【開催レポート】矢野経済研究所のフェムテック研究員と語る、女性ヘルスケア業界の新スタンダード「ジェンダード・イノベーション」〜現状と国内事例〜

2020〜2021年にかけては女性の健康課題をテクノロジーで解決する「フェムテック」が話題を呼び、今年に入ってからは「ジェンダード・イノベーション」という言葉がにわかに注目を集めている。ジェンダード・イノベーションとは「研究開発やビジネスにおいて、生物学的性差、社会学的性差、それらと他の要因(年齢や宗教等)の交差分析を行うことで、イノベーションを創出すること」。市場性を慮れば、性差分析によって使いやすい製品・サービスを生み出して社会課題を解決し、より生きやすい社会の構築につながる。2005年に米スタンフォード大学のロンダ・シービンガ―教授が提唱し、欧米やアジアに徐々に広がったものの、日本での取り組みは今ひとつ。政府によるジェンダード・イノベーションの言及女性版骨太の方針2022や昨今のフェムテックブームを契機にようやく関心が高まり始めたところだ。

そのような中、今回のシンポジウムでは、ジェンダード・イノベーションによってどのような商機を見出せるのか、また性差に着目した商品・サービスの国内事例にはどのようなものがあるのかというビジネス視点で企画をした。市場調査会社の矢野経済研究所と、女性ヘルスケア市場に特化した企業支援を行うウーマンズのそれぞれが持つ知見とデータを基にした講演内容を通じて、参加者の皆様には新たなビジネスチャンスにつながるヒントを提供できたことと思う。

  • 【開催日時】2022年9月13日(火)
  • 【開催方法】ハイブリット開催(会場とオンライン)
  • 【申込み数】856名
  • 【主催/企画】矢野経済研究所/ウーマンズ
  • 【イベント概要】こちら

当日はオンラインとオフラインのハイブリッドで開催。ほとんどの方はオンラインご参加でしたが、会場には約40名の方々にお越しいただきました。シンポジウム終了後はネットワーキングを1時間程、開催。

プログラム(要旨)

プログラムは4名で構成。ウーマンズからはジェンダード・イノベーションの全体像を解説。定義や国内で盛り上がり始めている背景を話した。矢野経済研究所からは3名が登壇。代表取締役社長の水越氏は、ジェンダード・イノベーションの潮流に対する見解を市場調査会社の立場から述べ、続く同社研究員2名の清水氏と矢野氏は、フェムテック市場の最新動向とジェンダード・イノベーションの国内事例について話した。なお研究員2名は、フェムテックの市場レポート「フェムケア&フェムテックマーケット2021,2022」のリサーチを行っている。本稿では4名の講演内容の一部を紹介。

ジェンダード・イノベーションとは?(ウーマンズ代表取締役社長  阿部/15分)

(図)ヘルスケア業界を例に、ジェンダード・イノベーションとフェムテックの違いを示すイメージ。ヘルスケア業界でジェンダード・イノベーションの概念が起きた結果、フェムテックとメイルテックという市場が生まれた。

ジェンダード・イノベーションを理解する上で、2つの事例を挙げます。1つは医薬品。臨床試験においては女性の被験者数が少ない一方で、健康被害が明らかになった医薬品の8割は男性よりも女性の方で高いと言われています。2つ目は人工心臓。人工心臓は女性や子どもにはサイズが大きく、ほとんどは男性に移植されています。この課題に着目したある企業は小型の人工心臓を開発したところ、体の小さい女性や子どもにも、移植ができるようになりました。以上の事例を見るだけでも、性差分析による商品開発の必要性をご理解いただけるかと思います。

ジェンダード・イノベーションは、2005年に米国で提唱されたのが始まりで、今ようやく日本でも広まってきました。例えば2021年には名古屋大学、広島大学がジェンダード・イノベーションをテーマにしたシンポジウムを開催。2022年は当社ウーマンズで性差医療に関する認知度調査を2,000名を対象に実施。お茶の水女子大学は「ジェンダード・イノベーション研究所」を設立し、シンポジウムも開催しました。「日本人間ドック学術大会2022」では、「女性のための人間ドック」がテーマとなり、性差や女性の疾患に関する内容でセミナーやシンポジウムが行われました。今、なぜジェンダード・イノベーションがトレンドになりつつあるのでしょうか。そこには3つの要素があると見ています。

  1.  女性を取り巻く社会の急速な変化で、性差の課題を問題視する動きが出てきた
  2. ビジネス戦略の打開策として期待されている。ジェンダード・イノベーションの視点をもつことによって、新しい商品・サービスの開発、新しい市場への参入が可能となる
  3.  フェムテックブームがジェンダード・イノベーション市場の火付け役になっている

