AMR、ポリファーマシー、ドラッグ・ラグ、創薬エコシステム… 女性生活者の認知率は?

Category: データ分析
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製薬企業や医療機関、行政などを中心に、ウェブサイトや啓発資材を通じて医療・薬関連の情報が積極的に発信されるようになったが、そもそも生活者は専門用語を理解できているのだろうか?医療・薬・健康関連の専門用語について、男女それぞれの認知率を明らかにした調査がある。6つの言葉について、認知率とその言葉に対する問題意識を調べたもので、全体的に、言葉の認知率は男性の方が高いものの、問題意識を感じる傾向は女性の方が強い結果となった。一般的に健康意識や健康行動者率は女性の方が高いことから、健康情報や健康トレンドに精通しているのは女性であることが知られているが、医療・薬領域の専門用語においては、全体的な傾向として男性の方が知識を有しているようだ。さて、業界人の読者の皆さんは、全て知ってる?製薬協「くすりと製薬産業に関する生活者意識調査」報告書,2022.11

「ポリファーマシー」の認知率、18.5%

女性の「ポリファーマシー(多剤併用)(※1)」の認知率は、「知っている」と「見聞きしたことはある」を合わせて18.5%。男性の方が認知率は高く23.4%だった。続いて、回答者に「ポリファーマシー」の意味を伝えた上で問題意識について尋ねたところ、「身近な問題として意識している」「知らなかったが重要な問題だと思う」と回答した人は、男女ともに5割を超え、女性は62.5%、男性は54.8%だった。認知率は男性の方が高いものの、問題意識を感じている割合は女性の方が高いことがわかった。また、年齢とともに問題意識が高まることもわかった。(※1)患者に必要以上に薬が投与されている、あるいは不必要な薬が処方されている状態。複数の医療機関を受診し薬を処方されながら、「おくすり手帳」等を使った服薬の管理が行き届かないことで発生する場合が多い。

【出展】製薬協「くすりと製薬産業に関する生活者意識調査」

 

「AMR」、21%

続いて「AMR(薬剤耐性)(※2)」の認知率も男性の方が高く、女性21%、男性26.6%。問題意識を感じている割合は前問同様に女性の方が高く、また、年齢とともに高くなることがわかった。(※2)Antimicrobial Resistance。抗菌薬(抗生物質を含む抗菌薬)が適正に使用されないことにより、本来効くはずの抗菌薬が効かない「薬剤耐性菌」が増えつつあり、世界的な脅威になっている問題。この「薬剤耐性菌」が増えると感染症が重症化し、さらには治療手段がなくなり死に至る可能性がある。 

【出展】製薬協「くすりと製薬産業に関する生活者意識調査」

 

「ドラッグ・ラグ」、10.4%

「ドラッグ・ラグ(※3)」の認知率も男性の方が高く、女性10.4%、男性14.5%。一方で問題意識を感じている割合は女性の方が高く、また、年齢とともに高くなる傾向が見られた。(※3)世界では既に承認されている薬が、日本では未だに承認されていないこと。また、承認までの時間を長く要すること。海外には新薬があるのに日本では使えない状態になるため、国内の医療レベルの低下にも繋がる問題となりうる。

【出展】製薬協「くすりと製薬産業に関する生活者意識調査」

 

「患者参画」、10.2%

「患者参画(※4)」の認知率も男性の方が高く、女性10.2%、男性17.8%。前述の各結果と同様に、問題意識を感じている割合は女性の方が高い。(※4)医学研究・臨床試験における患者・市民参画。生命の尊重と個人の尊厳に基づき、患者が単なる医療の受け手ではなく、様々な情報を元に医療従事者と協働で治療に参画する(患者参加型医療)、あるいは、臨床試験(治験)や医学研究を計画・実行する過程においても、企業や研究者に患者・市民からの知見を提供すること。

【出展】製薬協「くすりと製薬産業に関する生活者意識調査」

 

「創薬エコシステム」、7.5%

「創薬エコシステム(※5)」は、男女ともに6つの言葉の中で認知率は最も低く、女性7.5%、男性12.6%だった。「ポリファーマシー」や「ドラッグ・ラグ」と比べ「創薬エコシステム」は、より業界寄りの概念であることから、メディアなどでも一般向けにはあまり用いられていない。こういった事情が背景にありそうだ。(※5)エコシステムとは、元来は同じ環境で暮らす動植物が共存しながら、生態系を維持している仕組みを表す。「創薬エコシステム」とは、製薬企業・行政・大学等が相互に関与することで、絶え間ないイノベーションが起こり、画期的な新薬が継続的に生み出される状態のことであり、日本でもそのような環境作りが求められている。

【出展】製薬協「くすりと製薬産業に関する生活者意識調査」

 

「健康寿命」、68.5%

6つの言葉の中で、男女ともに認知率が最も高かったのが「健康寿命(※6)」で約8割に上った。企業やメディアによる発信の機会が多いこともあり、身近な言葉として定着しているようだ。年代別に見ると、特に60代以上で認知率が高く、約9割。(※6)日常的・継続的な医療・介護に依存しないで、自分の心身で生命維持し、自立した生活ができる生存期間のこと。平均寿命に対する健康寿命の割合が高いほど、寿命の質が高いと評価され、近年各国で重要視されている。

【出展】製薬協「くすりと製薬産業に関する生活者意識調査」

 

 

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