女性市場トレンドと消費傾向

女性の健康問題、一覧(思春期~老年期)(1/5)

女性ホルモンの影響を大きく受ける女性は、生涯にわたり女性特有の健康問題を抱え続ける。また、性別役割分業による女性ならではの健康問題や、ライフコースの選択によって抱える健康リスクもあり、女性の健康問題を一言で語るのは簡単ではない。健康ブームの到来もあり今、様々な企業からヘルスケア商品・サービスが次々に上市されているが、失敗に終わることも多いのはまさにその点にある。

ヘルスケア商品・サービスの開発や販促で失敗しないためには、ターゲット女性が現在抱えている女性特有の健康問題の理解はもちろんのこと、その背景にあるものや、これから先発生しうる健康問題をも見据える必要がある。女性の健康問題に着目したヘルスケア商品・サービスは、健康ブームが続く今なお実はブルーオーシャン。本稿では、女性特有の生涯にわたる健康問題を思春期から老年期の4段階に分類してまとめた。

性差ヘルスケアは始まったばかり

健康経営銘柄の選定基準と健康経営優良法人の認定基準の項目に「女性の健康づくり」が追加され(2019年)、女性の健康問題をテクノロジーで解決する「フェムテック」がスタートアップや投資家の間で注目され、日本・世界が取り組む「ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ」において「女性、少女、思春期を優先すべき」とされるなど、今、社会全体が「女性の健康」に関心を寄せている。

なぜ、今これほどまでに「女性の健康」が注目されているのか?それは、つい最近になりようやく医療の現場に性差の概念が取り入れらたことが関係している。

国内で女性外来など女性専門の診療科が急速に増えたのは2000年代に入ってからで、性差医療の歴史は実はとても浅い。その後、健康ブームの到来も後押しとなり、民間企業が性差に着目したヘルスケアマーケティングに関心を寄せるようになった。

だが女性特有の健康問題がどのように変化していくのかを理解しているビジネスパーソンは少なく、それが、女性消費者の心を捉えるヘルスケア商品・サービスを生み出せない要因となっている。

とりわけ、昭和・平成で消費の主役とされてこなかった更年期・老年期の女性に関する理解が乏しく、彼女たちに向けた商品・サービスは圧倒的に少ない。ヘルスケア業界における性差への着目は、実は始まったばかり。

女性の健康問題はライフステージで捉える

ライフステージで異なる健康問題

肩こり・腰痛、糖尿病、心血管疾患、大腸がんなど男女共通の不調・病気以外に、女性には、女性ホルモンの変化によって起こりやすい女性特有の不調・病気がある。さらに女性ホルモンのバランスはライフステージによって変化するため、女性の健康問題を捉えるときは、男性と区別して考えるのはもちろん、ライフステージを考慮する必要がある。

女性のライフステージは4つ

女性のライフステージは、女性ホルモンである「エストロゲン」と「プロゲステロン」のうち、エストロゲンの分泌量の変化で以下4つに区切られる。

  1. 思春期:エストロゲンの分泌が増える時期(10〜18歳)
  2. 性成熟期:エストロゲンの分泌が増えピークに達する時期(18〜45歳)
  3. 更年期:エストロゲンの分泌が減っていく時期(45〜55歳)
  4. 老年期:エストロゲンの分泌が乏しい時期(55歳以上)

なお、女性の健康問題は単純にエストロゲンの分泌だけに左右されるわけではなく、もう少し細かい年齢区分や、職業、働き方、出産経験の有無、介護の有無などの要素が複雑に絡み合っているが、ここでは女性の健康問題を大枠で捉えるための基礎情報を整理するために、4つのライフステージのみに分解してそれぞれ見ていく。

思春期(8〜18歳)の健康問題

思春期の女性ホルモン

思春期に入るとエストロゲンの分泌量が増え、初潮をむかえる。その年齢は個人差があり、早いと小学校低学年で、遅い場合は高校生に入ってむかえるが、平均は平成20年時点で12歳2.3ヶ月大阪大学大学院人間科学研究科・比較発達心理学研究室「発達加速現象の研究-第12回全国初潮調査結果-」より。発達加速現象により初潮は低年齢化しており、14歳台後半であった明治22年と比べると、2歳以上早まっている。

思春期の健康問題

初潮後は、定期的に月経がくるようになることで女性特有の不調を感じるようになる。また、自分自身の外見や異性への関心が高まることが、健康問題を生じさせる原因につながることも。思春期の主な健康問題は以下。

思春期(8〜18歳)の主な健康問題
月経痛 月経痛のうち体に異常はないが体質で症状が起こる「機能性月経困難症」は10〜20代に多い。月経痛は基本的には”排卵のある月経”で起こり、初経後の数年間は無排卵なので月経痛は見られない。排卵が起こり月経サイクルが安定してくると月経痛が起きるようになる。小学6年生で生理痛がある女児は50%、中学3年生では95%という調査結果もある。
(参考:武谷雄二「働く女性と健康」,女性の健康とメノポーズ協会「女性の健康と働き方マニュアル」,ライオン
PMS、PMDD PMSは月経のある女性のうち70〜80%に見られる。ストレスや性格も影響するため、個人差が大きい。PMDDの症状はうつ病と似ているため見極めが必要。
(参考:日本産婦人科学会
排卵痛 排卵期前後で月経痛のように下腹部痛を感じる。月経痛ほどは多く見られず女性たちの認識も低いが、排卵期前後で痛みを感じる女性、排卵期にPMSと同様の不調(眠気、イライラ、不安など)を感じる女性、排卵期から月経が始まるまで心身の不調がずっと続く女性など、個人差が大きい。
月経異常 ■無月経:18歳を過ぎても初経がない「原発性無月経」と、普段は正常にある月経が止まってしまう「続発性無月経」がある。後者はストレス、激しい運動、過度のダイエット、過度の肥満などが影響する。90日以上こないと無月経。■月経不順:月経周期が25日未満で出血を繰り返すタイプは「頻発月経」、月経周期が39日以上3ヶ月以内の場合は「稀発月経」。ストレス、激しい運動、過度のダイエット、過度の肥満などが影響する。(参考:武谷雄二「働く女性と健康」,日本女性心身医学会
摂食障害のうち、AN 摂食障害は女性に多く、90%以上が女性。ANは、摂食障害のうちいわゆる「拒食症」のこと。ANは10代に多い。発症の原因には様々な要素が絡み合っているが、自身の体型・体重への強いこだわりによる過度なダイエットが特に問題視されている。
(参考:厚労省「みんなのメンタルヘルス」)

女性生活者の調査レポート