【開催報告】現役の産婦人科医と探索する女性患者の未充足ニーズ
ウーマンズは今月7日、「産婦人科領域の女性の未充足ニーズ」をテーマとした勉強会を開催しました。当日は、製薬企業、医療機器メーカー、医療コンサルティング、アパレルメーカー、食品メーカーなどの企業様にご参加いただきました。ご参加いただいた皆様、誠にありがとうございました。本稿では、開催報告として勉強会の概要をお伝えします。
開催報告レポート
ヘルスケアビジネスの課題
基調講演では、全43の診療科をカバーする医師監修サービス事業の(株)メディコレの代表取締役・橋本礼次郎氏が、女性向けヘルスケア製品の開発・販売にあたり多くの企業がぶつかるビジネス課題と解決策について講演しました。
近年見られる顕著な事例としてフェムテック業界を挙げ、「フェムテック業界は、従来より医療業界でプロダクト開発してきた製薬・医療機器メーカーではない新興企業や新規部署が多いため、開発時に医療現場のサポートを受ける体制が弱い」と指摘。「それにより、医療現場で見られるニーズ=事業価値が高いシーズを見逃すリスクがあり、また、医療現場の知見がないことから、調査会社による市場規模や先行事例を頼りに事業を立案するために、同類の製品・サービスが市場に生まれ、結果的に価格競争に陥るケースが目立つ」と、業界の課題を述べました。その解決策として、医師と企業による共創を提示し、実際にこれまでに共創によって生まれた医療機器の開発事例を紹介しました。
診療現場で見られる女性患者の訴え
メインセッションでは、産婦人科医2名が登壇。あおば通りかずみクリニック(宮城・仙台)の産婦人科医・佐藤綾華氏からは、企業に知ってほしい女性患者の健康悩みについて、「更年期」「妊娠」「生理」「子宮・卵巣」「その他」のカテゴリー別に紹介。高齢期における更年期症状や、高齢出産を目指す女性特有のメンタル不調など、産婦人科では確定診断が難しい症状や対応が難しい症状の他、社会トレンドの変化による女性患者の悩みの変化や、女性患者にも企業にもあまり知られていないものの患者数が多い症状を解説しました。
宮の沢スマイルレディースクリニック(北海道・札幌)の院長で産婦人科医の馬場敦志氏からは、「診察前」「診察時」「検査時」「処方時」のフェーズ別に女性患者からよく聞かれる訴えを紹介。女性患者の訴えはフェーズごとに異なるといい、例えば「処方時」では、多剤服用を背景にした医薬品の安全性に対する不安の声が大きいとのこと。クリニックでの対応方法を、診療時に実際に使用しているツールも紹介しながら解説しました。
Q&A
最後の質問時間では、参加企業から事前に寄せられた多様な質問に、佐藤氏と馬場氏それぞれから回答。両氏からは、診療現場で未対応となっている女性患者の悩みや症状に対し、「こういう製品・サービスがあるとありがたい」といった提案もありました。
この日、馬場氏は診察日で休憩中の登壇ということもあり、1時間という限られた時間内での開催となりましたが、普段メディアで見かける情報とは異なる専門的な視点から、女性患者のリアルな訴えや未充足ニーズを学ぶことができました。
次回開催について
2024.11.28(木)開催
\30社限定/
自社商品の新たな販路開拓先として、今、調剤薬局・医療施設・介護施設が注目されています。一方で、入り込み方や業界特有のマナーやルールを把握しきれず、営業に苦戦している企業の声も多く聞かれます。業界特有の商習慣・規制・課題・市場概況・取り扱われやすい商品など、販路開拓前に知っておくべき知識を、事例とともに徹底解説。営業戦略に役立つリアルな情報をお届けします。詳細・お申し込みはこちら。
2024.12.4(水)開催
\健康食品の業界紙編集長が徹底解説/
フェムケア製品の相次ぐ上市、紅麹問題によるサプリ業界への打撃、機能性表示食品制度の見直し、コロナ収束による海外市場への展開拡大など、健康食品市場を取り巻く環境はこの1年で大きく変化しました。健康食品の業界人が2025年のビジネス拡大に備え、必須で押さえておくべき2024年の主要ニュースを振り返りながら、2025年の市場を展望します。1時間で大量の情報をインプットしていただけます。詳細・お申し込みはこちら。
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