネルはDM送付、電話営業(テレアポ)、メール営業、展示会出展、業界誌への広告出稿など、限られていました。それがここ10~13年ほどでBtoB企業にとって、プロモーション施策の打ち手がオンラインチャネルを中心に多種多様になってきました(施策の種類は既述の通り)。
インターネット上の情報流通量が爆発的に増えたことで、BtoBの世界においても「問合せする前に、まずは検索」といった行動が一般的となり、売上を急速に伸ばしているBtoB企業は実際にオンラインチャネルを活用したBtoBプロモーションを強化し、成果を出しています。
下記の図2は、BtoB領域における顧客の購買プロセスを調査した米国の資料(The Digital evolution in B2B Marketing Marketing leadership Council®)をもとに、弊編集部にて図式化したものです。国内のBtoB業界では割とポピュラーな数字でご存知の方もいらっしゃるかと思います。この調査結果で明らかになったことは「見込み客企業は、営業担当者に初接触(自ら問合せるなど)する前段階で、すでに購買プロセスのうち57%は完了している」ということです。
例えば、食品メーカーが素材の仕入れ先を探すとき。殆どのビジネスパーソンは下記の行動をとります(弊社実施インタビュー,2022,n=40社)。
- 展示会へ出かけて目ぼしい企業のブースを訪れ話を聞き、名刺交換
⇒後日、名刺交換した企業各社の実績を企業HPやYouTubeチャンネル、SNSなどweb上で確認し、取り扱い種類や価格などを調査して候補企業を絞りこみしてリスト化。リストをもとに社内検討へ - インターネットで検索して素材メーカーの候補企業を探す
⇒検索結果に出てきた素材メーカーをリストアップ。そこからさらに候補企業を5社に絞り込み、社内共有。5社の情報(価格、強み、実績など)を資料にまとめ、経営陣へ提出 - 業界誌に掲載されていた素材メーカーの広告を見た
⇒広告に掲載されていたQRコードから公式HPに掲載されていたホワイトペーパーを、ダウンロード。それ以降、同社から定期的にメルマガが届くようになったので、とりあえず素材に関するトレンドなどを勉強中。知見が豊富そうなので、来期になったら問合せ予定 - ビジネスメディアに掲載されていた素材メーカーのインタビュー記事を読む
⇒もっと情報が知りたくて、同社についてweb検索。各社と様々なプロジェクトを実施していて、昨今注目度が高い成長中のスタートアップであることが確認できた。ただの仕入れだけでなく、タイアップしてみてもおもしろいかもと思い、候補企業の一つとして手元にメモ。およその料金も掲載されていたので、予算について部署内で調整開始 - ヘルスケアがテーマのBtoBオンラインセミナーを聴講する
⇒特に印象に残った登壇企業、3社をリサーチ。そのうち2社はオウンドメディアを運用しており、早速複数記事を読み込む。素材の卸だけでなく、開発の知見が豊富なことが分かった。2社のオウンドメディアを社内チャットでシェア。メンバーたちの意見も募り、どちらの企業との取引が良さそうかメンバー内で検討 - 比較サイトで各社の価格帯をリサーチする
⇒沢山の素材メーカーがヒット。しかし、価格の安さではなく実績の豊富さで取引先を決めたいため、候補としてあがった数社を候補企業としてwebでさらに情報収集。そのうち特に4社は、積極的にリリースを行ったり、各業界メディアでも取り上げられていることが分かった。その結果を上長へ相談
など
見込み客企業は一定期間、このような情報収集やリサーチ、社内メンバーや上長への相談、予算調整、実績確認などの行動を行い、3~5社程度の「候補企業」を絞り込みます。そして、ここでようやく候補企業へ問合せ(営業担当者との初接触)をするわけです。つまりオンライン・オフライン、共に露出量が多いBtoB企業ほど、購買プロセスにおける早い段階で見込み客企業に見つけてもらいやすくなり、取引先候補に入れてもらいやすい、ということです。また、初認知がオフラインであってもオンラインであっても、ほとんどのビジネスパーソンは、必ずweb検索をし、問合せ前の段階である程度のジャッジをしていることも分かります。
