たんぱく質ブームはライトユーザー離脱で一段落、今後の市場拡大のカギはプロテイン未利用女性
たんぱく質ブームは一段落するも堅調に推移し、2023年は2,687億円へ。富士経済が発表した。調査対象は12品目(プロテイン、食事代替ダイエット食品、MRP、チルド・冷凍加工食品、常温加工食品、プロテインドリンク、パウチプロテインゼリー、プロテインデザート、プロテインバー、その他菓子・シリアル、経口栄養流動食、大人向け粉ミルク)。
たんぱく質ブームは、2015年に各種メディアが補給の重要性を発信したことで発生し、新規ユーザーの獲得が進み急拡大した。筋トレの流行やインフルエンサーによるプロテインの情報発信が増加したことも、新規ユーザーの取り込みに貢献。ほとんどの品目で売り上げが伸び、2021年まで市場は10%を超える伸びが続いた。
2022年以降はブームが一段落し、メディアの露出減少やライトユーザーの離脱がみられるものの、ヘビーユーザーを中心に引き続き需要が増加しており、生活に取り入れやすい麺やスープ類、ソーセージなどの食事メニューや、栄養素をバランスよく含むシニア向けの経口栄養流動食などが伸長。以前ほどの伸びはみられなくなったが、堅調な需要獲得で2023年の市場は前年比4.3%増の2,687億円となった。2024年は、たんぱく補給意識の高い消費者を中心に需要増加が続き、市場は前年比2.8%増の2,763億円が見込まれる。
今後の取り込みを期待できるのは、女性。プロテイン摂取率は男性より女性が少ないことが各所の調査でわかっており、女性はわずか3割にとどまる(ネオマーケティング「プロテイン摂取と美容に関する調査」20〜69歳女性,2022)。摂取率が高いのは30代以上で、摂取目的は、20〜40代は「ダイエット・体型維持」「美容」、50〜60代は「筋力向上」「免疫力向上」。年齢によってたんぱく質に求めるものは異なるものの、全年代の女性で潜在需要があることから、7割の未利用者を取り込める余地は十分にある。
今月、美容プロテインを新発売したコーセーによると、「プロテインはトレーニングをしている人向けのもの」「健康・美容に関係ない」と思っている生活者は未だ一定数いるという。プロテインの未利用者や無関心層の中には、偏ったイメージや抵抗を持つ人がいることから、障壁を払拭した商品を開発。健康も美容も大事にしたい女性を狙うとしている。プロテイン含めたたんぱく質市場の伸長は、未利用女性の取り込みが鍵となりそうだ。
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