ルッキズム大国、韓国で盛り上がる「身長ビジネス」 強烈な外見至上主義にどう向き合う?
韓国で今、身長ビジネスが盛り上がっている。展開するのはクリニックや運動施設で、クリニックでは、身長を伸ばすために子どもたちに成長を促すホルモン注射を打つ。学歴や職業、容姿など、韓国ではスペックや外見にこだわる風潮が強いことが知られているが、「身長」もその一つ。高身長であることは、見た目を良くするだけでなく就職活動でも有利に働くことから、親も子どもも真剣だ。身長を伸ばしたいニーズに性別は関係なく、ある小学生の女の子は、自宅で毎日ホルモン注射を打っているという。月に6〜7万円かかるコストも、親にとっては何のその。
ーーそんな様子がテレビの情報番組で報道されたところ(Nスタ/TBS/11日放送)、ネット上に多くの声が上がり、物議を醸した。Yahoo!ニュースには3,000件近くのコメントが寄せられ(6月12日時点)、低身長はコンプレックスの一因にもなることから高身長を良しとする共感を示しつつも、子どもの成長に不自然な負荷をかけることを疑問視する声や、見た目を重視する韓国の画一的なモノの見方を指摘する声が目立った。多様性の否定や自己肯定感の低下を招くといった、社会的側面に焦点をあてる声も。
韓国は「熾烈な学歴社会」「美容整形大国」として知られる一方で、自殺の多い国としても知られる。自殺死亡率の国際比較をした調査では、男女ともに韓国が世界トップだ(出所)。これにはさまざまな要因が指摘されているが、その一つとされているのが、学歴や容姿における激しい競争だ。
韓国のメイクやアイドルグループは、日本でも若年女性を中心に絶大な人気を集めているが、「ルッキズム大国」と揶揄されることもある韓国を“美容の手本”とすることは、果たして適切な状況と言えるのか?そんな批判も聞かれる。
ちなみに、前述の自殺死亡率の国際比較で、日本女性は韓国に次ぐ2位という高さだ。自己肯定感を国際比較した調査でも、日本の女性が他国より顕著に低いことがわかっている。韓国のルッキズム思考が日本女性の自殺や自己肯定感低下を招いていると雑に考察する事はできないが、韓国のカルチャーや美の価値基準がこれだけ日本で浸透する今、影響が全くないとは言い切れない。特にアイドルやトレンドの影響を受けやすいティーンエイジャーなどの若い世代は、メンタルヘルスの面で深刻な問題に発展するリスクもある。
美の多様性が世界的に広がる中、トレンドと逆行する韓国の強烈な外見至上主義に、日本の女性市場はどう向き合えばいいのか?建設的な議論が求められる。
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