ブルーオーシャン戦略と女性市場の成功事例(1/3)

日々多くのビジネスが誕生する国内市場は、どの領域においてもすでに多くの企業がひしめき飽和状態に。飽和市場では熾烈な価格競争に巻き込まれたり、多額の広告投資が必要になったり、黒字化の目途が立たず撤退を余儀なくされるなど厳しい企業間競争を強いられる。そこで有効な考え方が「ブルーオーシャン戦略」。前半ではブルーオーシャン戦略の基礎知識と成功事例を、後半では女性向けヘルスケア領域におけるブルーオーシャンを解説。

ブルーオーシャンの基礎知識

ブルーオーシャン戦略をとることにより「(競合他社がいないので)戦わずして市場No.1になれる」「価格競争が不要」などのメリットを享受できるため、新規開発・新規参入を検討する際は、まずその市場が「ブルーオーシャン戦略が有効かどうか?」を見極めたい。

ブルーオーシャンとは

ブルーオーシャンとは、参入している競合企業がいない未開拓の市場という意味。一方、ブルーオーシャンの対義語は「レッドオーシャン」で、競争が激しい既存市場のことを指す。レッドオーシャンでは「いかにシェアを拡大するか?」が重視されるが、人口減少により市場縮小が進む国内では、シェア拡大による売上増は難しい。しかしレッドオーシャンでは、減少の一途をたどる消費者の奪い合いを続けるしかないため、企業間の熾烈な価格競争や機能競争の激化を招いているのが現状だ。レッドオーシャンは消耗戦を強いられるため、大規模な投資を続けられるか、あるいは予算が潤沢にある大企業が有利になる。レッドオーシャンの例は以下。

  • 歯科医院
  • 美容室
  • エステサロン
  • 健康食品
  • 各種日用品
  • コスメ
  • アプリ
    など

ブルーオーシャン戦略とは

ブルーオーシャンが「参入している競合企業がいない未開拓の市場」のことを指すのに対し、「ブルーオーシャン戦略」とは「競争者のいない未開拓市場(ブルーオーシャン)を創造するための経営戦略」のことを指す。2005年に出版された書籍「ブルー・オーシャン戦略」の中で提唱された。新市場では競合企業がいないため、低コストかつ早い段階で高い収益を見込めるのが最大のメリット。


ブルー・オーシャン戦略 競争のない世界を創造する

ブルーオーシャンの開拓方法と戦略の注意点

ただしブルーオーシャン戦略にもリスクはあるため、開拓方法とあわせて戦略の注意点を確認しておきたい。

ブルーオーシャンを開拓する方法

いきなりブルーオーシャンを開拓する(見つけ出す)ことは容易ではない。まずは以下4つの視点からブルーオーシャン開拓の可能性を探ってみよう。新規開発の場合は(1)が、新規開発が難しい場合は(2)と(3)がおすすめ。どこにブルーオーシャンの可能性があるのか分からない場合は(4)から始めるのがおすすめ。

(1)差別化戦略×低コスト戦略の同時実現

差別化戦略(高付加価値戦略)と低コスト戦略を同時に実現する必要がある。他企業に模倣されたときに、模倣品のほうが同じ品質で安いと自社商品が売れなくなるおそれがあるため、参入障壁は可能な限り高くしておく。

(2)既存商品・サービスの見直し

競合他社との競争要因を見つけ出し、既存商品やサービスの価値を変更したり、追加することで「ブルーオーシャン市場」への参入を果たす。

  • 例:ヒーリングミュージック市場はすでに飽和状態。そこで、自社ですでに販売しているヒーリングミュージックに「リアルボイス(人気の男性声優が優しく話しかけ続ける)」を追加することで、差別化を図る。女性の疑似恋愛消費が盛り上がっているトレンドをいち早く既存商品に反映することで、レッドオーシャン市場を脱出する。

(3)客層の変更

既存商品やサービスの客層(ターゲット)を変更することで、「ブルーオーシャン市場」へ移行できる。

  • 例:ダイエットシェイクは特に若い女性に人気のダイエット方法。しかしダイエットシェイク商品はすでに飽和状態。そこで客層を従来の若年女性からシニア女性に変更。シニア女性はダイエットのゴールとして「体型を美しくすること」よりも「疾病予防」を重視する傾向が強いので、打ち出し方やパッケージデザインなど訴求方法を変える必要はあるが、競合が少ないので、客層の変更のみでブルーオーシャン戦略をとることが可能。

(4)戦略キャンバスを描く

戦略キャンバスを描くことで、ブルーオーシャン戦略の“方向性”を見つけ出しやすくなる。

戦略キャンバスとは、横軸に顧客に提供する価値、縦軸に顧客が享受するメリットの大小を示すグラフのことです。戦略キャンバス上に、既存事業と新事業の価値曲線を描くことで新事業の差別化のポイントを明確に表すことができます。戦略キャンバスを描くことで、ブルーオーシャン戦略のコンセプトを明確に表すことができます。(引用:N’s spirit投資額&経営学研究室「ブルーオーシャン戦略、戦略キャンバス、アクションマトリックスについて解説」)

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