変化した女性のロールモデル像、2021年に注目された女性を表彰するアワードから分析

前回の記事「2021年の女性ヘルスケア市場トレンド、総決算!」に続き今回は、今年注目された女性を振り返っていこう。各所から発表された、今年活躍した女性・注目された女性を表彰するアワードを編集部がリサーチ&ピックアップ。今年を振り返れば、2022年のトレンドが見えてくる!

2021年に注目された女性の傾向を総括

ライフコース、生き方、働き方の多様化が年々顕著になる中、その年に活躍した女性・注目された女性を表彰するアワードは、時代を象徴するロールモデル像を知る重要な手がかり。今やトレンドアワードと同様に毎年の注目恒例イベントに。

これまでの女性アワードは、働く女性の増加や女性活躍推進を背景に、仕事で活躍する女性(管理職や起業などリーダーとして活躍する女性、社会にインパクトを与えた女性、育児と仕事の両立に成功している女性など)や、新しい生き方・働き方を自ら切り拓き自己実現した女性を表彰するといった、活躍そのものにスポットライトを当てる傾向が強かった。

だが昨今は徐々に変化が。今年の場合は“活躍”は大前提に、“自身のビジネスと社会問題のつながり”も評価軸となった印象が感じられる結果に。SDGsの加速度的な浸透や、ジェンダー問題、女性の健康問題など、この1年で特に社会的関心が高かった出来事や変化が背景にあるのだろう。

顕著な例がフィガロジャポンの「Business with Attitude」、日経ウーマンの「ウーマン・オブ・ザ・イヤー2022」、リデルの「インフルエンサー・アワード・ジャパン」。表彰された人物とビジネスの特徴を見ると、男性優位のテクノロジー業界でジェンダーギャップの是正に取り組む女性、ゲーム業界におけるジェンダーギャップを逆手に取り女性視点のゲーム開発で成功した女性、女性の健康問題をサポートするビジネス(=フェムテック)に取り組む女性、年齢・ジェンダーにおける多様性や貧困に着目したビジネス展開など、SDGs領域に着目する女性が目立つ。

“働く女性”というクラスターが注目され、仕事で自己実現を叶えたり活躍する女性がロールモデルとされていたのは、もはや一昔前のトレンド。「いかにして女性が男性社会の中で昇進できたのか?」といった単なるキャリアアップ成功談よりも昨今は、「どんな社会問題にチャレンジしているのか?」「世の中の女性をどのようにエンパワーメントしているのか?」「どんなミッションを掲げているのか?」「どんな社会にしたいのか?」など、社会的意義が注目されている様子がうかがえる。

女性たちのロールモデル像が、「夢を叶える」「“好き”を仕事にする」「自己実現」といった自分軸の枠を超え、「自分も周りも地球もウェルビーイングなサステナ性ある生き方・働き方」へと変化してきた表れだろう。

 

2021年に注目された女性、アワード総ざらい

女性個人を表彰するアワード、女性ワーカーのいる企業の取り組みを表彰するアワード、有名人やインフルエンサーを表彰するアワードをピックアップした。

  • Business with Attitude(FIGARO.jp)
    女性向けのライフスタイル情報誌「FIGARO japon(CCCメディアハウス)」が開催。ビジネスでイノベーションを起こす女性を讃えるアワードで、受賞したのはフェムテックで企業した2社の女性、テクノロジー分野でジェンダーギャップ解消を図る団体を立ち上げた女性、持続可能な農業に取り組む女性。
  • ウーマン・オブ・ザ・イヤー2022(日経WOMAN)
    女性のキャリア・ライフスタイル情報誌「日経WOMAN(日経BP)」が開催。各界で目覚ましい活躍を遂げた女性を表彰するアワードで、受賞者は、ジェンダー格差の大きいゲーム業界に女性視点を持ち込み成功した姉妹の起業家、医学や半導体など理系業界で活躍する女性、社会問題(健康・貧困・ごみ)に取り組む女性など。
  • Forbes JAPAN WOMAN AWARD 2021(リンクタイズ)
    グローバルビジネス誌の「Forbes Japan」が開催。女性リーダーやプロフェッショナルを輩出している企業と、自ら道を切り拓き自分らしく働く女性を讃えるアワードで、従業員規模別の表彰の他、個人部門も表彰。企業部門ではP&Gジャパン、ポピンズホールディングス、ファーストリテイリング、丸井グループ、スリムビューティハウスなどが受賞。
  • ヤフー検索大賞 (Yahoo! JAPAN)
    検索サイトの「Yahoo! JAPAN」が開催。2021年の1年間で検索数が急上昇した人物・作品・製品を表彰するアワードで、人物部門では「女優」「モデル」「アイドル」「声優」「お笑い芸人」「ミュージシャン」「アスリート」の各部門で表彰。
  • @cosmeベストコスメアワード2021 ビューティーパーソンオブザイヤー(アイスタイル)
    美容総合情報サイト「アットコスメ(アイスタイル )」が開催。キャリアやライフスタイルなど今年最も美しく輝いた女性を表彰するアワードで、受賞したのはオリンピック選手の柔道家・阿部詩さん。多くの人に感動と希望を与えたと共に、等身大で美容やファッションを楽しむ姿が支持された。
  • インフルエンサー・アワード・ジャパン(リデル)
    インフルエンサーマーケティングの「リデル(東京・港)」が開催。高いポテンシャルで活躍をした国内のインフルエンサーを表彰するアワードで、「ビューティ」「フード」「ウェルビーイング」「ライフスタイル」などジャンル別に発表。アワード主催の同社は、今年の傾向として次のようにコメントをした。「今年の受賞者は、続々と拡充される機能を使いこなし、静止画も動画も表現方法が多様化する傾向にありました。特定のSNSのみならず、あらゆるアカウントを使い分けるインフルエンサーも増えています。昨年に引き続き、ライブ配信やコメントへの返信などでフォロワーと積極的にコミュニケーションを取り着実にファンを増やし、書籍化されるインフルエンサーや雑誌で活躍される方が目立ちました。また、SDGsを体現し参考値の高いアカウントを展開されている方も選ばれました」。各受賞者のアカウント紹介に目を通すだけでも、最近の生活者が求める世界観やニーズを読み取れる。

 

2022年はどうなる?女性ヘルスケア市場のニーズ&消費トレンド

2022年の女性ヘルスケア市場のニーズ&消費トレンドを、当社ウーマンズが2022年2月に発表します(健康博覧会2022内にて)。2022年の皆様のマーケティング戦略に、ぜひお役立てください。毎年恒例の人気講演です!

 

【編集部おすすめ記事】
2021年の女性ヘルスケア市場トレンド、総決算!
2021年は「女性の健康権利」が飛躍的に向上、押さえておきたい今年のSRHRニュース振り返り
2021年の最新デザインから学ぶ商品・サービスの開発ポイント
「日本マーケティング本 大賞2021」発表、ヘルスケア業界に役立つ書籍4選

PAGE TOP
×