世界で話題の “トイレに流せる” 妊娠検査薬、女性たちの評価ポイントは?

世界初の水に流せる妊娠検査薬「Lia」が米国で注目されている。プラスチック不使用の環境配慮が評価され、これまでに様々なアワードを受賞し、各主要メディアでも紹介されている。Liaを開発したのは、2015年に米国で女性起業家が立ち上げたLia Diagnostics社だ。

従来のプラ検査薬、環境負荷は大

一般的な妊娠検査薬は電子体温計のような外観で、プラスチックで覆われている。キャップを外して採尿部に尿をかけ、妊娠判定を確認したら不燃ゴミとして廃棄する(以下動画:一般的な妊娠検査薬)

トイレ内でこの検査に要する時間はわずか数分程度。あっという間に製品としての役割を終えるわけだが、その廃棄量は凄まじく、同社によると米国では年間200万ポンド以上のプラスチック廃棄物が妊娠検査薬から排出されているという。

この大量に廃棄される妊娠検査薬を脱プラすることができれば、それだけでも環境負荷を大きく低減できる。それを実現したのがLiaだ。

水に流せる検査薬、10週間で生分解

仕組みは従来の妊娠検査薬と同様で、尿に反応して妊娠を判定する。妊娠していれば2本線が、妊娠していなければ1本線が表示される。

従来のタイプと異なるのは、製造方法と検査後の処理方法。Liaは一般的なトイレットペーパーと同じ天然の植物繊維でできていて、従来の妊娠検査薬に含まれるプラスチックやガラス繊維は含んでいない。

判定結果を確認したら、トイレットペーパーと同様にトイレの水に流して廃棄する。コンポストも可で、その場合、土壌中で本体は10週間で100%生分解される(第三者機関調査で確認済み)。

 

女性特有の心情に配慮

妊娠検査薬の本体以外にも工夫が散りばめられている。例えばパッケージ。オンラインで購入後、商品は封筒に入れられた状態で自宅に届けられる。傍から見れば書類が同封されていると思う薄さで、同居している家族などに悟られることなく、こっそり封を開けて検査できるよう配慮されている。

さらにユニークな特徴が。判定結果を思い出としてとっておきたい人のために、判定部分を切り取れる設計にしている。スクラップブックに挟めれば、妊娠を喜んだ瞬間を一生の思い出として保存できる。

 

女性購入者のレビュー

実際に購入した女性のレビューを見ると、環境配慮の点はもちろんだが、それよりも、検査前後の心情に配慮した製品設計を評価する声が目立つ。

妊娠を期待している女性もそうでない女性も、妊娠検査薬の使用前後は様々な感情に包まれる。例えば検査することを周囲に悟られたくない人にとっては、検査後の処理は小さな憂鬱ごと。判定後は廃棄のためにトイレの外にこっそり持ち出さなくてはならない上に、検査薬本体が大きいため、廃棄するまでに隠しておく場所を見つけなくてはならない。

そういった女性ならでの”シーン”に配慮した点も評価されている。同社のサイトに掲載されている購入者レビューには、次のようなコメントが並んでいる。

検査薬の本体を評価

  • 検査後にゴミ箱に捨てて誰かに見つけられる心配がない
  • トイレに流せるので検査の証拠が残らない
  • 自宅、外出先、職場、友人と夕食中、どこででも利用できるのが便利
  • 使うのも捨てるのも簡単
  • 通常の検査薬よりも採尿部の表面積が大きいので、尿をかけるのが簡単
  • 使いやすい、結果も早い、正確、目立たない

パッケージを評価

  • 商品パッケージも小さくて目立たないので、秘密裏に処分できた

環境配慮を評価

  • 環境に優しい商品
  • 流すだけなので、ゴミを減らせる
  • 従来のプラ製検査薬の時は、捨てる時にパソコンを捨てたような気分になった

 

評価ポイントは、環境配慮<女性視点

ナプキンやタンポンのように毎月使用する生理ケア商品とは違い、妊娠検査薬の使用頻度は低い。妊活で一時的に定期使用している女性の存在を考慮しても、女性が生涯で使う回数は数えられる程度だ。従来の一般的な妊娠検査薬が環境に及ぼす影響について、日常的に罪悪感を覚えている女性はそう多くはないだろう。妊娠検査薬においては、環境配慮の有無は重要な購入基準にはなりづらそうだ。

SDGsの広がりで、環境配慮の有無を購入基準にする消費者は増えているが、Liaは、環境配慮よりも女性の心情に配慮した製品設計が高く評価され購入に繋がっている印象だ。開発者が女性ということもあり、女性ならでのは視点がふんだんに盛り込まれている。

 

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