「ヤングケアラー支援推進」を初明記、2025年問題を見据えた介護保険の基本指針案

厚労省は今月10日、介護保険事業の運営の方向性を決める基本指針案「第9期介護保険事業(支援)計画」を公表。「ヤングケアラー」への支援推進を初めて盛り込んだ。介護保険事業(支援)計画は、介護保険制度を円滑に実施するために3年間を1期として策定するもので、2024年4月からの第9期の計画策定に向け議論が進められてきた。約600万人いる団塊世代の全員が2025年に75歳以上になる、いわゆる「2025年問題」を見据え、「認知症高齢者の家族、ヤングケアラーなど家族介護者支援に取り組むことが重要」との文言を明記した。

ヤングケアラーは、病気や障害のある家族の世話や介護をしている18歳未満の子ども。両親の共働き、少子高齢化、核家族化の進展などが背景にあり、本来であれば大人が行うような家事や家族の世話を日常的に行うことで、学業・友人関係・就職に影響が出ることが問題視されている。

【出典】こども家庭庁

 

日本総合研究所が2022年3月に発表した調査レポートヤングケアラーの実態に関する調査研究によると、小学6年生で6.5%、中学2年生で5.7%、全日制高校2年生で4.1%が、世話をしている家族が「いる」と回答した。レポートでは小学6年生の「性別による世話の状況の違い」もまとめている。世話をしている家族の有無に有意な性差は見られないが(女子6.4%、男子6.3%)、「世話の頻度」や「世話に費やす時間」は、女子が男子に比べて多かった。また、学校を欠席したり睡眠時間が足りないなど、「世話による制約」や、体力や気持ち面などで「大変さを感じる」割合も男子より女子が高かった。

中高生を対象にした調査でもヤングケアラーの性差を調べており、小学生同様に「世話の頻度」「世話に費やす時間」「世話の大変さを感じる割合」の項目において男子より女子が多かった。他、「家事(食事の準備や掃除、洗濯)」「きょうだいの世話や保育所などへの送迎」「見守り」などについても、世話をする対象別に性差を明らかにしている「ヤングケアラーの実態に関する調査研究」三菱UFJリサーチ&コンサルティング,2021年3月

 

 

 

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