美容院脳卒中症候群とは? 原因・対策・予防法(1/2)

美容院脳卒中症候群(スタンダール症候群)」は、美容院、ヘッドスパ、歯科医院などのサービス提供者はもちろん、利用者も知っておくべきヘルスケア知識。

エコノミークラス症候群ほどはメジャーではないが美容業界では知られている。美容院脳卒中症候群により美容院利用後に不調を訴える客の声に応え、美容市場では美容院脳卒中症候群の予防を訴求した製品が登場。対策・予防法・予防ストレッチと合わせ、美容院脳卒中症候群対策を訴求した製品事例・店舗事例を調査した。

美容院脳卒中症候群とは

美容院以外での場所でもリスクがある「美容院脳卒中症候群」とは何か?実際に美容院で体調を崩した人の声がネット上で散見された。

美容院脳卒中症候群とは

美容院脳卒中症候群とは、美容院でシャンプーを受けている人に、めまい、ふらつき、手足のしびれ、頭痛、首や後頭部の痛み、吐き気などの症状が出ること。美容室症候群、またはスタンダール症候群とも呼ばれている。

天井を向いて首を反らせながらシャンプーを受けることになり首の後ろの血管(椎骨動脈)が圧迫され血流が低下することが原因と言われ、症状には個人差がある。怖いのは、それによりできた血栓がシャンプー後に起き上がった際に血液とともに流れ、血管に詰まること。脳卒中になる可能性があることから美容院脳卒中症候群と呼ばれている。実際に美容院で具合が悪くなったことがある人は次のように言っている。

シャンプー台。。。気分が悪くなります
美容室のシャンプー台(寝る姿勢のタイプ)がすごく苦手です。緊張し、さーっと血の気が引き(貧血みたいな症状です)、気分が悪くなります。自然と力がはいるのか、美容室から帰ると寝違えたかのように首が痛いです。(中略)姿勢が変なんでしょうか?引用:yahoo知恵袋

一週間前に久々に美容室に行きました。シャンプーの時にマッサージをしてくれたのですが、首の筋を上下になぞるように圧迫されました。結構痛かったです。(中略)翌日になるとめまいがしました。倒れこんでしまったので脳神経外科で頭のCTを撮ってもらったら異常なしでした。整形外科で頚椎のレントゲンも撮ってもらっても異常なし。このようなふわふわしためまい、頭がすっきりしない感じが一週間続いて困っています。引用:yahoo知恵袋

歯科医院、ヘッドスパでも注意

美容院でのシャンプーと同じように首を反らせる体勢になることから、歯科医院、ヘッドスパ、映画館での映画鑑賞、うつ伏せ状態での読書やスマホ操作もリスクがあることが指摘されている。壁画や天井画の美術鑑賞も首を反らせながら長時間見上げる姿勢になるためリスクがある。そもそも美容院脳卒中症候群が「スタンダール症候群」とも呼ばれているのは、フランスの作家スタンダールや観光客が、聖堂で絵を眺めている時に動悸が生じ卒倒しそうになる症状が起きたことに由来している。場所に関係なく長時間首を反らせる姿勢になることが危ない。

各メディアで危険性を取り上げている

一般の生活者の間では馴染みのない言葉だが、業界では知られ、業界紙やマスメディアが度々「美容院脳卒中症候群」について取り上げている。

  • <美容院脳卒中で損害賠償1300万円>
    イギリス人男性が美容院でのシャンプーを受けた2日後に仕事中に脳卒中で意識を失い美容院に損害賠償を請求。美容院が敗訴し1,300万円を支払った。フジテレビの情報番組が紹介。(直撃LIVEグッディ!「損害賠償1300万円! 美容院の気持ちいいシャンプーに潜む脳卒中の危険を解説」2016.12.14)
  • <美容院へ向け対策マニュアルの準備呼びかけ>
    理容・美容業界向けの業界専門メディア「理美容ニュース」は、美容院脳卒中症候群について解説。万が一の場合を想定して対応策のマニュアルの準備を呼びかける。(理美容ニュース「美容院症候群に注意を」)
  • <美容院脳卒中症候群の発症頻度・対策を解説>
    臨床医に向けた医学情報ラジオ番組「ドクターサロン」は、美容院脳卒中症候群の発症頻度、リスクとなる姿勢、患者への指導、予防のためのストレッチ方法について解説。(ドクターサロン「美容院脳卒中症候群」)
  • <脳血流の低下は見られないが、一定数の人に症状が出ることに注意>
    プライマリケアと救急を中心とした研修医向けの総合誌「レジデントノート」は、美容院脳卒中症候群の解説と合わせ、これについて疑問を呈する意見があることについても紹介。美容院のシャンプー時と同じ姿勢で血流を測定したところ、脳血流の低下を見られなかったとのこと。一方で、やはりそのような姿勢により症状が出る人はいるので注意が必要であることを呼びかける。(レジデントノート「第27回 美容院脳卒中症候群

美容院脳卒中症候群の対策・予防法

美容院脳卒中症候群について紹介する各メディアは、予防のための対策方法を紹介。基本は首の血管を圧迫する姿勢にならないように日頃から意識して気をつけること。日々の生活のさまざまな場面で、実はリスクとなる姿勢をとっているので注意が必要だ。

首の後ろの血管を圧迫する姿勢をとらない

首の後ろの血管を圧迫する姿勢を長時間とることがリスクとなる。次のような場面でそのような姿勢になりやすいので、長時間同じ姿勢をとらないようにするか、意識してその姿勢を避けるのが予防対策になる。

  • 仰向けで受けるサービス(美容院、ヘッドスパ、歯科医院)
  • 長時間上を見上げる(映画館での映画鑑賞、壁画・天井画などの美術鑑賞)
  • 自宅内での電球交換
  • 四つん這いの姿勢で行う草むしり
  • うつ伏せでスマホを見る
  • 猫背で顎を突き出してパソコン作業を行う
  • 椅子の背もたれに首を乗せ上を向いた状態で居眠り
  • 顎を突き出して首を回す姿勢

肩甲骨ストレッチ運動

美容院脳卒中症候群は上記に挙げた姿勢によりリスクが高まるが、猫背になって顎が突き出てしまうような普段の姿勢が悪いことも一因。姿勢が固まらないよう肩甲骨を寄せるストレッチを、東京医科大学整形外科講師の遠藤建司さんは「『美容院脳卒中症候群』ドクターサロン61巻10月号(9.2017)」でおすすめしている。肩甲骨と肋骨の間の拘縮や、肩甲骨が動かなくなる状態に姿勢が固まるのを防ぐという。写真付きの解説は資料4ページ目に掲載。他、以下のような肩周辺を柔らかくするヨガもおすすめ。

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