さて、ここで下記を比較してみましょう。
- 年間通して1度も展示会出展しない企業 < 年間通して6回の出展を恒例にしている企業
- 検索して5ページ目に表示される企業 (SEO対策未実施)< 検索すると1ページ目の3位以内に表示される企業(SEO対策実施済み)
- 業界誌へ広告出稿しない企業 < 通年広告出稿している企業
- ビジネスメディアへオンライン広告出稿しない企業 < 通年広告出稿している企業
- 100件のハウスリストを保有する企業 < 1万件を保有する企業
- タクシー広告やテレビ広告を行わない企業 < 年間通して行う企業
- オンラインセミナーを全く開催しない企業 < 月1回、年12回開催する企業
- 集客力が弱い企業 < 集客力が強い企業
前者のタイプと後者のタイプ。どちらが「候補企業」として見込み客企業の目にとまりやすいかは明白です。後者ですよね。購買プロセスのうち、後ろにいけばいくほど、(見込顧客側は)長いリサーチ・検討期間・各種調整などを経たうえで候補企業が1~3社ほど決まっている状態になるため、いかに早い段階で見込み顧客に自社を見つけてもらうか?がカギになってきます。でなければ、検討してもらう土俵にも上がれないからです。また、これは下記で解説していますが、購買行動のプロセスのうち、どれだけ適格なリードナーチャリング(後述)を早い段階から実施できるか?も重要です。
【2】リートジェネレーションと、リードナーチャリング
ターゲット企業との初接触から受注までのプロセスにおいて、一般的に「リードジェネレーション」と「リードナーチャリング」の2段階を経る必要があります。前者は、新規見込み客(=リード)を獲得するために行うマーケティング活動のこと。問合せ獲得、展示会出展時の名刺獲得、セミナー開催時の申込獲得などが該当します。後者は、獲得したリードに対して定期的なメルマガ配信やホワイトペーパーの提供などを行いながら、確度の高い見込み客へと育成していく活動のことです。図1の通り、リードジェネレーションとリードナーチャリングは、インサイドセールス部隊の担当業務です。
さて、弊社ではリード獲得の支援も行っているのですが、以前クライアント企業様から、このようなお声を頂戴しました。
御社が集めてくれたリードは、どれもクオリティが良かった。
しかし、その後に電話またはメールで、営業・提案したものの、受注にはいたりませんでした…。
一件も受注できなかった一番の理由は?
同社はヘルスケア業界に特化した業務支援を新たに行うことになった企業。まだヘルスケア業界に新規参入して間もないということ。また、これまでの既存事業では、既存の顧客企業のみからの継続受注で成り立っていたため、新規開拓の経験がチーム全体になったことなどから、弊社にてリード獲得のお手伝いをさせていただきました。
よくよくお話を伺ってみると同社は、獲得したリードに対して、たった1回のみメールまたは電話で「弊社の●●のサービスご利用、いかがですか?」と聞いただけのこと。全ての企業が「今は結構です」と回答したため、それで「受注はできなかった」と判断したそうです。そこで、弊社担当者から、同社担当者へ尋ねました。
「そもそも、メールまたは電話でアプローチする前の段階で、ナーチャリングを何か実施していましたか?」。すると、一切何も行っていなかったとの回答が…。厳しい言い方ですが、それでは当然の結果と言わざるを得ません。突然届いた営業メールや突然の営業電話で「ウチのサービス、導入しませんか?」と尋ねられても、反射的に「結構です」と殆どの方が回答するでしょう。
