女性の美容悩み 年代別まとめ(20〜80代)(1/3)
美容の悩みや美容意識は歳を重ねる毎に変化するもの。年代別の美容悩みや美容意識の傾向を調査してみた。
女性の美容の悩み 〜年代別〜
各年代の美容悩みは、以下の掲載内容以上に細分化されるが、ここでは「20~80代女性の美容悩みは、加齢とともにどのように変化するのか?」の概要を流れで理解できるようまとめた。
20代女性の美容の悩み
- SNS世代の20代女性は、常に“人からどう見られるか”を気にする「見た目重視世代」
- 「自分に似合うメイクやスキンケア」よりも「トレンド」を重視
- 特に20代前半は、インスタにアップした加工写真に近づけられるよう、メイク方法の研究に余念がない
- 皮脂の分泌量が多いのでニキビ(跡)や毛穴の黒ずみといった肌トラブルに悩みやすい
- 20代後半になると、ホルモンバランスの変化やストレスから、小じわ、くすみが少しずつ気になり始める
- 早い人だと白髪が出てくる人も
- 20代後半頃から初めてエイジングケアを意識し始める
- ストレスは体型にも影響を与え、基礎代謝量の低下や睡眠時間の減少により、スタイルの崩れや体重増加に悩みやすい
- ダイエットへの関心が高い。ダイエットの目的は「健康」ではなく「美容(見た目の改善)」
- 他世代と比較して肌の露出があるファッションが多い20代は体毛のケアも欠かせない
など
20代女性を理解する
30代女性の美容の悩み
- 結婚・妊娠・出産とライフステージや体質の変化が続く世代
- 出産を経験した女性は、産後の髪の抜け毛や腹部の体毛の増加に悩む。ホルモンバランスの崩れによる一時的なものであるが、なかなか元に戻らず悩む人は多い。骨盤の歪みや体重がもとに戻りづらく、ダイエットや骨盤矯正ケアに積極的
- 仕事は“中堅”としてのストレスが増し、ストレスによる体調や肌質の変化が著しい
- 30代後半になると、女性ホルモンの減少、筋力の低下によって下腹部・腰回り・二の腕に脂肪がつき、バストの下垂を少しずつ実感
- 肌は蓄積されてきた紫外線の影響からシミが増え、乾燥による小じわや毛穴が目立ってくる
- まつ毛の毛周期が乱れ始める
- 肌の保湿力が急速に減りはじめ、弾力の低下を感じやすい
- 髪は、ツヤの低下、うねりが目立ちだし、白髪が生え始める人も
- 20代のようなストレートロングヘアから、ミディアムヘアへと変化し始めるのがこの時期
- 30代後半頃から加齢臭が気になり始める
など
30代女性の悩み“加齢臭”
40代女性の美容の悩み
- 40代後半頃から更年期世代へ
- シミや小じわに加え、コラーゲンの減少によってほうれい線や頬のたるみが目立ってくる
- 目元の皮膚のたるみでアイラインが引きにくくなる
- 唇の縦皺が目立ちリップが上手く塗れない
- 頬が下がり輪郭がぼやけてくるため「メイクをしても顔が引き締まらない」とメイクに悩む
- 首元の皺悩み。10代にも見られた横皺に加え縦皺も見られるように
- 髪は、ハリ・ツヤ・ボリュームの低下の他、エストロゲンの減少により薄毛を感じる人も
- 基礎代謝量低下や筋肉量の減少が進み、内臓脂肪が付きやすくなるために、上半身にボリュームが増し、胸やお尻が垂れた“おばさん体型”へと変化
など
40代女性を理解する
50代女性の美容の悩み
- 50代後半まで続く更年期
- 肌の明るさは20代後半の半分以下、黄色みは2倍近くに上昇するため、肌の色が暗く黄ばんだと実感するようになる
- 口元が下がり、ほうれい線や、額の水平じわ、眉間の縦じわが固定化し始める
- 上まぶたの皮膚のたるみから垂れ目が目立つように
- ホルモンバランスの崩れによる肝斑の発現や、鼻唇溝が深くなる
