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【展示会レポ】フェムケアゾーンの注目商品3選、10万人が来場した「Japanドラッグストアショー」 

生活者のセルフメディケーションを支えるヘルスケア商品や情報が集まる展示会「Janapanドラッグストアショー」が、今月8日から10日まで東京ビッグサイトで開催された(主催:日本チェーンドラッグストア協会)。ビジネスデーは3日間、一般公開は8日と9日の2日間。来場者は99,510人と、盛況のうちに閉幕した。

フェムケアゾーン、セルフケア推進の工夫が見られた3商品

今年で3回目を迎える特別企画「フェムケアゾーン」。「生理」「妊娠・出産・不妊」「更年期」「セクシュアルウェルネス」の4カテゴリーで構成されたエリアで、今年も女性向けの商品が多数並んだ。本稿では、女性のセルフケア・セルフメディケーション推進の工夫が見られた商品を、編集部目線でランキング。

1位:年代別の展示で、10〜60代まで幅広い女性を引き込む(ロート製薬)

フェムケアゾーンの中で、最も印象的な工夫を施していたのがロート製薬。ブース内ではすごろく形式のフロアグラフィックが敷かれ、歩きながら年代ごとの健康課題を学べる仕掛けに。ディスプレイには、年代別の健康課題をサポートする商品を展示。例えば10代はニキビケア、20代はワキガケア、30代は排卵予測、40代は更年期ケア、50代は関節の痛みケア、60代は乾燥ケア。年代順に商品が並んでいるため、現時点の自分の健康課題のみならず、将来的な健康課題も視覚的に理解できる。子どもや親など家族に起こりやすい健康課題も学べるので、親子連れでも立ち寄りやすい。

【撮影】ウーマンズラボ編集部(ブース内では、床面のすごろくに沿って歩く女性の姿が目立った。ディスプレイには、年代別の健康課題に沿った商品を展示)

 

同社は、フェムケアゾーンの出展は今回で2回目。担当者に話を聞いたところ、昨年の出展で挙がった課題をもとに今回の装飾を決めたという。「昨年は、排卵日予測検査薬を “真面目に” 展示していた。でもそれでは立ち寄ってくれる人が限定的になるため、工夫が必要と思った。今回は多くの人に立ち寄ってもらって健康を自分ゴト化してもらえるよう、すごろく形式と合わせ、年代別の展示を実施した」という。年代別の商品の選定にあたっては、購買データなどを参照にしたとのこと。

【撮影】ウーマンズラボ編集部(年代別に起こりやすい健康課題とおすすめの商品を展示。写真は30代のコーナー)

 

フロアグラフィックの活用で来場者を呼び込む工夫は無論、女性の健康を幅広く捉えた上で年代別にわかりやすく展示していた点が、意義深い取り組み。「生理」「妊娠・出産・不妊」「更年期」「セクシュアルウェルネス」という4つのカテゴリーから成るフェムケアゾーンだが、女性の健康課題は本来それだけに収まらない。その多様性をブースから提示することで、より幅広い女性に向けて健康への関心を喚起した点が良かった。

 

2位:ゼリー飲料市場のスキマを狙った商品開発で女性のニーズをキャッチ(キッコーマン)

醤油のイメージが強いキッコーマンが女性向け商品を展示しているというので、興味からプレゼンテーションを聞いてみた。市場のスキマと女性ニーズを捉えた商品開発でセルフケアを後押ししている点が目を惹き、編集部ランキング2位に選出。

【撮影】ウーマンズラボ編集部(来場者に向けて、鉄分リッチの特徴を紹介するキッコーマンの担当者)

 

フェムケアゾーンに初出展という同社の展示物は、1袋で1日分の鉄分が摂れる女性向けのゼリー飲料「鉄分リッチ」。トマト飲料やケチャップなどの食品ブランド「デルモンテ」から、昨年7月に発売した。担当者に話を聞いたところ、ゼリー市場でスキマを見つけたことが開発のきっかけになったという。「近年ゼリー飲料の市場が伸長しているものの、エネルギーやビタミン・ミネラルの補給やスポーツ訴求のものが多く、女性向けの栄養をコンセプトにしたものが少ないことに気がついた」。鉄分訴求の他に展開するのは、トマト4個分のリコピンを含んだ「リコピンリッチ」、1食分の食物繊維が摂れる「食物繊維リッチ」。最も販売が好調なのは「鉄分リッチ」、次いで「食物繊維リッチ」という。

近年の鉄分ニーズの高まりで、飲料、グミ、ヨーグルト、チュアブルなど、鉄分訴求商品の形状に多様化が見られる中、「ゼリー飲料で鉄分を摂取したい」という女性の未充足ニーズを、確実に捉えたようだ。担当者は、「仕事の合間や外出先などのおやつ代わりに、手軽に健康づくりをしてほしい」と話した。

【出展】キッコーマン(左から「鉄分リッチ」「リコピンリッチ」「食物繊維リッチ」)

 

3位:女性ホルモンのサイクルと悩みに合わせた育毛ケア商品を提案(バスクリン)

入浴剤で知られるバスクリンは、女性ホルモンのサイクルに合わせた育毛ケアを啓発していることから、フェムケアゾーンに初出展。展示商品は、女性向け育毛剤市場でナンバーワンの人気ブランド(※)という「モルティ」。入浴剤の開発で蓄積した生薬研究をベースに開発したもので、悩みに合わせて5種類から選べるラインナップ。ブース内では、髪の年齢や頭皮の水分量などをチェックして、自分と同年代の女性の頭皮環境と比較ができる測定器も設置。頭皮チェックに基づいた商品説明を行なっていた。(※)インテージSRI +

【撮影】ウーマンズラボ編集部(ブースで頭皮チェックをしてもらう来場者)

 

測定器で自分の体の状態を知る、という体験型コンテンツは展示会の王道だが、結果をもとに、似たり寄ったりの商品の中から自分に最適なものをその場で提案してもらえるのは、やはり来場者にとって実用的。その後の商品選択に迷う時間を大幅にカットできるため、タイパの良い買い物体験にもつながる。頭皮は肌のように自分で確認するのが難しい部位なので、測定そのものの価値も高い。

 

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