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女性市場トレンドと消費傾向

新型コロナで女性マーケティング どうすればいい?  

国内での新型コロナ感染拡大の懸念が小さかった今年2月頃までは、通常通りのマーケティングを展開する企業が大半だったが、社会・経済への影響が深刻さを増してきた最近は、新型コロナを前提としたマーケティング展開に切り替える企業が増えている。

長期化に備え、新型コロナを前提としたマーケティングを

終息の気配がない中、新型コロナ長期化を前提としたマーケティングを考えていく必要がある。新型コロナにより、女性たちの生活は一変、購買行動や消費者心理が大きく変化したからだ。

「新型コロナを前提としたマーケティング」とは、一体どのようなものなのか。それを考える上で参考になるのが、すでに新型コロナを前提としたマーケティングを展開している企業の事例。

現在の女性たちの気持ち

マーケティング事例を見ていく前に、まずは現在の女性たちの気持ちを確認しておこう。新型コロナの情報があふれ、外出や人とのコミュニケーションが思うようにできなくなっている今、生活者の間でコロナ疲れや、コロナに伴う鬱の悪化などがいよいよ顕在化。鬱患者は女性にもともと多いことを考えると、この状況によるメンタルへのダメージは男性よりも女性の方が深刻化している可能性がある。

ある女性は新型コロナの情報に囲まれすぎたことで心身に悪影響が出始めていることから「拾う情報を整理した方が良さそうです」とつぶやいている。

“コロナ疲れ”にさせない塩梅、マーケティング事例

気持ちがネガティブに傾く人が多い今、マスメディアと同程度に社会への影響力が大きい企業までもが新型コロナ一辺倒では、さらに追い詰められてしまう。かといって、新型コロナのトピックに一切触れずに通常通りのマーケティングを展開するのも、「空気を読んでいない」「消費者への思いやりに欠ける」といったマイナスの印象を与えかねない。

どのレベルにまで新型コロナのトピックをマーケティングに入れ込むのか、その“塩梅”が難しいところではあるが、ちょうどいいのは「コロナ疲れにさせない程度に、さりげなく触れる」かもしれない。例えば以下企業のマーケティングは参考になる。

【事例1】ユニクロ「#おうち服なに着てる」

ユニクロは4月4日に「在宅の休日、#おうち服なに着てる?」のTwitterを投稿。

特に新型コロナに触れてはいないが、誰もが当投稿を見れば「新型コロナになって家で過ごす時間が増えた今、自宅でなにを着てるのか?」という意味合いであることは理解できる。そして多くの人にとって、「これまでにないほど自宅で過ごす時間が増えて在宅ワークをする人も増えたけど、みんな何を着てるの?」「誰にも見られてないし、やっぱりだらしなくなるの?」「普段おしゃれな人は、やっぱり家にこもっていてもおしゃれしてるの?」は、確かにちょっと気になるところ。

新型コロナについてダイレクトには触れていないものの、「自粛生活を軸にした自宅内ファッション」に焦点をあてている塩梅は参考になる。この呼びかけには「おふざけ回答」「まっとうな回答」「参考になる回答」など多様な声が集まった。

【事例2】VOGUE「おうち時間」

世界の洗練されたファッション、ライフスタイル、ビューティを提案する女性誌VOGUE。同誌の美しい世界観を反映したページに癒される女性は多い。そんな同誌は、いつも通りの癒しをこんな表現で提供している。それは「おうち時間」。

以前から使われているありきたりの言葉だけれど、自宅にいることを「外出自粛」という強制感ある言葉で表現されることが多い今、この”女子的用語”にふと癒された女性は多いはず。

というのも、「おうち時間」とはそもそも、仕事・家事・育児と時間に追われる忙しい女性たちにとって「自宅でゆったり過ごすスペシャルな時間」「自宅でのんびり美容ケアを楽しむ時間」というポジティブな意味合いで使われてきたもの。「自宅にこもっている今の時間をネガティブに捉えるのではなく、楽しむ時間と捉えなおして、おうち時間を楽しもうよ!」というメッセージセンスは、女性誌ならでは。

【事例3】LUSH「おこもり美容」

ハンドメイド化粧品のLUSHは、おうち時間に「おこもり美容」を提案。webサイト上で「おうち時間でゆっくり自分ケア おこもり美容におすすめアイテム」を公開。「ストレスを減らして免疫アップ! 健康な毎日を過ごすためのステップ 」「専門医が教える 入浴が心身にもたらす効果・メリット」などの情報とともに、商品紹介を行う。同社のインスタグラムアカウントでも「#おこもり美容」を癒し画像とともに提案。

【事例4】Fresh「ビンゴでつながろう」

口コミで日本国内での人気が高い、LVMH傘下のコスメブランド「Fresh」は、インスタグラムで「Saturday=game night!」と呼びかけ、ビンゴを開催。ビンゴカードの内容のうち、「自分が(美容に関して)行ったことを消し、その結果を投稿して友達と共有しよう」というもので、皆がインスタグラム上でつながり、自宅での美容行動を楽しめるコンテンツを提供している。

コロナの女性マーケティングでは塩梅に注意

他にも、女性向け商品・サービスを提供する企業が「(女性が好みやすい)かわいらしさ・楽しさ」を損なわない程度に、新型コロナの状況を踏まえた上での新マーケティングを始めている。ポイントはあくまで「新型コロナで沈んでる女性たちの気持ちを、さらに重くしない」こと。そして「新型コロナの状況を踏まえた上で、いつも通りの企業キャラクターで“心の癒し”を提供する」こと。

確かに個人需要は落ちているが、今だからこそ「新たな見込み客の獲得」ができるのも事実。実際に当社が3月19日~25日に実施した調査「新型コロナが女性にもたらした “消えた需要” と “生まれた需要”」では、「これまで興味がなかったが、この状況になって〇〇を購入・利用するようになった」という声が目立った。

また長年のリピート客に向け日頃の感謝を込め、商品・サービスではなく「癒し」や「(有事の時の)暮らしの楽しみ方」を提供するタイミングとするのも良いかもしれない。さらにファンになり、自粛モードが解除された時にまた真っ先に戻ってきてくれるはずだ。前述の調査「新型コロナが女性にもたらした “消えた需要” と “生まれた需要”」では、「新型コロナになったから今は買い控えているが(または利用しなくなったが)、終わったらまた買いたい(または利用したい)」といった声もとても多かった。

ただ、気を付けたいのは塩梅。一歩間違えると「新型コロナに乗じてる!」と批判を受けかねないからだ。例えば前述のユニクロの「#おうち服なに着てる」では、一部から「そんな投稿する暇があればマスクをつくれ」「社会の混乱にうまく乗っかったキャンペーン。気分が悪い」といった批判もあがっている。

全ての女性に好かれるのは不可能だが、本稿で紹介した各企業の取り組みは女性たちに好意的に受け取られているので、この状況でどんなマーケティングを展開していけば良いのか悩んでいる企業は、塩梅に注意しつつ参考にしてみてはどうだろう。

 

 

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