物々しいが頼もしい 進むマスクのハイスペック化
新型コロナの影響によるマスク不足は依然として深刻。だがこの状況はマスク業界にイノベーションを起こし、ひいては消費者の”マスク選びの基準”を変える機会になっているかもしれない。
これまで市場に出回ったマスクといえば、各メーカーどれも似たり寄ったり。近年になり「黒、ピンクなどのカラー展開」「小顔に見せる、顔の形ににフィットしたデザイン」「スチーム効果のある保湿タイプのマスク」などで差別化が図られてきたが、「これが欲しい!」という消費者の絶対的な関心を強く引き寄せるインパクトがあったか?というと、微妙なところ。
しかしいよいよマスク不足が深刻化し、さらに完全に対策できるマスクを求める需要が高まり始めたことで、マスク業界に本格的な技術革新が到来したようだ。新型コロナの影響で登場した最新のマスク事例を見てみよう。
機械式マスク
PM2.5など大気汚染用マスクとして開発されたのが中国発の機械式マスク。(株)Gloture(東京・港)が同社ECサイトでの販売を3月からスタートさせていてる。日常生活での使用に加え、運動中など激しい呼吸をする際にも息苦しさを感じることなく使えるという。交換式の高性能ナノ繊維フィルターを内蔵しており、フィルターは軽度な大気汚染で2〜3週間、また重度の大気汚染では約1週間持つとのこと。
少々物々しいので、普段なら「恥ずかしくてこんなのつけられない」と思われただろうが、今や人々が求めるのは「見た目」より「機能」。今の状況が長引けば、こんなマスクを着用する人の姿もそう珍しくはなくなるかもしれない。
ウォッシャブル仕様の和紙マスク
使い捨てではなく、何度も使って洗えることを前提としたウォッシャブル仕様のメイドインジャパン和紙マスクを4月から販売開始するのは、ライフスタイルアクセント(熊本市)。購入は1人一枚までで、価格は1枚1,900円。同社運営サイトで販売する。
フィルター付け替え式&水洗い可の高性能マスク
花粉やPM2.5などの空気中の微細な粒子を防ぐことを目的に開発された高性能マスク「Banale Mask(イタリア製)」。幾層にもなるフィルターで構成され、SARSや鳥インフルエンザ対策に推奨される「N95」という規格を上回る「N99」の基準をクリア。ホコリや花粉はもちろん、PM10やPM2.5といった極小の粒子をもシャットアウトする。フィルターは付け替え式で、例えば東京都内(大気汚染レベル中の指定)で毎日使用したと仮定すると6~8週間が交換目安になるという。
Banale Mask(※)はきびだんご株式会社(東京・新宿)が取り扱っている。きびだんごは、3月6日~3月12日の1週間限定で、クラウドファンディングサイト「Kibidango」で予約販売を行ったところ、目標金額の35万円を達成し、379人から約153万円を集めた。目標金額を達成できたことから、同社は日本への正規輸入を決定した。
(※)BANALE(バナーレ)はイタリアで活動するデザインチーム。都市部でアクティブに活動する人々に快適なライフスタイルを提供することをミッションに、プロダクトを開発している
変わるマスク選びの基準
深刻なマスク不足の中、新たに登場しているのは、これまで需要のあった「使い捨て型」ではなく「繰り返し使えるハイスペック型」。いつ買えなくなるかわからない使い捨てタイプよりも、こういった緊急事態で役立つのは、少々高くても繰り返し使えるタイプの方が頼もしい。新型コロナの終息が見えない中、引き続き動きが俊敏なベンチャー企業や中小企業を中心に、さまざまなハイスペックマスクが登場しそうだ。
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