直近10年で変化した健康不安、SNSの普及や医療・介護の環境変化が影響

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人々が不安を感じる健康問題が直近の約10年間で変化していることが、ニッセイ基礎研究所による調査で明らかになった「疾病の罹患や加齢にともなう症状に関する不安と、その9年間の変化」2023.12。20〜60代の男女を対象に2023年と2014年に実施した調査結果を比較してわかったもので、調査では「疾病などの罹患や加齢にともなう症状に関する不安」の9項目について、項目別に不安の程度を聞いた。「不安」と「やや不安」を合わせて集計したところ、2023年のランキングは以下で(男女計)、最も不安な健康問題は「認知症になる」だった。2014年にトップだった「加齢により身体的機能が衰えて思ったように動けなくなる」は3位に下がった。

  • 1位:認知症になる…59.8%
  • 2位:ガン、心疾患、脳血管疾患にかかる…59.1%
  • 3位:加齢により身体的機能が衰えて思ったように動けなくなる…58.9%
  • 4位:長期の入院・通院を要する病気にかかったり、ケガをする…56.1%
  • 5位:病気・ケガによって障害が残る…54.2%
  • 6位:糖尿病、高血圧などの生活習慣病にかかる…51.6%
  • 7位:感染症・伝染性の病気にかかる…47.7%
  • 8位:メンタルヘルスを損なう…45.5%
  • 9位:後天性難病にかかる…38.1%

2023年の調査結果を2014年と比較したところ、特に上昇幅が大きいのは次の3項目だった。

  • 感染症・伝染性の病気にかかる(2014年比で11.7ポイント上昇)
  • メンタルヘルスを損なう(3.2ポイント上昇)
  • 認知症になる(2.1ポイント上昇)

上記3項目の健康不安が高まっているのは、この10年でワーカーのメンタルヘルスや高齢期の健康問題が社会問題化したことや、新型コロナの感染不安が背景にあると見られ、同所の研究員は「SNSの普及で人々の病気に関する情報収集方法も変わってきた。医療や介護を受ける環境の変化などを目の当たりにし、疾病などに関する不安も変わってきている」とコメントしている。なお、2023年に実施した調査では9つの全項目において、不安に感じる女性の割合は男性を上回っており、女性の方が総じて健康不安が強いことも明らかとなった。

 

 

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