- 唾液量の低下、歯周病が進行し歯茎が下がる、噛み合わせが悪くなる、口臭が強くなる、歯が長くなったように見えるといった口腔悩みが増える
- 白髪が目立ち、白髪染めはマストアイテム
- 髪は、ハリ・ツヤ・ボリュームの低下、毛の細さ、薄毛が顕著に
- 筋力・基礎代謝量の大幅減少で、ぽっこりお腹に
- 太り気味の人は基礎代謝の低下から痩せにくく、痩せ気味の人は皮膚のたるみから貧相に見える。体型のあからさまな変化に驚く女性は多い
など
50代女性を理解する
60代女性の美容の悩み
- 更年期を終えると、皮脂量の低下による乾燥や敏感肌に悩む人が増える
- 皮膚の感受性の鈍りから温度差を感じづらくなる。「汗かき」「暑がり」「寒がり」といった温熱に関する症状が増える
- 皺同士が繋がり、さらに長く深くなる
- 上瞼は陥凹し、下瞼は円弧状に皮膚のたるみが浮き出てくる
- 大小様々な薄く茶色い老人性色素班が、次第に濃く黒くはっきりしてくる
- 鼻根にできる横じわが固定化
- 首のシワは40代に比べて2倍近く増加(参考:資生堂「首のしわの改善効果を新発見、8週間で実現」)
- 歯は、黄ばみが強く目立つように
- 髪は薄毛・白髪ケア(カラーリング・パーマ)の積み重ねで、パサパサに。ツヤやハリがさらに低下
- 更年期を終えると男性ホルモンが優位となり、頭髪が薄くなる一方、ひげが濃くなる人も
- 身体は肉質が柔らかくハリがなくなり、下半身の筋肉はさらに落ちる
- 筋力の低下で円背による肩こり、脊柱の湾曲による背中の脂肪、腹部が前に出る、膝の曲がり(O脚)による膝の痛みといった骨格の変形による体型の崩れを身体全体で感じる
など
シニア女性を理解する
70代女性の美容の悩み
- 皮膚の下垂がさらに増し、頬部はブルドック様を呈するように
- 顔の筋肉の減少によるたるみによって、20代の頃卵型だった人も、四角や面長型へと輪郭が変化
- 顔が長くなる。頭皮が固くなることで顔の皮膚が後ろにひっぱられておでこが広がることも関係
- 70代後半になると、自分の歯を20本維持している人が50%台以下に(厚生労働省「平成28年歯科疾患実態調査結果」)
- 口周りの老化現象がより顕著に。口唇が薄く縦じわがくっきりとし、顎のシワが目立つようになる
- 首のたるみやしわも目立つ。ケアしてきた人と、してこなかった人の差が大きくなる
- 手のハリの低下を実感する人が急増。手の甲に血管や骨のラインがめだち、ガサガサしてくる
- 全ての身体機能が顕著に低下するため、視力低下によってメイクがうまく出来ない、背中が曲がったという姿勢の悪さに悩む
- 介護をいつか受けるときに備え、脇やVIOラインの脱毛を行ったり検討する人も
など
シニア女性を理解する
80代以上の女性の美容の悩み
- 顔にはさらに細かいシワも増加し、皮下脂肪組織の萎縮やまぶたや頬の下垂も顕著になる
- 首には垂直方向の皮膚のたるみが生じ、シャープな顎は失われ、平らな顎ラインになる
- 毛髪は、うねりやつむじ割れ、乾燥による頭皮のかゆみ、ボリュームの低下によって、理想の髪型を作りづらく、ウィッグを取り入れる人もいる
- 顔以上に老化を感じるのが姿勢
- 骨格筋量は20代に比べ40%に減少(参考:味の素「アミノサイエンス研究所データ」)
- 背中、脚、膝が曲がってくる。姿勢の悪化により補正下着を使用しても体型を美しく見せる事が難しくなるため、ガードルや補正下着の着用率は80代になると減少
- 着衣時の動作に不便を感じるために、腕が通しやすい服を好むようになる。また背中が曲がっているために、上着の裾のラインが上に上がってしまうという悩みが起こるため、洋服選びに苦労する
- 見た目(外見)が「男性化」してくる女性も
など
シニア女性を理解する
参考情報:20~70代の中間層女性の分類
