2020上半期ベスコス受賞商品の分析でわかった、最新美容トレンド5つの波(2/3)
ベストコスメ受賞化粧品からわかった、5つの最新美容トレンド
1.コロナ対応型商品 〜女性たちの新たな悩みに応え好評価〜
2020年の上半期は新型コロナの影響で自粛生活が始まり、多くの女性たちの美容行動・意識・消費に変化をもたらした。テレワークや外出時のマスク着用で「メイクの機会が減った」「メイクの必要性が下がった」「新しいコスメへの関心が下がった」「(マスクで常に顔が隠れているので)スキンケアの必要性を感じなくなった」といった、美容業界にとっては打撃的な声が聞かれるようになったが、一方で、コロナ禍特有の美容悩みが浮上。
ステイホームという新生活ならではの「おうち時間を豊かに過ごしたい」「メイクで自分を明るい気持ちにしたい」「癒されたい」ニーズも生まれた。この上半期は言わずもがな、新しい生活様式やマスク悩みに即した商品に女性たちの関心が集中。各メディアのベストコスメ発表では、「おうち美容」「マスクに映えるアイメイク、マスク崩れしないファンデ」「マスクによる肌荒れケア」「気持ちが上がるカラー」など、コロナ対応のキーワードが数多く並んだ。
<コロナが関係するベストコスメ発表の事例>
- トレンドキーワードに「おうち美容」を選出(@コスメ)
コスメ情報ポータルサイトの@コスメは、2020年上半期のトレンドキーワードに「おうち美容」を選出。コロナの影響による自粛生活で、オンライン会議用メイクをさす「テレメイク」や、マスク着用時のメイク「マスクメイク」のニーズが高まったこと、自宅内でのセルフケアニーズの高まりについて言及。 - マスク時代のベストコスメを発表(HERS/光文社)
50代女性向けのファッション誌HERSは、部門別の大々的なベストコスメではなく、マスク着用を前提にしたメイクアイテムに着目したベストコスメを発表。
2.クリーンビューティコスメ 〜新潮流を反映、部門新設〜
今、美容業界で世界的潮流として広まり始めている概念「クリーンビューティ」。体・地球に害のない成分を用い、環境・社会・動物に配慮した美容商品のことを指す。
要はSDGsの目標達成を意識して開発された商品のことで、ヘルスケア領域では特に美容業界がこの流れを牽引している。実際に市場にはクリーンビューティを意識した商品が徐々に投入されるようになり、例えば、海を汚染しない日焼け止めや、残酷な動物実験を行なっていないクルーエルティフリーの化粧品などがそれにあたる。
この流れを受け美容雑誌マキア(集英社)は今期、「クリーンビューティコスメ部門」を新設。クリーンビューティに賛同するのは主に、美容商品消費の主役でもあるミレニアル世代とZ世代であることから、今後クリーンビューティは大きなビックトレンドになる見込み。ベスコス受賞の重要指標あるいは条件となる日は、もうすぐそこまで来ている気配。
<クリーンビューティを反映した受賞商品の事例>
- コアバランスオイル(アスレティア)
マキア(8月号)の2020上半期ベストコスメの「クリーンビューティ部門」で1位を受賞。アスレティアは、RMK、SUQQUに続く第3のブランドとして株式会社エキップが今年2月に発売開始したブランド。「自分を大切にするように環境を大切にするクリーンビューティの考え方を重視」した商品開発にこだわり、化粧品成分はもちろん、容器も、体験型店舗(表参道)の建材も環境に配慮するという徹底ぶり。 - クラリフィック デュアル エッセンス ローション(ランコム)
各アワードで大賞を総なめし、上半期のベストコスメで最も注目を浴びたのがランコムの化粧水(@コスメ「新作総合大賞」、マキア「ベスト・オブ・ベスト大賞」、美的「総合1位」、ヴォーチェ「スキンケア部門最優秀賞」)。こちらもクリーンビューティの考えが商品に反映されており、ボトルは再生ガラスを25%使用。SDGs達成に貢献するFSC認証を取得済み。
3.感性価値の追求 〜美容業界で進む研究領域、美容専門家が大絶賛〜
美容業界の中でもとりわけ化粧品業界で今新たに研究が進んでいるのが、感性価値の向上。化粧品といえばこれまで機能性の向上が重視されきたが、コモディティ化が進んできた近年は、パッケージやボトルのデザイン、香り、テクスチャーなど、感性価値の向上で差別化を図る取り組みが進んでいる。
時間に忙殺されストレスが増大する現代女性の受容性が高いことも、この領域が今後伸張すると言える理由。実際にベストコスメの審査員となった各美容専門家らは、選出アイテムのテクスチャーや斬新なボトルデザインなどを評価ポイントに挙げている。
女性とストレス
<感性価値が評価された受賞商品の事例>
- クラリフィック デュアル エッセンス ローション(ランコム)
各アワードで大賞を総なめし、上半期のベストコスメで最も注目を浴びたランコムの化粧水は、クリーンビューティのみならず感性価値も追求。化粧水としての機能以外に各審査員が評価したのは、その新しいボトル設計。ボトル内には液体を攪拌するウィスク(泡立て器)が内蔵され、塗布前にシャカシャカ振る。化粧水をつけるまでのちょっとした動作だが、スキンケアに取り組む女性の心に小さな楽しみと癒しをもたらす。 - オルビス オフクリーム(オルビス)
各ベストコスメアワードのクレンジング部門を受賞したのは、オルビスのクレンジグクリーム。人が本能的に心地よいと感じる“秒速5cm”の動きに着目したテクスチャーを採用。そのこだわりの通り、審査員の評価ポイントは、そのとろけるような心地よい感触。浴室や洗面台のインテリアを邪魔しないシンプルなデザイン設計も好評価。
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