進むSRHR、世界初 ”生理用品無料” を義務化、他
性差ヘルスケアの概念、ジェンダード・イノベーション思考、女性マーケティング発想を身に付けたいビジネスパーソンに向け、今週話題になった女性のヘルスケアニュースをキーワードで読み解いていくコーナー。ヘルスケ業界の動向と女性トレンドが見えてきます。
目次
国内外で進むSRHR、世界初“生理用品無料”を義務化
女性の健康問題や女性のエンパワーメント推進が世界的に加速する中、SRHRに関する明るいニュースが国内外で話題に。
BBC NEWSによると、スコットランドでは生理用品を女性に無料で提供する法案が可決された。世界初の取り組み。低所得者が生理用品を購入できない「生理の貧困」の解決を目指す(BBC NEWS「生理用品、あらゆる人に無料提供へ 英スコットランドで世界初」)。
国内でも新たなSRHRの動きが。今年10月に、緊急避妊薬を医師の処方箋なしで薬局で購入できる方針が固められた。導入は2021年。この動きに貢献したのは、市民プロジェクト「#緊急避妊を薬局で(twitter)」。オンライン署名に寄せられた10万人超えの署名を、要望書とともに国に提出した。
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コロナ不安で「妊娠控え」、再び関心集まる
新型コロナの感染拡大が始まった今年春以降、コロナ禍での妊活に迷ったり、妊娠・出産を不安視する女性が増えていたが、第3波の襲来で、再びこのトピックに話題が集まっている。
厚労省は10月、今年1〜7月の妊娠届出数の推移(厚生労働省「妊娠届出数の推移等」)を公表。前年同月比でマイナス幅が特に大きいのは今年5月で17.1%の減少。コロナの感染不安から、妊娠控えが起きている可能性が指摘されている。
CDC(米疾病予防管理センター)は、妊娠している女性が新型コロナに感染すると、重症化・死亡リスクが高くなると11月に発表。日本の各専門組織の見解については、産婦人科専門医の重見大介氏がYahoo!ニュース「新型コロナウイルス感染が広がっている間は妊娠を控えた方が良いの?~各国の見解と最新知見から~」の中でまとめている。
高2のヤングケアラー4%、男女比は4:6
家族の介護を担う18歳未満の子どもを指す「ヤングケアラー」。埼玉県が全国で初めて、全県規模でヤングケアラーの調査を実施したところ、4%がヤングケアラーであることがわかった(「埼玉県ケアラー支援計画のためのヤングケアラー実態調査結果」対象:高校2年生55,772人)。
男女比で見ると女性のヤングケアラーが多く、男性4割に対し女性は6割。性別役割分業の意識から一般的に家族の介護を担うのは圧倒的に女性に多いことが知られているが、この状況はティーンエイジャーにも及んでいることが明らかに。被介護者の内訳は以下。祖父母・曽祖父母のケアをしているケースが最多。
- 1位:祖父母・曽祖父母(36.9%)
- 2位:母(24.0%)
- 3位:兄弟姉妹・義兄弟姉妹(22.5%)
- 4位:父(11.1%)
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子ども・若者のLGBTへ配慮、国内外で
LGBTへの配慮やジェンダー問題は、近年の世界的な注目トピック。大人のLGBTはもとより、子ども・若者への配慮も進んでいる。
AFP BBNewsによると、スウェーデンでは10代の体操選手が大会に参加する際に、本人が自由に性別を選択できるように。子どもや若者のLGBTへの配慮が目的で、スウェーデン体操連盟が方針を示した(AFP BBNews「スウェーデン体操、ジュニア選手の「性別カテゴリー」選択自由に)。
日本では、静岡県の高校の取り組みが話題に。静岡新聞によると、女子生徒はスカートかスラックスの好きな方を制服として選べ、”選択制”を導入する動きが県内で広がっているという。目的は、暑さ対策・防寒、そして、多様性の象徴(アットエス「制服に『第三のデザイン』追加の動き 静岡県内公立高校」)。
LGBTのうち特にトランスジェンダー(性別越境者)にとって、中学・高校での制服着用は大きな問題。”第3の制服”の導入により、トランスジェンダー含め全生徒が、心の性別に合った制服を選択できる。この取り組みはこれから全国に広がりそうだ。
「がんアライワード2020」、ヘルスケア系企業受賞
がん治療と仕事の両立に取り組む企業・団体を表彰する「がんアライアワード」が、今月2日に開催された。がんを治療しながら働く「がんと就労」問題に取り組む民間プロジェクト「がんアライ部」によるアワードで、花王、ファンケル、ポーラなど健康・美容系企業なども受賞した。女性向け商品が多く、また女性社員も多いことから、花王は女性の健康支援に早期から取り組んでおり、中でも特に、女性のがん対策に積極的に取り組んできたという。
具体的な各社の取り組み内容は、がんアライアワードのHPに掲載。女性の健康経営の参考になる事例が満載、要チェック。
「第9回健康寿命をのばそう!アワード」、ファミマなど受賞
健康増進・生活習慣病予防推進について優れた取組を行う企業・団体・自治体を表彰する「健康寿命をのばそう!アワード」が開催された。主催は厚労省とスポーツ庁。
ファミリーマートの、弁当・麺類・惣菜商品の減塩化の取り組み。ロート製薬の、従業員の喫煙率0%達成に向けた卒煙への取り組み。株式会社AsMamaの、ICT プラットフォームを活用した「子育てシェア」のコミュニティ形成などが受賞した。各部門の最優秀賞の受賞者は以下。
- 【生活習慣病予防分野】ファミリーマート
- 【介護予防・高齢者生活支援分野】毛馬コーポゆうゆうクラブ
- 【母子保健分野】特定非営利活動法人ZEROキッズ
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