予防医療分野で行動変容を促せた成功事例。「乳がん検診」編

人間は、今の習慣が病気のリスクを高めると分かっていても、その習慣を変えることは中々できない。でも、習慣を変えることができれば死亡率を下げることもできるし、罹患率も下げることができる、そして医療費を下げることにだって繋がる。そのため、特に医療と予防医療の2分野では行動変容の難しさや、行動変容を促す手法について話題になることが度々ある(度々話題になるのだけど、なかなか解決策が見つからないのが現状)。

そんな中、乳がん検診を受けようとしない女性たちの受診率を上げた事例がある。これこそ行動変容を促すことができた成功事例だ

そもそも何故女性は、乳がん検診を受けようとしないのか?

多くの女性は分かってるのだ。「乳がん検診受けなきゃ・・・」って。でも結局受診しない主な理由は以下。

  • 痛いから。あるいは痛いとよく聞くから怖い
  • 行く時間がない

筆者も受けたことがあるが、もう次は受けたくない・・・。これだけ医療が発達しているのに、なぜわざわざ痛い検査機器をつくるのだろうか?!そのような痛い検査機器を前提に「受診率を上げよう!」とか「受診しましょう!」というのも、なんだか説得力がないというか、酷な話だ。もう一つの理由、「行く時間がない」というのには、仕事があるからとか、子育て中だから(小さい子供を連れて病院行くのは大変!)ということが要因。

欧米諸国にと比較して、日本女性の受診率は低い!

乳がん検診の受診率は日本は欧米諸国と比較して低いと指摘されている。(oecd health date 2013 国民生活基礎調査調べ)

  • アメリカ・・・80.4%  (2010年)
  • イギリス・・・72.6%  (2011年)
  • 日本・・・27%     (2013年)

乳がんは罹患数で1位、死亡数では5位という現実

しかし、把握しておくべきことは「日本の受診率は低い」ということよりも、以下の現実だろう。2015年予測では罹患数(新たにガンと診断される人の数)第1位になると言われているのが乳がん。

 

そして2015年予測の死亡数(ガンで亡くなる人の数)では第5位に乳がんだ。

死亡数第5位が乳がん

乳がん検診の受診率を3倍にした佐川急便の取り組み

そんな背景もあり、女性に配慮した職場環境づくり・健康管理・育児制度の充実を目的に佐川急便が取り組み始めたことは、職場を乳がん検診車がやってくる、というもの。職場で、しかも勤務時間中に受診できることもあり、結果的に乳がん検診の受診率が3倍に増えたそうだ。前述した「女性が乳がん検診を受けない理由」のうちの一つ「時間がない」を解消している事例だ。

痛くない検査で受診率アップしたクリニックの取り組み

女性が検診をしないもう一つの理由「痛い」を改善したのが、新しい検査機器(PEMというもの)を導入して女性に喜ばれている宇都宮セントラルクリニック。従来の検査時の痛みが大幅に軽減されているものだそうだ。まだ全国でも数台しかないようだが、全国ほぼすべての病院でPEMが導入されるようになれば、受診率はだいぶ上がりそうだ。他にも受診率を上げるために、乳がん検診ギフトカードをプレゼントするサービスがあったり、無料クーポン券を配布するなど様々な取組がされている。

行動変容を促す解決策は「インサイト」を見つけ出すことと同じ

「受診しよう!」とか「ピンクリボン運動」とか「ガンの死亡者数はこんなにいるだんよ」とどんなに訴えたところで、多くの人にとってそれは所詮「他人事」だし、あるいは他人事じゃないにしてもそこに「痛みへの恐怖」や「時間の制約」があれば中々行動を起こすことはできないもの。行動変容が起きないのもそれは当然の結果だ。

行動変容を促すためには、行動変容を阻んでいる原因を見つけ出し、それを排除するあるいはその原因を解決できる何かしらの新しい方法を提案するべきだろう。マーケティングに置き換えるなら、消費者インサイトを見つけ出しそれにあったマーケティング施策を行う、ということと同じだ。「行動変容」をマスターできれば、多くの人々の疾病予防にもなるし、病気による死亡者数も減らせる。もちろん、ビジネスの現場でも行動変容を活用することで多くの女性の消費行動を活発にすることができちゃうのだから優れものだ。今後もウーマンズラボでは行動変容の成功事例を随時皆さんと共有していく。

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