一般的にBtoBの製品・サービスは単価も高く、検討期間も長い(数か月~数年間)。さらに、毎日のように沢山のBtoB企業から営業を受けています。そんな企業たち(見込み客企業)に対して、たった1度きりの電話・メールで受注できるほど、簡単ではありません(それで受注できてしまうのなら、全てのBtoB企業は苦労しません)。獲得したリードに対しては主にオンラインにて継続的なジェネレーションが必須です(メルマガ配信、オンラインセミナー開催、ホワイトペーパーの提供など)。
受注するために、最も大事な考え方「2段階を踏む」
解説してきた内容をまとめると…BtoB製品・サービスで受注を目指す場合、「業界認知を上げておく」こととあわせて、「リードジェネレーション」と「リードナーチャリング」の2段階を踏む必要があることを前提とした戦略設計を行います。
- 自社を認知していただく
- 自社の知見やノウハウ、商品・サービスに興味関心を持ってくれるリードを獲得する(=リードジェネレーション)
- 獲得したリードに対して定期的な接触を行う(=リードナーチャリング)
- タイミングを見て提案や商談、ヒアリングを行い、受注へー
この流れが、受注に向けた基本戦略となります。
中小や新規BtoB部署こそ「第一想起による指名受注」
以上が、法人からの受注を増やして販路拡大を実現する戦略の基本になります。とはいえ、ここまで説明してきた流れは教科書的な理想論であり、予算や人員が限られた中小企業、スタートアップ、大手企業だがリソースが不十分な新規BtoB部署にとっては、現実的ではないと感じた方もいらっしゃると思います。
特に「フィールドセールス部隊」「インサイドセールス部隊」の立ち上げにはかなりの時間・コスト・人員が必要です。またオウンドメディアを立ち上げて、インバウンドで集客を狙う方法もありますが、新規立上げだけで準備期間含めて1~2か月。さらには運用体制を構築して問題なく回せるようになるだけでも最低半年ほどかかります。とはいえオウンドメディアは立上げてしまえば勝手に問合せが入るようになるわけではありません。運用と同時に、サイト構造の最適化や、各コンテンツのSEO対策も行う必要がありますが、SEO対策で該当記事が上位表示されるまでには対策した日から数か月~半年かかることが一般的です(対策キーワードによっては数日で上位表示できることもあります)。
つまり、上記で解説してきた内容は「たしかに、その通りだ」といったキレイな戦略ではあるのですが、売上を早期に出さなければならない企業の場合、上記で解説してきた内容は非常にハードルが高いのです(BtoBマーケティングに関する書籍は多々出版されていますが、いずれの書籍も“正論すぎて”、企業によっては現実的ではない内容も盛りだくさんだったりします…)。そこでオススメの施策が「第一想起による指名受注=業界内ブランディング」を半年~1年かけて構築する方法です。
立上げ準備から実行までの時間・人員・工数が膨大
弊社宛にいただいたBtoBプロモーション支援のケースですが「フィールドセールス部隊」と「インサイドセールス部隊」の新規立ち上げ(※2)に7カ月を要し、実際に社内で回せるようになるまでに、さらに4か月を要したというケースがありました(その後のプロモーション施策を、弊社にてご支援)。さらに別企業様のケースですが、こちらの企業様はアウトバウンド型営業からインバウンド型営業に切り替えるにあたり、MAツールなどBtoBマーケティングに必要な各種ツールを複数導入を行うことになり、数千万円の予算を投じていたケースもあります(その後のプロモーション施策を、弊社にてご支援)。
ある程度の規模の企業であれば、「フィールドセールス部隊」と「インサイドセールス部隊」を立ち上げ、デジタルツールも複数導入し、会社全体で回していく仕組を導入することは(時間やコストがかかったとしても)、後々の効果が大きく、コスト回収は早いですが、小規模企業や予算が少ないBtoB部署の場合はハードルが高いのが実際でしょう。
