避難生活で抜け落ちる女性視点、どんな配慮が必要? 防災・復興ガイドライン
災害による被害や困難を最小限にするため内閣府は、女性視点を盛り込んだ防災・復興ガイドライン「男女共同参画の視点からの防災・復興ガイドライン」を策定している(2020年)。
策定の背景にあるのは、東日本大震災をはじめとした災害を通じて浮き彫りとなった防災や避難生活における男女格差で、とりわけ女性に対する配慮の欠如が指摘されていた。各自治体の防災会議に女性委員がいない、あるいは男性委員より圧倒的に少ないことが一因で、防災・復興に係る意思決定の場への女性の参画を促進するとともに、災害時のあらゆる局面で男女のニーズの違いに配慮できるよう環境を整備するのが狙い。
ガイドラインでは、各自治体が女性を含めた要配慮者特有のリスクやニーズに対応するための、基本的な考え方・平常時の備え・初動段階・避難生活・復旧復興の各段階において取り組むべきことをまとめている。熊本地震など、実際の避難生活で女性に配慮した各自治体の取り組み事例なども写真つきで掲載している。例えば、女性・妊婦・乳幼児の発症リスクが高いエコノミークラス症候群は、トイレを我慢するために水分を控えることでもリスクが上がる。熊本地震では、女性が抵抗なくトイレを使えるよう環境を整えたり、運動や脚のマッサージをすすめた取り組みが実施された。
事例紹介の他にガイドラインでは、高齢者・障害者・乳幼児・妊産婦・外国人など要配慮者のニーズや、要配慮者の男女別のニーズを把握する必要性についても言及している。避難所におけるチェックシートも掲載(以下)。女性や要配慮者のニーズを汲み取った項目が主だが、「男性トイレに尿取りパッドを配置する」など、男性の健康にも配慮した項目も並んでいる。
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