女性の不定愁訴ランキングTOP20(10 〜80代)
不定愁訴の有訴者率は男性より女性が高いことが知られているが、具体的にはどのように性差が見られるのか?また、女性は年代別にどのような不定愁訴を抱えているのか?国民生活基礎調査(厚労省,2016)のデータをもとに、編集部が年代別にランキング化した。
目次
有訴者率の性差
男女ともに加齢により有訴者率は上昇する。性差を見ると全年代で女性の方が高く、有意差が顕著に現れるのは20〜50代で男性より80〜90ポイント前後高くなる。仕事や子育てで多忙な生活を送る中で、生理・妊娠・更年期による女性ホルモンの変動で不調を抱えやすいことが背景にありそうだ。60代以降では20〜50代ほどの性差は見られなくなり、30〜40ポイント差にとどまる。
年代 | 有訴者率(人口千対) | ||
女性 | 男性 | 男女差 (女性ー男性) |
|
10代 | 170.7 | 162.4 | 8.3 |
20代 | 250.3 | 167.7 | 82.6 |
30代 | 291.2 | 209.0 | 82.2 |
40代 | 313.6 | 224.9 | 88.7 |
50代 | 352.8 | 263.0 | 89.8 |
60代 | 373.5 | 330.6 | 42.9 |
70代 | 477.2 | 432.2 | 45.0 |
80歳 以上 |
533.2 | 499.1 | 34.1 |
男女別の5大症状を比較したのが以下グラフ。全体的に男性より女性の有訴者率が高く、男女でランキングは異なる。女性のトップ5は「1位:肩こり」「2位:腰痛」「3位:手足の関節が痛む」「4位:体がだるい」「5位:頭痛」。男性は「1位:腰痛」「2位:肩こり」「3位:せきやたんが出る」「4位:鼻がつまる・鼻汁が出る」「5位:手足の関節が痛む」。
【10代】不定愁訴、TOP20
10代女性は年齢的に健康であるため症状の出現が少なく、全体の有訴者率は170.7(人口千対)。全年代の中で最も低く、80歳以上女性の約1/3程度。1位は「鼻がつまる・鼻汁が出る」。「月経不順・月経痛」は12位。
【20代】不定愁訴、TOP20
20代女性の全体の有訴者率は250.3 。女性全体の3大不定愁訴(肩こり、腰痛、手足の関節が痛む)のうち、上位2症状の「肩こり」「腰痛」は20代以降で見られるようになる。「月経不順・月経痛」は10代よりも順位が上がり、7位。
【30代】不定愁訴、TOP20
30代女性の全体の有訴者率は、20代よりも上昇し291.2 。上位4症状には、コリ・痛み関連がランクイン。「月経不順・月経痛」は9位。
【40代】不定愁訴、TOP20
プレ更年期・更年期世代の40代女性では、さらに有訴者率が上昇し、313.6。上位4症状は30代と変わらないが、それぞれの割合が高くなる。特に上昇が顕著なのは「肩こり」「足腰に痛み」「腰痛」。「月経不順・月経痛」がトップ20にランクインするのは40代まで。
【50代】不定愁訴、TOP20
50代女性では有訴者率はさらに上昇し、352.8。30代・40代で2位だった「足腰に痛み」が「肩こり」を上回って1位に。「足腰に痛み」が1位にランクインするのは、80歳以上まで続く。「手足の関節の痛み」の有訴者率も、50代以降で顕著になる。
【60代】不定愁訴、TOP20
60代女性の有訴者率はさらに上昇し、373.5。10〜50代までトップ5に入っていた「体がだるい」が9位に下がる点に注目。自分自身や夫の退職、働き方の変化、子の独立、更年期から解放されるなどといったことを背景に心身の負担が軽減され、慢性的な疲労感が和らいだと考えられる。
【70代】不定愁訴、TOP20
70代女性では各項目の有訴者率が急激に上昇し、全体で477.2。老化に起因する不定愁訴が多くなり、60代までは上位に入っていなかった「もの忘れする」「きこえにくい」「手足の動きが悪い」などが上位に。また、60代までは見られなかった「かみにくい」が70代で初登場、20位にランクイン。
【80歳以上】不定愁訴、TOP20
80歳以上女性の有訴者率は、男女・全年代合わせて最も高く、533.2。全症状において有訴者率が高く、トップ20の症状の全てが50を超える。3大症状は”痛み”で「足腰に痛み」「腰痛」「手足の関節が痛む」。70代まではトップ20にランクインしなかった「尿失禁」が16位に。
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