女性の美容行動・悩みをマーケティング戦略に反映するときに考慮したいのが「ターゲット女性のライフコース」。女性は、歩むライフコースによって消費行動・価値観・響くキャッチフレーズ・ニーズなどが大きく異なるためだ。
ヘルスケア女性マーケティング専門の当社ウーマンズでは20~70代の中間層女性をライフコース視点で、20クラスターに分類。ヘルスケア女性マーケティングの戦略設計の際はぜひ以下もご参照ください。
年代別の美容の悩みがわかる調査一覧
個人差はあれど必ずやってくる老いに対し、各年代の女性にはどのような意識変化が見られるのか?年代別に行われた美容に関する各種調査結果をまとめた。
外見・若さへの関心度合い(10代〜70代)
20〜70代女性対象の調査「外見を今より良くすること・若さを保つことへの関心(調査実施:リクルートライフスタイル)」で、低年齢層ほど外見・若さへの関心度合いが強く、年齢の上昇とともに低下することがわかった。年齢を重ねる中で女性たちの興味・関心の対象が「仕事」「家族(夫・子ども)」「自分・家族・親の健康」「自分・家族の将来や老後」と多岐に広がることで、「外見・若さ維持」への関心が徐々に下がる、あるいは最優先事項ではなくなることが理由と考えられる。老いによる見た目の変化に抵抗を感じながらも受け入れるしかない中で、”美への諦め”が、外見・若さへの関心を薄れさせていく、ということも考えられる。
とはいえ、中高年齢層が美容に関心がないわけではない。「やや関心がある」と回答した女性の割合は年齢の上昇とともに高くなる。「外見・若さ」への関心は何歳になってもあるが、“こだわりの度合い”が弱くなっていく、といえる。
美容室・サロンの利用率(10代〜70代)
15歳〜70歳代の男女を対象に行った調査「美容室・サロンの利用に関する実態調査(調査実施:リクルートライフスタイル)」で、20代は積極的にサロンサービスを利用する傾向が見られた。「見た目」に関わるアイビューティーやボディケアサロンの利用率も特に若い世代の利用率が高い。
フェイシャルエステ、服の上から受けるリラクゼーションサービスは70代まで利用されている一方、ボディエステや脱衣のリラクゼーションの利用率は年齢とともに低くなる。これは、高価格・施術時間の長さだけでなく、体型の老化は顔のエイジングよりも興味が低いためと考えられる。
一方、美容室の利用は年代による大きな差は見られなかった。これは、各美容室が、若い世代にはファッションの一部としてヘアスタイル・カラー・パーマを提案し、中高年には毛髪の悩み改善のためのケア・パーマ・カットを提案するといった、各年代の悩みに対応したサービス提供を行っていることが理由だろう。
自宅ケアから見る髪の悩み(10代〜70代)
15歳〜70歳代の男女を対象に行った調査「美容室・理容室の利用に関する実態調査(調査実施:リクルートライフスタイル)」では、自宅で行うヘアケアについても掲載。50代以降で薄毛や白髪の自宅ケアが急増し、70代以降でウィッグ・かつらの使用率が上がっている。
一方で、ヘアアイロンやトリートメントといった見た目を良くするケアについては、10〜20代をピークに下降。一般に髪のエイジングサインとしてうねりやパサつき、ツヤの低下が挙げられるが、調査では、洗い流さないトリートメントケアは若い世代に利用者が多く、70代は20%以下と利用者が少ない。洗い流さないトリートメントは、「椿オイル」などオイル系商品ならではのベタつき・ボリュームダウンのイメージが強いためか、ふわっとボリュームのあるヘアスタイルを望む高齢者は懸念しがち。しかし、洗い流さないトリートメントには「乾かしやすい」「ボリュームサポート」など高機能商品もあるので、イメージを払拭できれば今後高齢世代にも浸透すると考えられる。