受動喫煙が女性の肺がんを引き起こすメカニズムを解明 国立がん研
国立がん研究センターは16日、受動喫煙が肺がんを引き起こすメカニズムを明らかにしたと発表した。研究は、非喫煙者で肺がんになった女性291人と、能動喫煙者で肺がんになった女性122人を対象に、受動喫煙の経験有無と遺伝子変異の関連を分析した。以下は研究結果サマリー(国立がん研究センター「受動動喫煙が肺がんの遺伝子変異を誘発することを証明」)。
- 受動喫煙は肺の中での炎症を誘発し、腫瘍細胞の悪性化を引き起こす
- 受動喫煙と能動喫煙では、異なるメカニズムで遺伝子変異が誘発される
- 「受動喫煙を受けて発生した女性の肺がん」は、「受動喫煙を受けずに発生した女性の肺がん」と比べ、より多くの遺伝子変異が蓄積している
これまでにも受動喫煙が肺がんの発症リスクを高めることは知られていたが、その仕組みは明らかにされていなかった。研究グループは、メカニズムが解明されたことで、受動喫煙の回避による肺がん予防の重要性が改めて強く示されたとしている。
受動喫煙の防止策としては2020年に、学校や病院、児童福祉施設、行政機関のほか、飲食店やホテル、旅館などの共用部での屋内禁煙が原則となった。しかし受動喫煙を十分に防いでいるとは言い難く、東京都が先月実施した「受動喫煙に関する意識調査」では、1年以内に受動喫煙を経験した人は女性47.1%、男性52.1%にのぼった。また受動喫煙のリスクを知らない人も未だ一定数おり、受動喫煙が健康に影響することを「知らない」と答えた人は女性24.5%、男性31.1%だった。
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