【自殺予防週間】女性の自殺は3年連続増加、多いのは主婦・中高年・年金生活者

毎年9月10日から9月16日は「自殺予防週間」。厚労省をはじめ関係府省庁、自治体、関係団体などが自殺防止に向けた集中的な啓発活動を実施する。自殺者数は2003年をピークに減少傾向が続いてきたが、2022年の自殺者の総数は前年を上回り、小中高生の自殺者数が過去最多となった他、女性の自殺者が3年連続増加、男性は13年ぶりに増加と、コロナ禍以降、状況は再び深刻化している。自殺リスクの高い女性の属性を調べたところ、「中高年」「主婦」「年金生活者」といったキーワードが見えてきた。職業別では「事務員」「サービス職」「医療・保健従事者」で多い。昨今の報道では、子どもや若年女性の自殺が重点的に取り上げられているが、中高年女性や職業別の自殺対策も喫緊の課題だ。

女性の自殺、3年連続増加

2022年の自殺者数は21,881人で、前年比で874人増えた。女性は3年連続の増加で7,135人、男性は13年ぶりの増加で14,746人だった。自殺死亡率(人口10万人あたりの自殺者数)は女性11.1、男性17.5。

 

日本女性の自殺死亡率、世界2位

日本の自殺死亡率は諸外国と比べ高く、WHOによると日本は世界で6番目に高い。男女別に見ると、女性はトップの韓国に次いで2位、男性は12位厚労省「令和4年版 自殺対策白書」

【出典】令和4年版 自殺対策白書「海外の自殺の状況」(厚労省)

 

女性の自殺、50代が最多

自殺者数を年齢階級別に見ると、男女ともに中高年に多い。女性のトップ3は「50代」「70代」「40代」。男性は「40代」「50代」「70代」厚労省「令和4年版 自殺対策白書」

<女性>

  • 1位:50代(1,126人)
  • 2位:70代(1,117人)
  • 3位:40代(1,056人)
  • 4位:60代(896人)
  • 5位:80代以上(891人)
  • 6位:20代(912人)
  • 7位:30代(744人)
  • 8位:19歳未満(324人)

<男性>

  • 1位:40代(2,519人)
  • 2位:50代(2,492人)
  • 3位:70代(1,892人)
  • 4位:30代(1,810人)
  • 5位:60代(1,741人)
  • 6位:20代(1,699人)
  • 7位:80代以上(1,323人)
  • 8位:19歳未満(426人)

 

無職者は「主婦」「年金生活者」、有職者は「事務員」「医療・保健従事者」に多い

女性の場合、自殺は有職者より無職者に圧倒的に多く、有職者1,549人、無職者4,886人、自営業163人。有職者の職業を見ると、トップ3は「1位:事務員(308人)」「2位:理美容師・調理人・バーテンデー・飲食店店員・ホステス・遊技場の店員以外のサービス職(182人)」「3位:医療・保健従事者(162人)」。無職者の内訳は「1位:年金・雇用保険等生活者(1,958人)」「2位:引きこもりなど(1,683人)」「3位:主婦(1,136人)」。

一方で男性は、有職者と無職者で女性ほどの大差はなく、有職の自殺者は5,143人、無職は6,753人。自営業者の自殺も多く1,135人。有職者の職業は、「1位:土木建設・運搬以外の労務作業者(606人)」「2位:事務員(346人)」「3位: 建設職人・配管工・輸送・精密機械工・機械工・金属加工工・食品・衣料品製造工以外の技能士(327人)」。無職者は「1位:引きこもりなど(3,104人)」「2位:年金・雇用保険等生活者(3,043人)」「3位:失業者(541人)」。自営業者は「1位:農林漁業・販売店・飲食店・土木建築・不動産・製造以外の自営業主(398人)」「2位:農林漁業(270人)」「3位:土木建築(248人)(「厚労省「令和3年中における自殺の状況」

 

原因・動機、最多は「健康問題」

原因・動機別に見ると、男女ともに最多は「健康問題」。2位以降で性差が見られ、女性は「家庭問題」、男性は「経済・生活問題」厚労省「令和4年版 自殺対策白書」

<女性>

  • 1位:健康問題(4,375人)
  • 2位:家庭問題(1,357人)
  • 3位:経済・生活問題(454人)
  • 4位:その他(387人)
  • 5位:男女問題(346人)
  • 6位:勤務問題(307人)
  • 7位:学校問題(124人)

<男性>

  • 1位:健康問題(5,485人)
  • 2位:経済・生活問題(2,922人)
  • 3位:家庭問題(1,843人)
  • 4位:勤務問題(1,628人)
  • 5位:その他(915人)
  • 6位:男女問題(451人)
  • 7位:学校問題(246人)

 

 

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