また「フィールド部隊」と「インサイド部隊」の立ち上げ準備を行っている間は、そちらに人員や時間をとられてしまうため、売上を立てることにフォーカスできず、立上げ準備をしている間に資金が枯渇する、あるいは期日までに目標売上を達成できない、といった状態にもなりかねません。そこでオススメなのが「第一想起による指名受注を狙う、BtoBプロモーション」です。上記で解説してきた取り組みよりも大幅にコストも時間も抑えられるためです。実際にこの手法で弊社も様々な企業様のBtoBプロモーション支援を行ってきました(成功事例と失敗事例は後述)。
(※2)全体の仕組化設計、人員の再配置、新規採用、新規サイトの立ち上げ、勉強会実施、ツール導入など
戦略設計に役立つ基本の考え方「ファネル」
第一想起による指名受注を実現するための基本中の基本は「業界認知の向上」です。そもそも認知されていなければ、指名されることも無いので、当然といえば当然なのですが…。下記図3の「ファネル」で考えてみましょう。BtoBマーケティングの戦略立案時によく用いられる「ファネル」とは、自社商材・サービスを認知してから、購入・発注にいたるまで、見込み客数がどのように変化していくのかを簡易的に図式化したものです。幅広い層に自社製品・サービスを認知させ、その一部が興味・関心を持つ。その一部が見込み客として商談・比較・検討を開始し、さらにその一部が成約にいたるという「フェーズごとに少数になっていく様子」を図式化したもので、BtoBプロモーション施策ではファネルに基づいた戦略設計を行います。
認知のフェーズが最も見込み客数が多く、受注のフェーズになるとグンと減りますが、これは何を意味しているのか? 当然のことではあるのですが「自社の製品・サービスが認知されてる数」そのものを多くしておかなければ「受注数は稼げない」ということです。業界内で自社製品・サービスを認知している企業がわずか10社であれば、ファネルの考え方からすると、受注フェーズにくる頃にはゼロの可能性が極めて高くなりますが、認知している企業が10,000社だったら?受注フェーズで100社が残る可能性が高くなります。つまりファネルの考え方に基づくと、「受注を増やすためには、そもそも露出量を増やし、業界認知を高めること」が、BtoBプロモーション施策における、第一歩になることが分かります。
「認知向上よりも、受注数を増やしたい」場合はどうする?
BtoBプロモーション支援のご相談をいただく際、殆どの企業様は「認知向上施策よりも、すぐに受注できる施策が希望」と仰るのですが、これは弊社含めて、全てのBtoB企業の願いです。しかし上記で説明した通り、そもそも認知度が高いからこそ、その中の■%が問合せをし、さらにそのうちの▲%が受注に至ることを考えれば「受注するために必要なのが、認知向上施策である」と言えますし、そのステップを踏む方が結果的に最短距離で受注増につなげることができます。
また、新しい情報が次々に出てくる時代。しかもその情報量は爆発的に増え、同時に市場動向・ニーズ・トレンドの変化も加速度的に速まっています。そんな状況下において、認知活動を継続的に強化していかなければ、あっという間に“その他大勢”に埋もれ、業界から忘れ去られてしまいます(もちろん、それは弊社も同様です)。
「認知向上施策」は、すぐに結果を出したいと考える企業にとっては、「無駄なコスト」「余計な時間」と、“邪魔者扱い”されがちですが、実は「業界内ブランディングの構築」を前提にした認知向上施策を早期に集中的に行うことは、結果的に「第一想起による指名受注」を実現できるようになるため、投資対効果は格段に高くなります。良い商品・サービスを多くの企業に取り扱ってもらうためには、まずは広告宣伝や営業活動は必須なのです。
