女性が休みやすい環境づくりを、「生理休暇」の改称や休暇制度の新設が加速
生理休暇の取得率は低下トレンドにあり、2020年はわずか0.9%(厚労省「令和2年度 雇用均等基本調査」)。取得率が驚くほど低いのは、鎮痛薬や生理用品の普及のほか、低容量ピルで生理をコントロールできるようになったことが背景にあるとの見方もあるが、「人手不足から職場の雰囲気として取りづらい」「生理であることを知られたくない」「男性上司に言いづらい」など、職場環境に”そもそも”の問題が潜んでいることが各種調査でも指摘されている。そんな状況を改善し女性が働きやすい環境に整えようと、休暇制度の名称の変更や新制度の創設に動き出す企業が増えている。各社の事例を見ていこう。
目次
「エフ休暇」へ改称、PMSも適用(キリンホールディングス)
「生理休暇」という直接的な表現の名称が制度利用時の心理的な障壁となっていたことから、従業員が利用しやすいよう、従来の「生理休暇」からFemale(女性)のFを表わす「エフ休暇」に名称を変更。合わせて、それまでは生理日に限定していた適用範囲をPMSにまで拡充した。2023年11月より開始(詳細)。
「M休暇」へ改称、休暇手当も支給(サッポロビール)
サッポロビールでも、「生理休暇」という直接的な表現が取得の心理的ハードルになっていたことからMenstruation(生理)のMを取り「M休暇」へと改称。適用範囲もPMSにまで広げた。また、より柔軟に取得できるよう半日単位での取得も可能にし、合わせて、従来は1日単位で支給していた休暇手当を、半日単位でも支給できるようにした。2024年3月より開始(詳細)。
性別・理由問わない「セルフケア休暇」新設(大塚製薬)
性別・理由問わず利用できる休暇制度として「セルフケア休暇」を新設。これまでも不妊治療や更年期症状の治療時には積立有給休暇制度を利用できるようにしていたが、理由を明確にすることなく全社員が利用しやすいよう導入した。性別関係なく、不妊治療や更年期症状の治療、性別適合手術やホルモン治療を受ける場合に年5日まで利用できる。2024年1月より開始(詳細)。
「Her Day Leeave」へ改称、月に3日まで有給で取得可 (オルガノン)
「生理休暇」を「Her Day Leave」へ改称するとともに、適用範囲を「生理」に加えてPMSや更年期症状にまで広げた。1カ月に3営業日まで有給で取得できる。2023年9月に開始(詳細)。
「エフ休暇」へ改称と、不妊治療や主要疾患の休暇制度を新設(桃谷順天館)
2020年に従来の「生理休暇」を「エフ休暇」へ改称し、同時に適用範囲をPMSにまで拡充。また、改称を検討する中で不妊治療に悩みを抱える人も多いことがわかり、 男女ともに不妊治療の際に取得できる「ライフサポート休暇」を同年に新設。その後2022年に、その他の治療でも「ライフサポート休暇」を利用できるよう、適用範囲を主要疾患(がん,脳卒中, 肝疾患,難病,心疾患,糖尿病)にまで広げた(詳細) 。
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