性差分析やジェンダード・イノベーション発想を持つことは、企業競争力を高める重要なファクターです。性差分析を行って研究開発した商品・サービスは、患者やユーザーの理解が深まります。そして満足度とリピート率が高まり、結果として市場から選ばれる強い商品・サービスになっていくことでしょう。

2023年2月、東京ビッグサイトにて世界初となる「ジェンダー・イノベーション」をテーマにしたEXPOを開催します(主催:健康博覧会/企画:ウーマンズ)。現在ご出展頂ける企業様を募集中。

世界的な新潮流「ジェンダード・イノベーション」をどう見ている?(矢野経済研究所 代表取締役社長  水越孝氏/15分)

我々調査会社は消費者調査を行う際に必ず、「男」「女」を基本属性に組み込みます。その上で購買構造、価値観、ライフスタイルの違いを浮き彫りにしていきます。ですから性差の違いというのは、マーケティングや商品企画を行う上でごく普通のことであると、ジェンダード・イノベーションの概念を知った当初はそのように考えていました。

消費の成熟・高度化の流れの中では、男女や年代の区分といったステレオタイプの分析はもはや有効性が失われていくのではないでしょうか。ジェンダード・イノベーションは、引き算のマーケットでもなく足し算のマーケットでもない。性差という違いを考えることで男性と女性の能力や役割におけるバイアスや先入観を減らしていく、そして、違いを意識して物事や社会を見ることで社会的・文化的な偏見をなくし、個人に、より平等な機会を与えていく。そのためのマーケティングであると思います。そんなふうに考えると、楽しみを見出しながらジェンダード・イノベーションのマーケットを作っていけるのではないでしょうか。

フェムテックの最新動向(矢野経済研究所  主席研究員  清水由紀氏/15m)

私どもの調査では、2021年のフェムテック市場規模は635億円(詳細は今年9月30日に発刊される市場レポート「2022 フェムケア&フェムテックマーケット」内に掲載)。市場成長率は2019〜2020年が103.9%、2020 〜2021年が106.5%。市場全体で関心が高まっているにも関わらず伸び率はさほどでもない感じもしますが、堅調に伸びていく市場であると、動向を注目しているところです。

’21〜’22年の市場全体の変化を見ると、’22年は異業種の参入も目立ちました。ただ参入カテゴリーを見てみると、斬新な物・サービスというよりは、生理ケアやデリケートゾーンケアなど、女性に訴求しやすい製品が中心でした。’22年の大きな特徴は、実際に市場に参入したり先行企業の動きをみたりしたことで、マネタイズの難しさを実感する企業も出てきたことです。簡単には大きな売り上げを期待できるマーケットではないと実感してきたようです。一方、消費者側から見ると’22年は、女性の健康課題がよりオープンかつ具体的に語られるようになってきました。20〜60代の女性1万人を対象に聞き取りをしたところ、フェムテックの認知度は13.1%(’21年)から20%(’22年)に上がりました。

業界側にも社会全体・消費者側にも課題はあるものの、新市場であるフェムテック市場の拡大は明らかだと見ています。ただし、商品をそのまま売るだけでなく、教育機関などとコラボレーションしたりして健康課題を認識させ、さらに健康課題を解決するソリューションとしての戦略作りが必要だと感じています。

最後に、フェムテック市場の将来展望を挙げたいと思います。

  1. フェムテックは、性差に着目した女性向けアイテムやサービスを生み出す新市場
  2. まだまだ伸びしろだらけ、市場拡大は間違いない
  3. 追従ではなく、日本人の国民性に合わせた日本市場ならではのやり方が必要
  4. 異業種間のコラボレーションなど、これまでとは違う発想が求められる
  5. 何より、女性の健康課題は女性だけのものではなく、男性の理解が必須
  6. 男性の理解が進むことで、互いに認め合う社会づくりが市場拡大に欠かせない要素
  7. フェムテックの盛り上がりをきっかけに、性差(男性/女性)分析の視点にも注目
  8. 性差に着目することで、男性特有の健康課題を解決する新市場が生まれる可能性大
  9. 目の前に1,200億円(フェムテック ・メイルテック)、ジェンダード・イノベーション視点の潜在市場は10兆円規模

注目すべきは、最後に挙げた「ジェンダード・イノベーション視点の潜在市場は10兆円規模」です。ジェンダード・イノベーションは、ヘルスケア領域だけに限定した概念ではなく、多様な業種・業態での商品・サービスが登場すると考えられます。例えば小売業全体の1%、サービス業全体の1%というように各業態の1%だけをジェンダード・イノベーション発想で捉えた場合、潜在市場は10兆円規模になると見ることができます。

