国際女性デーとは?制定までの歴史と日本のマーケ活用事例

3月1日から始まる「女性の健康週間」最終日である8日は「国際女性デー」。アメリカで女性参政権を求める運動から始まったこの日は今や世界中に広がり、女性の権利を語る日として祝われる一大イベントとなった。最近よく耳にするようになったけど、国際女性デーって何?歴史的な背景とともに理解を深めよう。

国際女性デーはどんな日?

国際女性デー(International Women’s Day)とは

国際女性デーとは、国際連合(国連:UN)によって制定された記念日のこと。「国際女性の日」ともいい、毎年3月8日が国際女性デーとして制定されている。女性の政治的・社会的自由や平等を呼びかけ、 女性の権利について語られる日として世界的にも有名であり、各国でさまざまな記念行事が開催される。

例えばイタリアでは、3月8日は「女性の日(FESTA DELLA DONNA)」。男性から女性へ日頃の感謝を込めてミモザの花を贈る。「ミモザの日」とも呼ばれる所以だ。ロシアでも3月8日は女性の日として知られ、男性から女性へ、花やチョコレートなどのプレゼントが贈られる。

 

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国際女性デーの歴史

国際女性デーが制定されたきっかけは1904年3月8日にさかのぼる。この日、アメリカ・ニューヨークで、婦人参政権を求める女性労働者たちによる大規模なデモやストライキが行われた。当時は男性にしか認められていなかった参政権を女性の権利としても認めさせ、差別を撤廃し男女平等を実現しようとしたもので、これが国際女性デーの起源とされている。

その後1910年に、デンマーク・コペンハーゲンで第2回国際社会主義女性会議が開催されると、1904年のデモを受け、ドイツの女性解放運動家であるクララ・ツェトキンらが、「国際女性デー」を提唱し、多くの賛同を得た。これ以降、ヨーロッパでも3月8日を女性の日にする動きが急速に広まっていく。

アメリカで起きたデモは、ロシアにも大きな影響を与えた。第一次世界大戦中の1917年には、帝政ロシアに対する国民の不満が高まる中、首都ペトログラード(現サンクトペテルブルク)で女性による大きなデモが発生する。これが徐々に男性や軍隊をも巻き込んだ大規模なデモやストライキへと発展し、ついにニコライ2世は皇帝退位に追い込まれた。これを二月革命といい、その後の十月革命を経て、ロシア帝国は崩壊し、ソビエト社会主義共和国連邦が誕生することになったのだ。

1921年になると、こうした世界各国での女性運動の経緯を受けて、3月8日を「国際女性デー」として統一することが正式に決定された。1944年にはイタリアで「イタリア女性組合(Unione Donne Italiane)」が結成され、組合のシンボルとして3月に美しく咲くミモザが選ばれた。そこから、ミモザが「女性の日(FESTA DELLA DONNA)」に贈られるようになったと言われている。

そして1975年、ついに国際連合が3月8日を「国際女性デー(International Women’s Day)」に制定した。つまり1975年が、女性の地位向上を目指して国際連合が設けた「国際婦人年」の初年度である。ここから、3月8日が女性の自由と権利を謳う日として、世界中に広まっていった。

「国際女性デー」は時代に合わせてさまざまな変革を遂げながら、女性の生き方や働き方について考える日として広く認知されるようになり、今では世界各国における女性の地位向上や活躍推進へとつながる活動が行われている。

日本の国際女性デーの歴史

始まりは演説会(1923年〜)

日本では、1923年3月8日に日本で初めて国際女性デーを記念した演説会が行われた。しかしこの演説会は途中で中断させられ、以後は断続的に非合法な形で行事を開催していたという。戦後の1947年以降は毎年行事が行われるようになり、現在まで続いている。

国際女性デーに合わせた「女性の健康週間」(2005年〜)

2005年になると、国際女性デーと絡めた「女性の健康週間」が始まった。これは日本産科婦人科学会と日本産婦人科医会が始めたもので、全年代の女性の健康を総合支援することを目指し、3月3日のひな祭りを中心に、1日から8日の国際女性の日までを「女性の健康週間」として活動を開始。2008年からは厚労省も主唱する国民運動となり、今は国・地方公共団体・企業各社がさまざまな活動をこの期間に展開している。

近年の主要イベント

近年では、一般の女性団体やグループによる記念事業やイベントも多く開催されている。なかでも、2017年から開催されている「国際女性デー|HAPPY WOMAN FESTA」が代表的。国際女性デーを通じ、ジェンダー平等の社会実現を目指す「ウーマンイノベーション」が事務局を務めるイベントで、今年で5回目の開催となる。

イベントでは女性関連の表彰も行われ、昨年は、女性を応援する商品やサービスを提供する企業としてコーセーとオイシックス・ラ・大地が「女性応援ブランド賞」を受賞した。

新型コロナの感染拡大防止のため今年はオンラインを中心に、ラジオ・雑誌などと連携した展開になるが、今後は、2030年までに全都道府県でのイベント開催を目標としている(これまでの5年間で20都道府県で開催)。

企業の取組、「黄色」でマーケティング

国際女性デーの企業の取組はというと、クリスマス、母の日、ひな祭りなどのシーズナルイベントと比べると、マーケティングに活かしている事例はまだ多いとは言えない。グローバル企業や、前述で見たように団体・企業・自治体が中心となったイベントは盛んになってきたが、国際女性デーのテーマが”女性のエンパワ”ということもあり、マーケティングとして活用するには具体的な表現方法が見当たらず、少々絡ませづらい印象があるのかもしれない。

バレンタインデーはチョコ、母の日はカーネーション、というように、誰もがイメージできるわかりやすいアイテムがあるとマーケティングに活用しやすいが、国際女性デーにおいては何が共通アイテム(概念)になり得るのか?

その答えは、「黄色」または「ミモザ」。国際女性デーに合わせたマーケティングに取り組む2社の事例が参考になる。

■ユニクロ
UNIQLO TOKYOでは、3月5日~31日の期間、売り場スタッフが黄色の服を身に着けて接客をする。また、10,000円以上の購入で黄色の花をプレゼント。イタリアの習慣(3月8日に男性が女性にミモザの花をプレゼントする習慣)にちなんで実施する。

■資生堂
美容サービスの他、カフェ・コミュニティスペースも併設する資生堂の総合美容施設「SHISEIDO THE STORE」 では、3月8日〜31日まで、ミモザの花をイメージしたスペシャルデザートを提供する。

ミモザ

【画像】資生堂

国際女性デーを、SRHR向上の日に

国際女性デーは、女性のエンパワーメントを軸に女性の様々な権利向上を目指す日。参政権、仕事、生き方など、時代や国によって女性が求める権利は異なるが、日本において今後声が大きくなっていくと思われる領域はSRHR。自分の性・生殖・健康に関する自由・権利向上を求める動きが活発化していることが背景だ。国際女性デーは女性の健康週間と重ねていることもあり、相性は良い。来年の国際女性デーでは、SRHRをテーマにしたマーケティングを実施してはどうだろう?

 


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