なお、完全成果報酬型で受注まで請け負う営業代行会社も存在しますが、成果報酬として支払うフィーも高額で、且つ1年、2年と継続しても「業界内認知向上」「業界内ブランディングの構築」には、なかなかつながらないため、投資対効果としては低いのでは、というのが弊社の見解です(第一想起による指名受注を目指す「業界内ブランディング構築」は最初の1年のみコストがかかりますが、それ以降は自走していける企業様が殆どですので、中期視点で見るとコストは実は安く抑えられます)。
第一想起による指名受注「BtoBプロモーション戦略」の事例
ここからは、実際の成功例と失敗例を見ていきます。弊社は、女性ヘルスケア市場専門のシンクタンクとして、業界の皆さまに15年にわたり様々な形で情報発信を行ってきました。メディア運営、勉強会の開催、ニュースレターの配信、大型イベントの開催、ビジネスカンファレンスの開催などー。
気づけば、業界内の法人ネットワークの広さや、情報発信力が弊社の強みとなり、いつしか企業や団体の方々から「ヘルスケア業界向けの認知向上施策を一緒に取組んでほしい」「法人誘致を手伝ってほしい」といったご相談を頂くようになりました。
最も投資対効果が高い戦略は「第一想起による指名受注」
各社様、予算も時間も人員も限られた中で、期日までに結果を出さなければならない。でも解決策が無い。そんな状況の中で各社様からご相談をいただき弊社がたどりついた答えが、「(弊社の)自社ブランド×全国的な法人ネットワーク×情報発信力×企画力」を駆使することで「第一想起による指名受注」を短期間で目指すことでした。
第一想起による指名受注であれば、テレアポ数や根性論に頼るアウトバンド営業から解放される上に、営業コストを大幅にカットでき、さらにはインサイドセールス部隊・フィールドセールス部隊も不要になります(ただし急成長を目指す企業や、予算を持っている企業であればインサイドセールス部隊とフィールドセールス部隊を設置する方が、成長スピードは各段にあがることは補記しておきます)。価格交渉や他社と比較検討されることも無くなり、検討期間も大幅に短くなるため受注スピードがあがり、安定してくれば年間通して定期的に問合せ獲得・受注ができるようになります。受注量が安定してくれば、その利益を活用してBtoB広告を打つなど積極的な広告戦略も行えるようになるため、さらに認知度と売上は上がり、好循環なサイクルが生まれるようになります。
BtoBプロモーション施策の成功事例・失敗事例
ここからは、弊社で実際にご支援させていただいたBtoBプロモーション施策の事例を、成功事例と失敗事例、それぞれご紹介いたします。成功事例は5つ、失敗事例は3つ掲載しています。弊社のBtoBプロモーション施策では具体的にどのような施策を行い、どれくらいの結果を出しているのか?また、どういう施策だと失敗しやすいのか?などをご確認いただけます。成功事例・失敗事例はこちらに掲載。
BtoBプロモーションのご相談
弊社では、ヘルスケア業界に特化したBtoBプロモーション支援の豊富な実績がございます。貴社の課題・ご予算・現在のご状況などを踏まえて、最も最適なプロモーション施策をプランニング~十個いたします。お気軽にご相談ください。
運営元
本メディアを運営するウーマンズは「女性ヘルスケア市場専門のシンクタンク」として、女性ヘルスケア事業の成長・変革を推進するマーケット情報を収集・分析・整理し、最新知見を企業様にご提供。女性ヘルスケア市場に特化してマーケティング支援を行ってきた「豊富な実績」「15年にわたり継続的に行っている調査分析により蓄積した知見やノウハウ」「業界ネットワーク」を活かし、女性ヘルスケア事業を行う産学官の「どうすれば製品・サービスを広く社会に流通させられるか?」の課題解決に取り組んでいます。事業内容は「コンサルティング事業/ビジネスメディア事業/MICE事業/BtoB広告事業」。最新レポートや新着セミナーのご案内、制度変更などヘルスケア業界の重要ニュース、企業様から頂戴する「女性ヘルスケアビジネスあるある相談」への回答など、ニュースレターで配信中。ぜひご登録ください!