ジェンダード・イノベショーン視点の企業事例 (矢野経済研究所  上級研究員  矢野初美氏/15m)

社内の様々なリサーチ領域の研究員にヒアリングをし、性差視点で製品やサービスを見てみると、開発のきっかけやスタートがジェンダード・イノベーション発想であると思われる事例が多く見られました。さらにそれらの事例は、以下4つに大別できることがわかりました。ジェンダード・イノベーション発想の商品・サービス事例はまだまだ市場では少ないですが、現時点では大方以下のいずれかに当てはまると見ることができるでしょう。

  • 体の性差に着目した製品、サービス
  • 価値観の性差に着目した製品、サービス
  • 働き方の性差に着目した製品、サービス
  • 社会課題に着目した製品、サービス

「体の性差」に着目した商品・サービスは事例として特に多い印象があり、わかりやすい例は、生殖機能の違いに着目した、妊活にまつわる検査キット。男性向けと女性向け、同じブランドから発売されました。ほかにも、力、体格、肌の特徴、体の構造、薬の効き方などの性差に着目した事例があります。

「価値観の性差」では、安全・清潔・美容に着目した事例として、物流現場や建設現場で設置され始めている女性専用仮眠室・休憩室・トイレなどがあります。「働き方の性差」においては、現状では職場の環境や風土が「男性起点」で成り立っているケースが多いものの、さまざまなライフステージにおいて働く女性が向き合う健康課題の改善をサポートする研修セミナーやオンライン診断を提供するサービスが登場しています。性差視点で社会課題に着目した事例としては、女性科学者が少ないという課題の解決を目指し、女子中高生向けアプリコンテストを行っているケースなどがあります(詳細は今年9月30日に発刊される市場レポート「2022 フェムケア&フェムテックマーケット」内に掲載)

 

お申込者の状況

お申込者の業種

以下業種の特に研究・商品開発・事業開発・イノベーション創造の業務についている人の申込みが目立った。

  • メーカー(医薬品、医療機器、健康食品、電子部品、化粧品、アパレル)
  • 小売(百貨店、ショッピングセンター、通販)
  • IT(通信、システム開発)
  • 商社
  • 金融
  • コンサルティングファーム
  • メディア(テレビ局、新聞社)
  • 広告代理店
  • 医療者
  • 官公庁
  • 自治体
  • 大学

お申込み者の申込み理由

申込時にオンライン上のアンケートで「イベントに申し込んだ理由は?参加を通じてどのようなことを知りたい?」と尋ねたところ、次の回答が集まった。参加理由は主に3パターンあった(以下は回答内容の文意が変わらない程度に編集して掲載)

◆フェムテックの最新動向を知りたい

  • フェムテックの現状と今後の可能性について学びたい(市場の見通し、成長分野、マネタイズ、企業進出の状況、課題)
  • フェムテックの浸透はどの切り口(更年期?生理?)から進み、今、新たに兆しが出ているのはどの切り口なのか?
  • フェムテックが響いているのはどんな年代のどんな価値観の女性が多い?学生?OL?主婦?独身者??共働き?
  • 日本でフェムテック市場が欧米ほど盛り上がらない理由と、盛り上げるにはどうしたらいいのか?
  • フェムテックは産学官内で浸透しても、なかなか一般のマス層の生活者に届ききれないことが多いように感じている。一部の人ではなく一般のマス層にとってもフェムテックを当たり前にするにはどうしたらいいのか?そのヒントを得たい
  • 矢野研究所、ウーマンズ、それぞれの立場からのフェムテック市場の可能性と現実を聞きたい

ジェンダード・イノベーションについて知りたい

  • ジェンダード・イノベーションの可能性を知りたい
  • 男性も女性も使用する機器の開発にあたり、どのような思想で設計仕様を統一していくべきか?
  • ジェンダード・イノベーションとは何かを知り、化粧品の開発のヒントを得たい
  • ジェンダード・イノベーションについての世界的な動向と、日本国内の認知度また国内事例
  • ジェンダード・イノベーションの基本概要を知りたい。また、国内事例を知ると同時に、自社でどのように差別化が図れるかを考えてみたい
  • ジェンダード・イノベーションの研究から実装に持っていくために、具体的にできること
  • ジェンダード・イノベーション発想の開発への落とし込み方

