薬局がCBD商品を開発、自社薬局展開が好調 “トリプル検査”で安全安心

オイルやチョコ、グミなど、日本でもさまざまなCBD製品を目にするようになってきた。CBDをめぐっては、2013年頃から欧米を中心に認知が広がり、日本では2019年前後からメディアでも多く取り上げられ企業の新規参入が相次いでいる。睡眠改善やリラックス作用などの働きがあることから、コロナ禍では精神的な落ち着きを求めて需要が高まり、急激に市場が伸びた。

アメリカでは、ドラッグストアや総合スーパー、小売店でさまざまなCBD含有商品が販売され、一大産業に。日本の市場は2023年には480億円規模が見込まれるが、CBD(カンナビジオール)が大麻から抽出される成分であり、また、ほとんどの製品が海外からの輸入ということもあって、安全安心の面での不安は払拭されない。

そんな中、調剤薬局「どんぐり薬局」を運営するエムファーマシィ(広島・北広島町)では、2020年10月にCBD事業部を立ち上げ研究開発をスタート。オイルの発売を皮切りに、CBD含有商品シリーズ「バランシス」を店内とネット通販で展開している。原料の輸入時における税関検査はもちろん、日本ヘンプ協会でも原料と製品の検査を受ける“トリプル検査”で安全安心を第一に、医療機関やプロスポーツ選手にも使用されているという。

CBD入りの「瀬戸内レモンしょうが湯」。昨年秋に発売     

「薬局で売っているなら、安心」と購入

調剤薬局でなぜCBDなのか。エムファーマシィの吉田孝治社長は、「事業のフィールドは医療と健康です。健康は食と関連しています。そして心と体。この3本柱で取り組もうとするなかでCBDと知り合いました。これからは処方箋による調剤だけでなく、セルフメディケーションを含めて皆様の健康を守るという意味で、CBD事業に取り組んでいきたい」。

これまで、国内のCBD市場は海外製品を輸入して販売するというケースがほとんどで、海外の基準をベースに誰でも輸入販売が可能となっていたが、今後は成分規制などの点で厳しくなっていくものと見込まれる。日本ヘンプ協会の第1号会員でもある同社が「原料の輸入時における税関検査はもちろん、日本ヘンプ協会でも原料と製品の検査を受ける」という“トリプル検査”で、安全安心を重要視しているのは然るべき対応であり、医薬品を扱う薬局でCBD製品を取り扱う上での指標になりそうだ。

さらに吉田社長は、薬局でCBD製品を扱うことの有用性をこう述べる。「睡眠薬や湿布薬などは、処方の量が限られてきています。不眠や痛みなどで困っている方の中には、CBD製品を必要とされる方が少なくありません。ネット等でCBDをご存じの方は『薬局で売っているなら安心』と言って購入される方もいます。CBDをまだ知らない方々にもっと勧めていきたいと思います」

店内の売り場。棚にCBD商品を並べている

 

店内では啓発ポスターを用意し、薬局でまず気づいてもらうきっかけづくりをしている。さらに、医療事務スタッフが接客しながら、オリジナル商品「瀬戸内レモンしょうが湯CBD入」を試飲提供したり、投薬カウンターでは、薬剤師がCBDについて説明しながら、不眠や肩こり、メンタル等で悩んでいる人に勧めたりして、啓発に努めているという。

改正大麻取締法が成立

大麻由来の成分はカンナビノイドと総称され、CBD とTHC(テトラヒドロカンナビノール)に大別される。CBDは規制対象外(合法)だが、THCは向精神作用が強く、日本では禁止薬物(違法)となっている。CBDの医学的価値を認め臨床で研究できるようにと、2022年6月には政府の骨太の方針で「大麻に関する制度を見直し、大麻由来医薬品の利用に向けた必要な環境整備を進める」と明示された。一方、同年4月に厚生科学審議会では「大麻規制検討委員会」が設置され、麻薬としての大麻は厳格化し、医療ニーズに対しては規制緩和していくと方向づけられた。こうした大麻に関する法規制の流れの中で、昨年12月6日、国会で改正大麻取締法が成立し、13日に公布された。

検挙数増加、若者の乱用に歯止め

法改正に至った背景は2つ。まずは近年、10代・20代の若者を中心とした大麻の所持や栽培での検挙数の増加だ。警視庁によると、2022年の1年間で全国の警察に検挙された人数は5,342人にのぼり、過去2番目に多かった(過去最多は21年の5,482人)。大麻の健康に対する悪影響は意識障害、認知障害や判断力の低下などのほか、若い世代の使用は薬物依存リスクが高まると報告されている。若者が大麻に走るきっかけは仲間内で誘われるケースのほか、ストレスや生きづらさを感じて使ってしまうケースも少なくないという。大麻の乱用が増加傾向にあることから、政府では今回の改正がその歯止めになることを期待している。

大麻由来の医薬品に期待

2つめは、大麻を原料とした医薬品を求める患者家族の声だ。例えば難治性てんかんの患者には抗てんかん薬が処方されるが、小児の場合、成長するに従い症状が変化し、効果のある薬を得るのは難しいという。一方海外では、難治性てんかんに効果があるとされる、大麻を原料にした治療薬が使われている。今後、日本でも大麻由来の医薬品が承認されれば、治療薬の選択肢が広がると期待される参考:NHK「大麻“使用”禁止盛り込む 改正大麻取締法 参院で可決・成立 」

 

【提供】P-Press

 

薬局の健康サポートとヘルスケア領域のウェブ情報誌『P-Press』。『調剤薬局ジャーナル』の元編集長が2022年に創刊。主な読者は調剤薬局の担当者と薬局に関わる多職種。本誌の編集長はドラッグストア、調剤薬局に特化したジャーナリストとして約10年の実績。P-Pressへの広告出稿・取材依頼はこちら

 

 

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