2024年度開始の「がん研究10か年戦略(第5次)」策定、がんの予防・診断・治療・共生に向けた研究事項 

厚労省は先月25日、「がん研究10か年戦略(第5次)」を策定した。2024年度から2033年度までの10年間に推進するがんの研究事項をまとめたもので、「予防」「診断・治療」「がんとの共生」「ライフステージやがんの特性に着目した研究」「分野横断的な研究」の5つの柱を掲げた。

  • 「がんの予防」に関する研究
    (1)新たなリスク要因の同定やリスク層別化に基づく1次予防の推進
    (2)高リスク層の同定や新たな早期発見手法の活用による2次予防の推進
  • 「がんの診断・治療」に関する研究
    (1)個別化医療を推進する診断技術の開発
    (2)新規薬剤・治療法の開発
    (3)多様な患者ニーズに応じた新たな標準治療の確立
  • 「がんとの共生」に資する研究
    (1)誰もがアクセス可能な相談支援・情報提供
    (2)充実したサバイバーシップの実現
  • ライフステージやがんの特性に着目した研究
    (1)希少がんと難治性がん
    (2)小児がんとAYA世代のがん
    (3)高齢者のがん
  • がんの予防、がんの診断・治療の開発、がんとの共生を促進するための分野横断的な研究
    (1)がんの本態解明
    (2)シーズ探索・育成
    (3)バイオバンク・データベースの整備、連携強化と利活用促進
    (4)先端的な科学技術の活用や異分野融合
    (5)政策的な課題の把握と解決

10年単位で策定するがん研究の戦略は1984年度に始まり、今回が第5次となる。国内のがん研究は「概ね順調に進捗している」と評価されている一方で、「ドラッグラグ」「ドラッグロス」が顕在化している他、難治性がんの生存率改善や、小児・AYA世代のがんや希少がんの治療法開発などが課題とされ、こうした課題への対応に加え、個々に最適化された予防・医療を実現する研究や、AIなどを活用した医療技術開発の強化が求められている。

昨年3月に閣議決定した「第4期 がん対策推進基本計画」では、全体目標を「誰一人 取り残さないがん対策を推進し、全ての国民とがんの克服を目指す」とし、その3本柱を「がん予防」「がん医療」「がんとの共生」としている。がん研究は、これらを支える基盤として位置づけられている。

 

 

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