フェムテックとジェンダード・イノベーションの関係性を知りたい

  • フェムテックから次のステージ=ジェンダード・イノベーションに移行している、という潮流の変化に興味を持った。この領域の議論の流れをおさえておきたい
  • 日本ではフェムテックが徐々に浸透しつつあるが、世界ではジェンダード・イノベーションという考え方に進んでいると知り驚いた。知識のアップデートをしたい
  • ジェンダード・イノベーションの定義を知りたい。また、フェムテックとの違いも明確にしたい
  • ジェンダード・イノベーションについて理解を深めたい
  • フェムテックに興味があり、その関連でジェンダード・イノベーションについても学んでおきたい
  • フェムテックだけではないジェンダード・イノベーション観点での世界・日本市場の見通し
  • ジェンダード・イノベーションとフェムテック事業の将来性について。性差に着目した研究・技術・商品開発についての国内外の現状について知りたい
  • 概念全体の理解、今後の動向、研究や開発としての視点。男女で相互に拡張した際の新たな課題や感情について

聴講者への質問と回答ランキング

プログラムの進行中は司会から参加者に向けて4つの質問を投げかけ、オンライン上で回答を募った。参加者の多くは女性ヘルスケア事業に携わっているビジネスパーソンなので、業界人の意識をざっくりと探る貴重な機会となった。

質問1:ジェンダード・イノベーション、知ってる?

 

  • 1位:今回のイベントで初めて知った(38.8%)
  • 2位:聞いたことはあるが、内容はよく知らない(32.6%)
  • 3位:聞いたことがあり、内容は何となく知っている(24.0%)
  • 4位:言葉も内容も理解している(4.6%)

 

質問2:フェムテック市場参入の有無と状況は?

  • 1位:参入したいが、まだ検討中(67.8%)
  • 2位:参入したが、苦戦している(15.2%)
  • 3位:参入するつもりはない(8.0%)
  • 4位:参入して、売上はまぁまぁ好調(7.4%)
  • 5位:参入したが、撤退または予算を削減した(0.8%)
  • 6位:参入して、売上は絶好調(0.8%)

 

質問3:あなたの会社の性差分析の状況は?

  • 1位:いずれにも当てはまらない(32.4%)
  • 2位:女性のみを分析し、女性向けに開発・販売(29.7%)
  • 3位:男女両方を分析し性差を明らかにした上で、男女を区別して開発・販売(22.5%)
  • 4位:男女両方を分析し性差を明らかにしているが、男女兼用で開発・販売(14.3%)
  • 5位:男性のみを分析し、男性向けに開発・販売(1.0%)

 

質問4:当シンポジウムを通じ、性差分析した商品・サービス開発についてどう思った?

 

  • 1位:性差分析をし、新規開発したい(42.9%)
  • 2位:もう少し市場の様子を見てから決めたい(33.1%)
  • 3位:まずは既存商品の性差分析をして、見直しを図ってみたい(22.8%)
  • 4位:性差分析をするつもりはない(1.2%)

