【ワールドキャンサーデー】がんと共生の時代、製薬・美容・食・運動・IT企業によるソリューション事例
\2月4日はワールドキャンサーデー/
早期発見・早期治療の技術進歩で、「がん=治る病気」「長く付き合う病気」へと認識が変化するなか、「治療」分野だけでなく「治療中・治療後の生活を支える」分野で市場が成長している。先行する代表例は、術後用ブラジャー、医療用ウィッグ、着圧ソックス、スキンケア・メイクアップ、就労支援、栄養補助食品など。近年は、スマホやPCなどIT機器の普及や先進技術を活用するスタートアップの台頭、オープンイノベーションの広がりなどを背景に、製品・サービスの多様化も進んでいる。この流れは今後も加速する見込みだ。患者の日常生活の選択肢を広げ、ウェルビーイング向上を実現する各社の最新の取り組みを見ていこう。
目次
オープンイノベーションでがん患者の「不」を解消(小野製薬×AUBA)
小野薬品工業と、オープンイノベーションプラットフォーム「AUBA」は今年1月、医療の枠にとらわれない価値創造を目指すオープンイノベーション「HOPE-Acceleration2025」を始動した。がん患者の「衣食住のサポート」「就労・就学の支援」「意思の尊重」をコンセプトにしたプロダクト・技術を募集し、事業化を共に目指すプロジェクト。同プロジェクトが求めるプロダクト・技術は一貫して、がん患者のQOLやウェルビーイング向上を実現するもので、日常生活で感じる不便・不快・不安を取り除くことに主眼が置かれている。例えば以下。
<衣食住のサポート>
・自宅での療養中の生活をしやすくするような、スマートホームアシスタント
・治療に影響なくおしゃれを楽しめるような、安全性の高いアクセサリーや化粧品
・手術後の生活動作をしやすくするような、運動プログラムやアシスティブデバイス
・副作用で敏感になった皮膚に影響しない、低刺激素材の衣服
・食事メニューを提案する、個別の栄養ニーズに応じた食品宅配サービス
<就労・就学の支援>
・身体的な負荷のない仕事へ転職するための、資格取得支援サービス
・副作用に合わせた仕事の悩みへの対処や働き方を提案できる就労支援サービス
・自宅療養中の子どもの勉強をサポートする、学習支援サービス
<意思の尊重>
・治療に悩む患者本人の価値観を整理できる、カウンセリングサービス
・患者でも家族でもない第三者の視点から、通院や診療サポートをしてくれるコンシェルジュサービス
・患者の価値観に基づき、余暇を含めた最善の時間の使い方をリコメンドするサービス
エントリーは3月9日まで。詳細はこちら。
治療中のアピアランスケア、ポータルサイト開設(ファンケル)
ファンケルは今年1月、アピアランスケアの総合情報サイト『Nagomi time』を開設した。コンテンツは、多様化するがん治療中の外見の変化に関する情報やケアの方法、オシャレなファションのコツ、ウィッグ購入など治療中のアピアランスケアに役立つ助成金情報など。サイト開設と合わせ、小冊子も制作した。普段通りの日常生活に近づけるために知っておくと便利な情報もまとめ、当事者・家族・医療従事者が活用できるようにした。
キリンホールディングスが中心となって2022年から取り組む、がん患者のアピアランスケアにおける課題解決を目指すプロジェクトの一環で、今後はアピアランスケアに携わる他企業とも連携し、課題解決につなげるネットワークを構築したいとしている。
乳がん患者の食事支援サービス(オイシックス×東京慈恵会医科大学)
食品のサブスクサービスを提供するオイシックス・ラ・大地と東京慈恵会医科大学は昨年、乳がん患者を対象に、化学療法時における食事支援サービスの効果の共同臨床研究を開始した。乳がん患者の抗癌剤治療中のQOL向上に寄与する食事サポートにつなげるのが狙いで、乳がん患者の治療中の食事管理に関するガイドライン作成に貢献したいとしている。
治療中の測定・記録アプリ、副作用リスクもパーソナライズ(ハカルテ)
がん患者の治療生活をサポートする「ハカルテ」は、体調や服薬状況を測定・記録する患者向けアプリ(DUMSC0/ダムスコ)。治療中の痛みや痺れ、不眠、だるさといった患者の訴えは医師が過小評価することが様々な研究で報告されていることから、患者が自分の状態を記録して医療者とスムーズにコミュニケーションできるよう、京都大学・京大病院と共同研究のもとアプリ開発に至った。患者は自分の状態を知ることで、より主体的に治療やケアに関われるようになり、より良い治療の選択ができる。患者の自己効力感を高めることを目指し、QOL向上のサポートに徹底特化しているのが特徴。昨年7月にローンチし、4ヶ月で2,000ダウンロードを突破。12月には、抗がん剤などの薬剤に応じて重篤な副作用につながる可能性がある症状を個別に知らせる機能を追加した。
がん患者に特化した運動支援センター(ルネサンス)
フィットネスクラブのルネサンスも、がん患者のQOL向上に寄り添った運動サービスを提供。大阪国際がんセンターの敷地内に2019年にオープンした施設「ルネサンス運動支援センター」で、がん患者の運動指導や各種測定を行っている。センターにはがん専門運動指導士が常駐し、体の痛みや動きづらさに応じた1回60分の運動プログラムを提供する。仕事の復帰に向けた体づくりもサポート。治療中でも利用可能で、施設での直接指導だけでなく、オンラインでも受けられる。
がんの罹患や治療中に起こる不調により、「思うように日常生活が送れない」「趣味ができなくなってしまった」など、QOLが低下するケースは多い。その不調の多くは運動で軽減・改善することが期待できるものの、適切に運動を指導できる人材は少なく、安心して運動できる環境も国内にはほとんどないのが現状。そこで同社は、がん患者に特化した運動支援センターを日本で初めて開設した。以下はサービス紹介動画。
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