生活満足度は男女ともに過去最高、は本当? 内閣府のウェルビーイング動向調査
ウェルビーイングの国内動向をまとめた調査レポート「満足度・生活の質に関する調査報告書2024」。2019年から内閣府が実施している調査で、最新版を今月上旬に公開した(調査実施2024年2月、全国の15〜89歳の男女10,633人)。
新型コロナ禍で2021年に最低となった生活満足度は男女全体で徐々に回復しており、今回調査では過去最高となった。男性より女性の生活満足度が高いのは例年通りで、年齢階層別では65歳以上が最も高く、次いで39歳以下。40〜64歳のミドル層が例年同様に最も低い結果となった。
ミドル層の生活満足度が低いのは各所の調査でも明らかにされており、人生の中で最も多忙かつ様々なタスクや大きい支出を抱える時期であることが関係しているとみられる。同レポートでは、性別と年齢階層別の他、地域別・雇用形態別・13の分野別(※)にも分析しており、分野別の「健康状態」の満足度は、男性は上昇、女性は低下。「子育てのしやすさ」「介護のしやすさ・されやすさ」「社会とのつながり」「生活の楽しさ・面白さ」は、男女ともに前回より上昇した。※家計と資産/雇用環境と賃金/住宅/仕事と生活/健康状態/自身の教育水準・教育環境/社会とのつながり/自然環境/身の回りの安全/子育てのしやすさ/介護のしやすさ・されやすさ/生活の楽しさ・面白さ/政治・行政・裁判所への信頼性
全体的に国民の生活満足度は上昇した結果となったが、これについてSNSやネットニュースのコメント欄には、「物価上昇で生活は苦しくなっているのに、過去最高?」「実質賃金が下がっているのに?」「あり得ない」「不思議だ」など、疑問や批判の声が多く上がっている。ツッコミどころの多さを報じたYahoo!ニュースには、800件以上のコメントが(「絶対にあり得ない」内閣府が公表した生活満足度「過去最高」に集まる怒りと疑いのまなざし「詐欺的」指摘まで,Smart FLASH)。ビジネスケアラーの増加や老老介護、少子化により介護の担い手が減ったり介護の分担をめぐってトラブルが起きる家族介護問題、介護人材の不足など、介護問題の深刻化が増す中で、「介護のしやすさ・されやすさ」の満足度が上昇している点も引っかかる。
この調査結果を鵜呑みにしたマーケティング設計は、控えた方が良さそうだ。ウェルビーイングの動向については、以下の調査結果が参考になる。ウェルビーイングの年代差や性差、幸福を阻害する要因などを詳細に分析している。
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