どうして売れない?どうして伝わらない…?女性に響く“伝え方”がわかる書籍3選

女性ヘルスケア市場をウォッチし続けるウーマンズラボ編集部が厳選、マーケターへのおすすめ書籍を紹介するコーナー。今回のテーマは「伝え方」。「良い商品なのに、どうして売れないんだろう?」「商品の良さが、どうして伝わらないんだろう?」ーー。女性たちに共感され、関心を持ってもらい、そして買ってもらえる。あわよくば爆発的なSNS拡散も…。そんな効果を見込める広告コピー、販促イベント、PR戦略を企画する時に役立つ書籍をピックアップ。売りたいなら、伝える力を磨け!

その伝え方、女性を怒らせてない?

昨今の女性マーケティングの鉄則は、「性別役割分業を固定化・強化しない」「性差別や男女格差を思わせる表現をしない」「ステレオタイプに陥らない」「多様なライフコースの選択(未既婚や子を持つ・持たないなど)を認める」「加齢を受け入れる」「若いこと、痩せていること、身体に障害がないことを女性の美しさとしない」「女性を性的対象とするような男性目線の描写をしない」など。これらに反したCMが炎上した事例は数知れず。中には女性を応援するつもりだったにも関わらず炎上してしまったケースもあれば、炎上はしないものの、実は大勢の女性たちに不快な思いをさせているケースも。企業と女性たちの意識がこうもすれ違うのは、なぜなのか?もしかしたらそれは、時代の変化や問題の本質を読み違えていたり、あるいは社会学的視点での女性の理解が浅いせいかも。

『女性学・男性学(伊藤公雄,樹村みのり,國信潤子/2021) 』は、社会学・ジェンダー論の第一人者によるロングセラー書籍。女性・男性それぞれの生きづらさ、男女格差が世界的に蔓延る歴史的背景、社会生活における男女格差などを、漫画を交えながら解説していく。ジェンダー論というと女性側の主張や女性のエンパワ要素が強いため男性は敬遠しがちだが、こちらは、女性側・男性側それぞれの問題点を中立的な立場から炙り出していくので性別・年齢問わず読みやすい。

男性主導社会におけるジェンダーバイアスや男女格差が、なぜ産業の発展を阻むのか?是正することで社会やビジネスはどう変化するのか?といった視点も盛り込まれているので、ビジネス書としても読める。特に、女性の意識を自分ゴト化しづらい男性陣におすすめ。

 

購入につなげる新語の作り方

言葉の力で女性たちの消費行動を促進したいなら、戦略的な言葉の作り方がわかるようになる『欲望することば(嶋浩一郎,松井剛/2017)』がおすすめ。

「女子力」「おひとりさま」「美魔女」「腸活」「終活」「インスタ映え」など、新しい造語が誕生しては次々に社会に定着している。注目すべきは、新しい言葉や概念が生まれることで、それまではさほど意識してこなかったモノ・コトに人々が強い関心を向けるようになり、新しい行動や消費が社会現象的に起きる点。こういった新語による新市場の創出を解明したのが本書。広報担当者におすすめ。

とは言え、単純に自社に都合の良い言葉を作り出すだけでは効果は薄い。世の中に受け入れられる新語・新概念を作り出すには、その時々の人々の欲望や潜在ニーズを的確に読み取って言語化することが大事だと本書は説く。そのプロセスや、実際に世の中に浸透したこれまでの事例を読み進めていくと、今刺さる新語・新概念を発想するコツや、新語・新概念にうまく乗っかって自社商品を展開するコツが見えてくる。

 

深刻になりがちなソーシャルビジネスにはユーモアを

女性の健康問題、介護問題、環境問題など、昨今は社会課題の解決に焦点をあてたソーシャルビジネスが盛ん。だが、共感は得られるもののマネタイズや継続的な売上拡大は容易ではなく、苦戦しているところは多い。特に健康や病気に関連したビジネスの場合は、命に関わるトピックもあれば発言がタブー視されているようなセンシティブなトピックもあるため、PRしづらく伝えづらい。

そんな難題を突破させてくれるのが、『笑える革命(小国士朗/2022)』。著者はNHKの人気番組「プロフェッショナル仕事の流儀」や「クローズアップ現代」などのドキュメンタリー番組の制作に関わってきた元ディレクター。番組制作に情熱を注いでいたものの、番組を見てほしい世代・番組を届けたい世代に見てもらえないことに葛藤を抱えた経験から、大切なことを伝えたい人に届ける企画屋に転身。認知症の人がホールスタッフを務めるイベント型のレストラン「注文を間違える料理店」や、cancer(がん)の頭文字「c」がつく商品から「c」を消し、その商品の売上の一部をがん治療研究に寄付するプロジェクト「deleteC」など、様々な社会課題プロジェクトを成功させた。

同氏が手がけるプロジェクトに共通しているのは、コンテンツに重苦しさも堅苦しさもないところ。当事者にも当事者以外の人にも自ら関心を持ってもらえるよう、ユーモアを加えて「伝わる企画」「巻き込める企画」に仕上げている。認知症やがんなど病気に関わるトピックは、当事者やその家族を傷つけないよう伝え方には慎重になるものだが、同氏の手法を見ると、適度な脱力感ある企画の方が社会に広く受容されるのだと気付かされる。女性の健康問題にまつわる啓発イベントや商品を宣伝する時も、ちょっとしたユーモアを加えてみては?

 

 

 

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