【世界エイズデー】HIV感染者・AIDS患者は6年連続減少、女性38人・男性846人
毎年12月1日はWHOが定めた世界エイズデー。エイズのまん延防止と患者・感染者に対する差別・偏見の解消を目的に、WHOが1988年に制定したもので、シンボルはレッドリボン。国内でも各自治体や団体が啓発イベントを実施しており、東京都では11月16日から12月15日までを「東京都エイズ予防月間」としている。
最新のエイズ発生動向調査によると、2022年の新規報告数は男女計で884件で、HIV感染者とAIDS感染者ともに6年連続の減少となった。いずれも男性が圧倒的に多い(エイズ予防財団「2022年エイズ発生動向年報」)。
<2022年の新規報告数> ※( )内は日本国籍と外国国籍の合計
・HIV感染者…632件(男性609, 女性23)
・AIDS患者…252件(男性237, 女性15)
<年齢>
・HIV感染者…20〜40歳代に多い
・AIDS患者…30〜50歳代に多い
<感染経路>
・HIV感染者
ー同性間の性的接触…443件(70.1%)
ー異性間の性的接触…100件(15.8%)
ー母子感染…1件(0.2%)
ー静注薬物…0件(0%)
・AIDS患者
ー同性間の性的接触…127件(50.4%)
ー異性間の性的接触…53件(21%)
ー母子感染…0件(0%)
ー静注薬物…1件(0.4%)
<感染地>
・HIV感染者…国内528件、海外34件
・AIDS患者…国内163件、海外30件
<地域別の報告数>
・HIV感染者…東京が最多で235件。次いで近畿102件、東京以外の関東・甲信越81件
・AIDS患者…東京以外の関東・甲信越が最多で60件。次いで東京53件、九州45件
調査結果をまとめた厚生労働省エイズ動向委員会は報告書の中で、AIDS発症防止のためにはHIV感染後の早期発見が重要であるとし、感染リスクがある人に向け、保健所などでの無料・匿名検査や医療機関での検査を呼びかけるとともに、保健所や自治体に向けては、利便性に配慮した検査・相談体制の推進を求めた。
HIV感染もAIDS患者も男性に多いことから男性の同性愛者に多いイメージが強いが、異性間や女性同士の性的接触による感染もあることから、医療機関などでは女性に向けた啓発にも取り組んでいる。産婦人科のにしじまクリニック(埼玉・富士見)はクリニックの公式サイトで、同性愛女性特有の健康リスクとして、子宮頸がんワクチンの摂取率が低いこと、女性同士でもHPVやそれ以外の性病に罹患する可能性があること、肥満率や喫煙率の増加、精神疾患の罹患率やDVリスクの上昇などを挙げ、特有のリスクを踏まえた健康管理の必要性を指摘している。
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