聴講後の感想

  • 性差への着目がビジネス機会につながる気がした
  • いきなりフェムテックが登場したのではなく、ジェンダード・イノベーションが先にあってそのソリューションとしてのフェムテックという立ち位置の説明が非常に腑に落ちました
  • どの市場も、マスマーケティングから、市場をよりセグメンテーションしていかなけば差別化が難しい中で、ジェンダード・イノベーションの切り口は細分化された市場ニーズとして可能性があると感じた
  • 初めて聞いたジェンダード・イノベーションという言葉について、理解が進んだ。これから何をすべきか考えるきっかけになった
  • 言葉の定義や性差の視点を理解できた
  • フェムテック~ジェンダード・イノベーションへの流れであることが分かった
  • フェムテックという単語はよく雑誌やSNSで見かける割には商品展開が少ないと感じていた。参加者皆で回答した投票の結果や登壇者の話を聞いたことで、実は「静観」している企業が多いことを知り、その理由を理解できた
  • ジェンダード・イノベーション関連商品の具体例や、着眼点が聞けて良かった
  • 今回、ジェンダード・イノベーションという新しいキーワードがテーマでしたが、かなり以前より性差医療には注目してた。医療の元になっているエビデンスは男性のデータが多いため正しい医療はできていないという現状があり、今回もやっと、性差の理解ということが前面にでてきていて、これがどこまでマーケテイングという視点で本質に迫れるのか、今後も注目していきたい
  • 今回、初めてジェンダード・イノベーションという言葉を知り、知らないところでいろんな視点があることが分かった。フェムテック市場が話題の割に伸びていないことが意外で、まだまだ認知度は低いことを感じた
  • 「女性」や「男性」という性差を前面に出すと、それに伴い、一定層には強く受け入れられる一方、社会全体でみると、大きな批判(いわゆる炎上)のリスクも大きいような気がする。そのため、なかなか日本企業では「様子見」になるような気がした
  • ジェンダード・イノベーションが初めて触れる言葉だったため、基本知識の習得という点では大変勉強になった。フラットな視点で見ているつもりでもかなりバイアスがかかっている事を改めて認識した。海外との比較の話があったが、国民性だけでなく学校教育の果たしている役割も大きいのではと思った
  • 会社の意思決定の場にいるのは現状まだまだ年配男性なので、企業側や男性側の理解と行動変容が必要であると強く感じる。男性側に有利なものについては意思決定が早いのに比べて、女性側のものについては遅々として進まないことについては様々な要因があると思うが…フェムテックを「ツール」として乗っかるだけの企業が多くあるように感じる。だが、これをきっかけに少しでもジェンダー格差解消につながればと改めて思った
  • フェムテックという言葉と将来性の高さだけで踊らされるのではなく、きちんと性差を認識したうえで、商品やサービスをリリースする大切さを改めて認識することができた
  • とても面白かった。特にフェムテック製品の増加だけでなく、文化的な発展と共に製品への落とし込みが今後のジェンダード・イノベーションに必要だという点は、日本人の文化的傾向からずっと感じていた部分なので納得した
  • ジェンダード・イノベーション、しっかり理解出来ました
  • フェムテック市場の浸透の後にメイルテック市場が成長することも、すごく納得です
  • いろんな角度からお話頂く事で、理解も深まった
  • 非常に勉強になりました。特に、ジェンダード・イノベーションとジェンダーレスをどのように理解していくかについては、聴講前の大きな疑問だった。まだまだ私自身の中で理解不足の感は否めませんが、今回の聴講後の気づきを種に、私なりに育てていきたいと思う
  • フェムテックのブームが落ち着いてきたように感じていたが、業界を調べている人たちから直接意見をきけたのは良かった

 

シンポジウムを終え、主催・企画者が感じたこと

国内の女性ヘルスケア市場ではフェムテックが大いに盛り上がっているが、市場の伸長率はさほど大きくはないこと(矢野経済研究所 清水氏談)、また、参加者に聞いた質問「フェムテック市場参入の有無と状況」の最多が「フェムテック市場に参入したいが、まだ検討している」で約7割にも上る結果であったことに驚いた人は多かっただろう。市場全体で足踏み状態が続いているのは、フェムテック元年と言われた2020年から実はさほど変わっていないのだ。

矢野経済研究所とウーマンズの2社が共通してこの市況に対し感じているのは、「伸びしろは十分にあるが、その伸びしろを活かすも活かさないも業界人次第」。消費者や社会全体のヘルスリテラシー向上や、タブーやスティグマの解消に努めることはもちろん重要だが、業界人自身がヘルスリテラシーを向上させ女性の多様な健康課題に気づくことができなければ、発想の幅を広げることはできない。では、どのようにして多様な女性の健康課題を見つければよいのか?その解の一つが、当シンポジウムのテーマとなった性差分析=ジェンダード・イノベーション発想を日頃から心がけることだ。

ジェンダード・イノベーションは命や健康に関わる医療界・ヘルスケア業界において特に必要とされる考え方で、今後のヘルスケア業界のスタンダードになることは間違いない。ただ、聴講者に向けた質問の回答でも見られたように、業界人であってもジェンダード・イノベーションの理解が進んでいないのが現状だ。まだ未知の領域のように感じるかもしれないが、ジェンダード・イノベーションの定義や事例にあまりこだわることなく、まずは自社の既存商品・サービスを性差視点で見直してみたり、自社の技術をベースにどのようなジェンダード・イノベーション発想のソリューションを開発できるか?と、ライトに捉えて可能性を探ってみてはどうだろう?そして、女性だけを切り取って女性の健康課題を見つめるのではなく、症状・治療法・薬力・健康行動・健康消費など多様な視点から性差分析を行うことを心がけてほしい。これまでには見えてこなかった女性特有の健康課題やニーズを正確に捉えることができるようになるはずだ。

今回も様々な業界から多くの皆様にお申し込みいただき、当シンポジウムを企画・開催することができた。シンポジウムを共に開催した矢野経済研究所とお申し込みいただいた皆様に、改めて感謝の意を表すとともに、今後もこのようなイベントを通じて、ジェンダード・イノベーション発想による開発から社会実装までを皆様と共に目指していきたい。

 

 

 

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