ヘルスケアできる健康住宅、新たなニーズを反映した住まい方を提案

パナソニックは先月末、「健康にくらし続けられる家」をショールームにオープンした(大阪拠点パナソニックセンター大阪)。健康ブームの到来を契機に健康を訴求した住宅はこれまでにも他社から登場していたが、パナソニックが提案する”新しさ”は、新型コロナで変化した人々の健康ニーズを反映した点だ。

女性の健康ニーズ、コロナ前後で変化

これまで、女性の健康維持・増進手段としては、食事・運動・休養(睡眠、入浴、ストレスケア)といった生活習慣の管理・改善が一般的であったが、新型コロナで一変。衣服・持ち物・空間・物・人との会話・買い物…と、あらゆるモノ・シーンで、清潔面からの健康づくりを気にする人が増えた。

密室で人と話す時、飲食店で「いらっしゃいませ」と叫ぶ調理スタッフやホールスタッフの呼気、フードカバーが無く丸出しで並べられたスーパーの惣菜、フィットネスジムで他人と共有する器具、公共トイレの水道の蛇口、人から手渡しされた物など、「以前は気にならなかったのに、今はやたらと気になって『汚い』って思うようになった」といった女性の声が多く聞かれるようになった。この感覚がアフターコロナで突如消えるとは考えづらい。清潔・衛生ニーズは今後も続いていくと見られる。

この健康ニーズの変化に着目したのが、パナソニックの「健康にくらし続けられる家」。住宅内には、清潔・衛生への配慮はもちろん、健康面で安心して暮らせる様々な”仕掛け”が組み込まれている。住んでいるだけでヘルスケアができる”セルフメディケーション住宅”だ。

セルフメディケーションな住宅

出典:パナソニック

仕掛け1:清潔なくらしを追求した設備

帰宅して部屋に入る前に、玄関で手を洗ったりコートなどの上着を保管できるスペースを設け、水回りでは非接触ツールを採用。「自宅内にウィルスを持ち込みたくない」「皆が触れる場所・菌が多い場所は触れたくない」ニーズに応える。

  • 玄関
    洗面スペースやコートなどの保管場所を設置。帰宅後すぐに手を洗うことができるとともに、ナノイーの力でコートや靴を清潔に保ち、ウイルスや花粉を抑制
  • キッチンと洗面エリア
    タッチレス水栓を採用
  • トイレ
    便座に触れることなく自動で開閉・洗浄できる便座を採用
  • トイレ専用手洗い
    便器洗浄と連動し自動で吐水・停止
  • リビングルーム
    小さい子どもにも安心な「抗ウイルスSIAAマーク」表示基準に適合した床材を使用

仕掛け2:人生100年時代をサポートした住環境

身体の衰えや車いすが将来必要になることを想定した住環境を設計。「健康問題や介護を理由にリフォームや引っ越しをすることなく、安心して長く暮らしたい」ニーズに応える。

  • 各所
    各所に手すりを設置。さらに、空間にゆとりを持たせるため扉は全て引き戸
  • 寝室からトイレ、洗面エリア・風呂場までの動線
    日常の移動負担を軽減するために、最短距離で移動できる動線で設計
  • ドアの開口幅
    広めに確保し、介助のしやすさも考慮
  • 洗面エリア
    ヒートショックを予防するために、脱衣所暖房衣類乾燥機を配置
  • バスルーム
    入浴時の転倒防止に、おきラク手すりを採用
  • コンセント
    高い位置に設置。電源コードに足をひっかけた場合に備えマグネットタイプを採用

仕掛け3:心が健康になる空間設計

ストレスのたまらない癒される空間を意識した設計。特に女性に嬉しいのは、料理や食後の片付けが妻・母親に偏る環境になりづらいキッチン(いどばたスタイル)が採用されている点だ。

  • インテリアスタイル
    装飾や余分なものがないシンプルで自然光や外の景色を取り入れた、心が落ち着く空間
  • 家の内外
    植栽を配置
  • リビング
    中央に窓を設置し自然採光を取り入れることで、常に外の自然が感じられる開放感を演出
  • キッチン
    夫婦一緒にまたは親子一緒に料理ができるよう、調理スペースを2カ所に設置(妻・母親だけに家事の負担がかからない設計。以下動画)

  • くらしの豊かさや利便性も高めるため、IoT家電の採用

未来の住宅、常識は健康住宅・スマートホーム

将来の健康問題や介護生活に配慮した住宅の開発が国内外で進んでいる。高齢期の身体的虚弱や要介護に備えた設計の住宅や、遠隔からの見守りを可能にする様々な住宅内用デバイスやサービス事例を見かけるようになってきたが、具体的な疾患を対象にした構想も出てきている。

リーズ・ベケット大(英)のコンピュータサイエンスの教授であるドロシー・モネコッソ氏は、認知症患者を対象にしたスマートホームのあり方について述べており、World Economic Forumの記事によると、住宅内へのロボット搭載とAIの活用により、認知症患者の自律した生活と、介護をする家族の負担軽減を実現できるという。認知症患者特有の徘徊にも対応できる住宅で、患者とその家族、両方のQOLをサポートする次世代型の健康住宅だ。

日本では現状、自身の要介護や長生きへの備え・終活・親の介護などを理由に、50〜60代になったタイミングで自宅をリフォームする世帯が多いが、健康住宅やスマートホームが今後一般的になれば、ミドル〜シニア期での住宅の見直しの必要はなくなる。健康住宅やスマートホームは長い目で見ればコスパが良く、そして、家族や自身が長生きしても要介護になっても安心して長く暮らすことができる。超高齢社会に対応した次世代型の住宅のあり方だ。

 

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